「階級社会で根強い男女格差があった時代に書かれたもので、当時は問題作とも言われた戯曲だそうです。最初に読んだ時には、正直、わからないし面白いとも思えなかったんですよね。でも、いまの日本でこれを上演しようと思った作り手の方々がいて、多くの俳優たちが絶大な信頼を寄せる小川絵梨子さんが演出を引き受けた。ならばきっと上演する意味があるんだろうと思ったんです」
そんな心境から、稽古がスタートして約2週間。「文字で読んでもわからなかった感情が、小川さんが状況をひもといてくださって見えてきて、ようやく、面白いのかもしれない、と思うところまできた」という。
「僕が演じるジャンにとっては主人にあたるジュリーは絶対に頭の上がらない相手で、終始彼女は上から目線。でも、彼女が女として接触してきた途端、それまでペコペコしていたジャンが出方を変える。会話を交わしていく間にも、二人の関係性が次々変わっていくところはスリリングで楽しいと思います」
強い上昇志向で、伯爵家に出入りも許されない下層階級から屋敷の使用人へと這い上がってきたジャン。状況は違えど、城田さん自身がかつて抱いた悔しさや闘志といったものが、役作りの素地になっている。
「自分なりに自信があって芸能界に入ったのに、ハーフであることが枷になって、悔しい思いをたくさんしました。自分にもできるんだと証明して、いつか見返してやろうと躍起になった時期もあります。ジャンほどではないにしろ(笑)、誰もが多少は身に覚えがあるのでは」
昨年、初めて舞台演出も手がけた。「もともとプロデューサー的な視点を持っていたんですが、演出を経験して、より強くなった気がします。今は、プレイヤー脳とプロデューサー脳が同居している感じ。プレイヤーの僕は、今もやりたくない気持ちはあるけれど、プロデューサーの僕は、これを乗り越えたらその先に見返りがあると確信しているんです」
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