「初めて主演でお話をいただいた時は、プレッシャーよりも先に『嬉しい!』の一言でした。実際に現場に入ると、これまでとは景色も違って見えたり、周りのみなさんとの距離感もまるで違う感覚だったので、自分にとって役者として学ぶべきことが多く、いい刺激を受けています」
演じるのは、大手化粧品メーカーでバリバリ働き、年収1000万超の30歳、鏑木都(かぶらぎ・みやこ)。画家になるという夢を叶えるために、働きながら藝大受験に挑む、情熱的な女性だ。
「都はいわゆる、ザ・エリート。堅く見えるかもしれませんが、プライベートでアトリエにいる時や、同じ志を持つ仲間といる時は、とても親しみやすい人。そのギャップがまた、都の愛嬌や可愛らしさを際立たせ、すごく魅力的なところだと思います。ただもしかしたら、そんな都と私のパーソナリティはずいぶん違うと思われるかもしれません。私は無機質というか、人間味のないイメージを持たれることが多くて…。でも、普段の私は結構違うんですよ。人と話すことも大好きだし、よくお笑いを見て笑っているし(笑)。だから、愛情深くて人情味溢れる都には、共感できる部分が多いんです」
都は美術予備校で“才能の塊”真太郎と出会う。都との圧倒的な“才能格差”に加え強烈な性格の6歳下。
「最初はそんな真太郎に驚く都ですが、接するうちに彼の優しい心が見えたりして、関係性が生まれていきます。私自身、人間観察をよくするのですが、第一印象でむすっとしている人に会うと、冷たいな…とは思いつつ、そうなった理由を考えるタイプ。だから、真太郎は何を思ってこの行動に出ているのか、と相手の感情に理解を深めながら演じています。そうして距離を縮めていくことは、私にとっては楽しいんですよね」
第2話の放送を控える今作。
「ちょうど家に帰って一息つく時間帯。家でくつろぎながら『自分、お疲れ』って気持ちで、気楽に見ていただけたら嬉しいです」
プライベートでも、都のように絵を描いたりデザインをしたりと、クリエイティブな活動をしているSUMIREさん。モチーフのインスピレーションは、日常生活にあるそう。
「外に出かけている時に、いろんなモチーフを見てこれとこれを組み合わせたら面白そう、なんてよく思っていて、それらをもとに創造したりします。とくに、お花や動物を描くのが好きで、ただ普通に描くのではなく、ライオンに好きな服を着せておしゃれにしてみたりと、いろんな色に染めたい。ヘンテコなものも大好きなので、使う色は全部変えてみたい、とも思っちゃうんです(笑)。同じような気持ちになる方もいるかもしれませんが、視覚だけではなく気温や天気、匂いなどとともに記憶をしまい込むことも多くて。そういう感覚が、なにかのきっかけでふと蘇ることもまた、制作意欲に繋がっているのかもしれません」
『階段下のゴッホ』 大手化粧品メーカー勤めで年収1000万超え、社内の人望も厚い主人公・都(SUMIRE)は、ある絵画をきっかけに幼少期の夢、画家を目指すことを決意するが、美術予備校で圧倒的な才能を持つ真太郎(神尾楓珠)に出会い…。毎週火曜日24:58~、TBS系列で放送中。©「階段下のゴッホ」製作委員会
スミレ 1995年7月4日生まれ、東京都出身。2014年より『装苑』モデルとして活動し、ファッションを中心に様々なジャンルで活躍、’18年に俳優デビュー。出演作は映画『ボクたちはみんな大人になれなかった』、ドラマ『魔法のリノベ』など。
※『anan』2022年9月28日号より。写真・岩澤高雄(The VOICE) インタビュー、文・若山あや
(by anan編集部)