橋本ライドンさんによる、コミック『妹・サブスクリプション』をご紹介します。

サブスクなしでは生きられない! 姉の歪んだ愛情が行き着く先は?

橋本ライドン 妹・サブスクリプション

定額料金でさまざまなサービスを受けられる、サブスクリプション。

「私が使っている絵を描くソフトもサブスクですが、提供している会社の経営次第で、すべて失われる可能性もあるわけです。いまや生活に欠かせないものなのに、この危うさは怖いなあという思いがありました」

橋本ライドンさんのこの物語も、絵柄のかわいさとゆるさに和んでいると、思わぬ怖さが待っていたりする。まずもって、「妹」と「サブスクリプション」という言葉の組み合わせが謎なのだが…。

「指摘されて改めて気づいたのですが、私は執着とか愛の話を描くのが好きみたいで。もうひとつ、姉妹という関係にも惹かれていたので、姉が妹を追い求める話にしようと思いました。自分はきょうだいがいないので憧れもあるのですが、“血を分けた限りなく近い他人”という存在に、ロマンを感じてしまうのです」

4コマ形式で進んでいく本作。1話目では、会社から帰宅した姉のみゆきを妹の今日子が無邪気に迎えている。その後も仲良し姉妹のやり取りが描かれるのだが、今日子はちょっとした衝撃やケガでピタリと動きが止まってしまい、そのたびにみゆきは落胆する。動かない妹はやがて業者によって回収され、何事もなかったように元気な姿で戻ってくる。どうやら妹はサブスク商品らしいのだが、なぜみゆきがそんなことをしているのか、読者にはなかなか見えてこない不気味さがある。

「何かひとつのものを守ろうとして凶暴になる瞬間って、誰しもあると思うのです。みゆきは、会社ではしっかり者で通っていますが、そのギャップを描きたかったんです。彼女は妹と穏やかな暮らしを続けられさえすればいいと思っているけれども、周りがそうさせてくれない。袋小路に追い詰められたらどうなるのか、私自身も見てみたいと思いました」

妹をサブスクするSF的設定とサスペンス的な不穏さ、多様な価値観や倫理観が交錯する社会派ドラマの一面など、さまざまな要素を内包しながら、姉妹はどこへ向かうのか。

「いつもは一対一の関係性を描くことが多いのですが、今回はいろんな人の目線を意識しました。どの目線にもそれぞれに正義があって、どれも完全に正しいとは言い切れないけど、間違っているわけでもない。みゆきも普通に傷つく子だし、自分が正しいという絶対の感情だけで動いているわけではないのだと、描きながら理解できるようになりました」

『妹・サブスクリプション』 しっかり者のみゆきは、妹の今日子をひそかにサブスクしている。一体なぜ? 本物の今日子は? SNSで話題を呼んだ衝撃作。描き下ろし番外編も収録。講談社 1100円 ©橋本ライドン/講談社

※『anan』2024年5月22日号より。写真・中島慶子 インタビュー、文・兵藤育子
(by anan編集部)

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周りとの温度差や⼿応えのなさに、ふと虚しさを感じるかもしれません。現状を変えたい強い想いがあっても、今は感情に任せて動くのは控えておくべきです。今度どうしたいかは⾃問しつつ、周りには温和に接して摩擦を避けること。冷静に、そして柔軟でいることで、⾃分をすり減らさずに次の好機を静かに待つことができます。

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