空山基(そらやま・はじめ)さんの大回顧展『SORAYAMA 光・透明・反射―TOKYO―』が開催中です。
異端かつ時代の寵児、SORAYAMAが極めた光の写実表現
ロボットとはこれほどまでに美しく、見方を変えると、メタリックな質感をまとった人体はかくも美しい。
観る者を強く惹きつけ、インスピレーションを喚起し、時に物議を醸す伝説的なアーティスト、空山基(そらやま・はじめ)さんの大回顧展が開催中だ。
SNSには空山作品の模写がたくさんアップされている。しかし、どれだけ技術があっても及ばない何かがある。それを本展の企画に携わるNANZUKAの代表取締役・南塚真史さんは「品格」と表現する。
「原画を生で観ると、精密さと大胆さ、鋭さと柔らかさを一筆ごとに使い分けていることに気がつくかもしれません。このことは単なる写実的な技術を超えた空山の美学、感性を物語っています」
イラストレーターとしてキャリアをスタートし、1983年に発表した『セクシーロボット』シリーズで女性の身体美を取り込んだアンドロイド像を提示。そのインパクトは従来のロボットのイメージを覆し、より魅力的で、共存はもとより人間との融合すら想起させる存在にした。
タイトルにある「光・透明・反射」は、作品におけるリアルな写実表現の根幹を示すキーワードだ。
「『光・透明・反射』を描くという点において、空山は見えない対象、つまり空気やオーラを描こうとしています。そのためには光の頂点を表すハイライトよりも、その手前と奥にあるグラデーション、トーンの設計が重要です。完全な白に至るまでのグレー、反射が溶け込んでいく境界部分が繊細に描き分けられており、そこに空山作品の凄みがあります」
「光と反射を実装した」立体作品も見どころだ。
「空山の彫刻は鏡面で反射するため、光の反射は展示空間の照明、観る人の動き、距離によって変化します。作品が完璧なオーラをまとって、永遠の時間と空間を支配するように細部にこだわり、微妙な曲線、足や指先の造形など、1体の完成にはおよそ2~3年かかっています」
ソニーの技術協力による五感すべてを使って没入するインスタレーションなど、世界観をエンターテインメントとして体験できる仕掛けも。身体、生命の意味が変容しつつある現代、現実とフィクションの境界で新しい価値観を探してみたい。

空山基 Untitled_Sexy Robot Number1 2022 アルミニウム、ガラス、ステンレススチール、スチール、LEDライト ⒸHajime Sorayama. Courtesy of NANZUKA
過去10年間に制作した立体作品を展示。360度どの位置から眺めるかによって輝きを変える。

空山基 Untitled 2023 アクリル絵具、デジタルプリント、キャンバス ⒸHajime Sorayama. Courtesy of NANZUKA
近年取り組む大型のキャンバス作品。「光と透明」の表現をめぐる探究の成果であり、表現の進化が感じられる。

空山基 Untitled 1999 アクリル絵具、イラストレーションボード ⒸHajime Sorayama.Courtesy of NANZUKA
ソニーから発売、ロボット犬として親しまれた初代「AIBO(アイボ)」のコンセプトデザインを手がけた。

空山基 Untitled 1982 アクリル絵具、イラストレーションボード ⒸHajime Sorayama. Courtesy of NANZUKA
アメリカのロックバンド、エアロスミスのアルバムジャケットに使用された作品。
information
『SORAYAMA 光・透明・反射―TOKYO―』
CREATIVE MUSEUM TOKYO 東京都中央区京橋1-7-1 TODA BUILDING 6F 開催中~5月31日(日)10時~18時(金・土曜、祝前日、4/28~5/6・31は~20時。最終入場は閉館の30分前まで) 会期中無休 一般2500円ほか info@sorayama2026.jp
anan 2488号(2026年3月18日発売)より

















