「パタリロって、頭が切れる上にすごくテンションが高いので、ひとつのセリフの中にいろんなことが詰め込まれているし、感情も波状的に変化していくんです。しかも、舞台上で着替えながら“夜なべしているお母さん風”に説明セリフを言う…みたいな場面も多くて、最初の頃は本当に苦戦していました。表情の作り方に関しても、当初はこのコマのこの表情をやってみようと、原作を意識したりして。ただ、もう今は『パタリロ!』の世界に入ったら自然にできる。ミーちゃん先生(魔夜先生の愛称)が『描いているとパタリロが勝手に動いてくれる』とおっしゃっていたんですが、僕も…セリフはもちろん覚えますけど、パタリロに動かされているような感覚です」
かなりぶっ飛んだ役柄ながら、「じつは愛情深い面も」あったり、幼くして王位を継いだ孤独も抱える人物。ゆえに「コメディの部分だけでなく、繊細なお芝居もやらせてもらえるのがすごく嬉しい」と語る。コメディリリーフ的な役割を担うことも多いが、どんな役も人間味溢れるリアリティのあるキャラクターとして見せてくれるのが加藤さんだ。
「以前、『出オチだから、そこにいるだけでいいから』と言われた現場があって結構ショックで。でも逆に、何クソ精神が駆り立てられたんです。妄想を広げて役を深掘りして、自分との共通点を見つけながら役を手繰り寄せていく、ということをより大事にするようになりました」
ならば、パタリロとも共通点が?
「役に悩んでいたときに(演出の小林)顕作さんに『諒くんが計算高いんだから、そのまま演じればいいのに』って言われたんです(笑)。それまでパタちゃんを演じるならばこうあらねばを必死に考えていたんですが、自分のままでいいんだって思ったらすごく楽になれたんです」
今回は、MI6の凄腕エージェントであるバンコランと美青年たちとの複雑な恋愛模様が展開されていく。
「今回、新たなキャストを迎えて、歌やダンスに力を入れるのかなって思うので、自分も負けないよう頑張って踊るぞと気合を入れています」
『舞台「パタリロ!」~ファントム~』 殺し屋・ファントムの逮捕を命じられたバンコラン(宇野)は、なんとか接触を試みるが、危うく殺されかける。バンコランの恋人・マライヒ(後藤)は超能力を使うファントムに対抗すべく、パタリロ(加藤)とともに魔術師のミスターフー(井阪)の元を訪れ、彼の協力を仰ぐが…。今公演は漫画の連載開始45周年記念を謳っており、祝祭的な演出にも期待大。9月1日(木)~9月11日(日)東京・天王洲 銀河劇場、9月17日(土)~9月19日(月)大阪・サンケイホールブリーゼ 原作・魔夜峰央「パタリロ!」(白泉社刊) 脚本・池田テツヒロ 演出・小林顕作 出演・加藤諒、宇野結也、後藤大、佐藤永典、井阪郁巳、中村中、丘山晴己ほか 全席指定9000円 https://www.nelke.co.jp/stage/patalliro2022/
©魔夜峰央/白泉社 ©舞台「パタリロ!」製作委員会
かとう・りょう 1990年2月13日生まれ、静岡県出身。子役として『あっぱれさんま大先生』でデビュー後、数々のドラマや映画で活躍。近作にドラマ『ナンバMG5』など。
衣装はすべて参考商品(NaNo Art nano‐art.contact@nano‐art.info)
※『anan』2022年9月7日号より。写真・土佐麻理子 スタイリスト・久保田姫月 ヘア&メイク・大西智雄 インタビュー、文・望月リサ
(by anan編集部)