怒涛の’23年を振り返る。世界に届いた曲とライブ。
――デビューから4年というキャリアの中で、YOASOBIにとって2023年はどんな一年だったのだろうか。ふたりに振り返ってもらった。
Ayase:やっぱり2023年はYOASOBIにとってライブの一年だったなと感じています。もちろん「アイドル」がたくさんの人に聴いてもらえたことは嬉しいですし、そこで日本のみならず海外の方たちにも注目してもらえたり、活動の幅が広がったのは間違いないんですけど。僕たちが活動をするなかで、自分たち発信で大きなモチベーションにもなった初めてのアリーナツアーがすごく印象的な一年でした。単純にライブに向き合うことが僕らにとって大事なことでしたし、その中でYOASOBIに対する向き合い方や考えることも多くて、成長できたなと感じました。海外での公演や、国内でのフェス出演など、一つひとつに意味がありましたけど、やっぱりアリーナツアーで得た実感は大きかったですね。チームで一緒に動き続けて、一つの目標を掲げて一緒に乗り越えていくという、その経験が初めてだったので。
ikura:私も2023年を振り返るとライブの年だったなと思います。アリーナツアーを通じて確実に私たちYOASOBIチームの結束は強まりました。もちろん楽曲を作ってリリースをする普段の活動のなかでもチーム感自体はあるんですけど、もっと大勢で一つのライブ空間を作っていくときって大きな船でみんなで旅に出るような感覚なんです。その大きな船でいろんな地方をまわって、お客さんと夢のような空間を一緒に作っていく。今年初めて経験した、そんな旅のようなアリーナツアーを経ての結束力がこれからのYOASOBIの土台になるんじゃないかな。みんなで最高の時間を作るために、ボーカルとしてしっかり会場を引っ張っていかなきゃという意識も強くなりましたし、チームとしてもikuraとしてもこの一年でかなりパワーアップしたと感じています。
――今年の4月に配信リリースされた「アイドル」が世界的なヒットとなり、国内にとどまらず海外まで広がっていったYOASOBI。その人気を本人たちはどのように受け止めていたのか。
Ayase:「アイドル」に関しては、リリース直後から僕もリアルタイムでサーチしていたので、すぐに大きな反響を感じていました。海外の方たちにも聴いてもらえたことは本当に嬉しい限りです。今年の夏に初めてアメリカでライブをしたときにも、お客さんたちがすごく一緒に盛り上がってくれて。待っていてくれたんだなということも感じましたし、それは「アイドル」の効果が大きかったのかなと思いました。
――9月には韓国のTV番組『M COUNTDOWN』で「アイドル」を披露したことも大きな話題に。ふたりも出演を楽しんだ様子。
ikura:日本の音楽番組とは雰囲気が違うので、面白かったですね。本当に「アイドル」という曲がいろんなところに届いて受け入れてもらえたんだというのを韓国でも実感しました。
Ayase:韓国にもいろんなジャンルの音楽がたくさんあるわけですが、そんななかでもK‐POPに特化した音楽番組に僕らが出させていただいて、しかも日本語で歌わせていただいたというのも、珍しいことだなと思います。ステージの組み方やカメラワークなども日本とは違っていて、まるで職場体験みたいで楽しかったです。
――また、YOASOBIはこの一年の活動を通じてアルバム形式よりもシングルでのリリースを制作活動の中心に置いたり、アリーナツアーでは観客による写真撮影がOKだったりと、世界に水準を合わせたスタイルを取り入れてきた。海外に向けた活動についてはどんな想いがあるのか。
Ayase:あんまり偉そうなことは言えないですけど(笑)、海外からも求める声をいただけたら全力で応えていきたいです。自分たちとしては、いい曲を作って、いいパフォーマンスをして、自分たちが楽しいとかカッコいいと思える音楽スタイルでやり続けることが一番大事なので、そのなかでいろんな可能性が広がっていけば僕らも飛び込んでいきたいです。でもそのあたりは肩肘張らずにナチュラルに活動していけたらと。11月にColdplayの東京ドーム公演にゲスト出演させていただきましたけど、彼らみたいにワールドツアーをやってみたいなとか、そんな気持ちもあります。規模が大きくなるってすごいことですし、嬉しいことですけど。まずはいろんな国の方たちとコミュニケーションをとりたいし、より多くの国の人々に自分たちの音楽が届いてる実感が得られたら、僕らの人生はより楽しいだろうなと思います。
――TVアニメ『葬送のフリーレン』に「勇者」、『【推しの子】』に「アイドル」などTVアニメのOPテーマやEDテーマとして曲を書き下ろすことも多い彼ら。今回の特集「エンタメ NEW FILE」にからめてアニメタイアップ曲における、制作上の大変さや面白さについて聞いてみた。
ikura:アニメーションがあって、曲ができて、そこに歌を乗せていくときは、正解が最初はなかなか見つからないことが多いので、何時間も探りながらレコーディングをすることも。声色や歌い方のニュアンスを決めていく段階では、どのタイアップ曲においても時間をかけています。大変さはありますが、みんなで宝探しをしているような時間って意外と楽しいんですよね。
Ayase:「勇者」は特に時間がかかりました。アニメのタイアップ曲の歌入れの場合は3パターンあるんです。ikuraが自分で用意して考えてきた歌声が本当にフィットしてそのままレコーディングするパターンと、僕の頭の中にあるこういう声が欲しいっていうイメージをベースに生み出していくパターン、あとは歌ってみないと正解がわからないなというパターン。「勇者」に関しては僕のなかでも何個か選択肢がある感じだったので、どれが正解なのかという選定に時間がかかりました。後悔したくないから、こだわり始めると細かくこだわっちゃうゾーンに入るときがありますね(笑)。
――これまで制作されたアニメタイアップ曲がいずれも大きな話題になっているのは、まさに作品の持つ力とYOASOBIの相乗効果の賜物。自分たちの楽曲とアニメとの相性の良さには自信がある。
Ayase:YOASOBIの楽曲とアニメーションはすごく親和性が高いと感じています。僕らはMVにしても、アニメーションのものばかりですし。やっぱりストーリーミュージックを手掛けているので、YOASOBIにアニメの主題歌を担当させてくれれば、絶対間違いないですよっていう気持ちでいます。作品に対する理解度は誰よりも持って作っているつもりですし、納得してもらえる曲を作る自信があるんです。
ヨアソビ 2019年に結成した、コンポーザーのAyaseとボーカルのikuraからなる音楽ユニット。コンセプトは“小説を音楽にするユニット”。シングル『勇者』の〈完全生産限定盤〉(CD+巻物ブックレット)が発売中。
アヤセ(写真右) YOASOBIのコンポーザー。全ての作詞・作曲を手掛けている。2018年からボカロPとして活動。LiSAや鈴木雅之ら数々のアーティストに楽曲提供などを行う。’22年より自身がボーカルを務めるソロ活動もスタート。
ダブルジャケット¥31,900(ルイス/ルイス EX ストア トウキョウ TEL:03・6452・5544) 中に着たブルゾン¥35,200(ブルーナボイン/ブルーナボイン代官山店 TEL:03・5728・3766) パンツ¥16,940(メゾンスペシャル/メゾンスペシャル 青山店 TEL:03・6451・1660) ブーツ¥44,000(アシックス/アシックスジャパン お客様相談室 TEL:0120・068・806)
イクラ(写真左) YOASOBIのボーカル。ソロの幾田りら名義ではシンガーソングライターとして活動。あのとダブル主演を務めるアニメ映画『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』が来年3月と4月に公開予定。
パーカ¥74,800(ハイク/ボウルズ TEL:03・3719・1239) リブトップス¥29,700(ウィザード/ティーニーランチ TEL:03・6812・9341) キャミソールドレス¥63,800(エボニー info@ebony00.com) ブーツ¥24,200(アメリ/アメリヴィンテージ TEL:03・6712・7887) その他はスタイリスト私物
※『anan』2023年12月27日号より。写真・森山将人(TRIVAL) スタイリスト・船橋翔大 ヘア&メイク・YOUCA プロップスタイリスト・松尾 優 森井耕作 取材、文・上野三樹 撮影協力・BACKGROUNDS FACTORY
(by anan編集部)