『ラヴィット!』MC・川島明 生放送CM中に“ツイート検索”するワケは?

エンタメ
2022.06.19
朝=ワイドショーが“当たり前”とされるテレビ界において、情報よりも“笑い”を届ける姿勢が話題を呼び、いまファンを増やし続けている朝番組『ラヴィット!』。TVerの浸透などにより、テレビの視聴スタイルも大きく変わる昨今。『ラヴィット!』が愛され、これまでの常識の壁をぶち破り続ける秘密とは?

『ラヴィット!』躍進の3つのPOINT

1、お笑い濃度の高さ。

「大喜利番組」と称されるほど、本気の笑いを追求。
番組開始当初は、評価が高いとはいえなかった『ラヴィット!』。番組がいま多くの人の注目を集めている最大の理由は、逆境に立たされても、ワイドショーが主流の朝の時間帯に、純度100%のバラエティ番組路線を貫いたこと。決してブレることなく、ストイックに“笑い”を追い求める姿勢が話題となり、徐々にファンが増加。昨年秋から、朝の帯番組では異例のTVerでの見逃し配信もスタート。朝番組の常識を塗り替えようとしている。

2、個性豊かすぎる出演者。

芸人もアイドルも、みんなが輝く番組構成。
出演者の中心はニューヨークや見取り図、ぼる塾などの若手芸人。彼らが番組を盛り上げていることは確かだが、決して「芸人だけが活躍できる番組」ではないという点も『ラヴィット!』が支持を集めている理由のひとつ。Snow Manや日向坂46など、アイドルグループのメンバーも毎回きちんと結果を残し、その活躍はTwitterのトレンドワードに挙がることもしばしば。若い世代を中心に、多くの視聴者層を取り込む要因に。

3、川島さんのやさしいMC。

包容力と安心感たっぷりの新しい理想の上司像。
番組を語る上で欠かせないのが、川島明さんのMC力。若手からベテランまで多彩な出演者をまとめ、随所でコメントをフォローし、笑いに変えていく。また自らも積極的に「大喜利」に参加し、決して“偉そうにしない”姿勢は、まさに多くの若い世代が求める理想の上司像。出演者も視聴者もみんなを笑顔にさせる川島さんの魅力が、ワイドショーしかなかった朝の時間帯に新風を吹き込み、底抜けに明るい番組作りを成功させている。

躍進の立役者・MC川島明さんに聞く『ラヴィット!』の今までとこれから。

劣勢から、お笑い好きが録画してまで見る番組へ。巷の評価を一変させた番組の顔・川島明さんが、MCのオファーを受けてからの想いを語ってくれました。

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朝のテレビ番組といえば、時事・芸能ネタを扱うワイドショー。そんな“常識”を壊した唯一無二の番組『ラヴィット!』。そのMCを務める麒麟の川島明さんはオファーの時点から、朝からバラエティ番組をやる気満々だったそう。

「お話をいただいて、ワイドショーなら上手い人はたくさんいらっしゃいますし、僕がやる意味がないので、お断りするしかないなと。“朝からバラエティをやる”ということなら、僕ができることを一生懸命やらせてもらいますとお伝えしたんです。そして、スタッフさんが“バラエティをやるんだ”と覚悟を決めてくれた。『唯一無二の番組』と言ってくださるのなら、その覚悟こそが、そうさせてくれたんだと思います。最初は朝らしいオシャレなことも狙ってはったみたいですけど、僕自身がそうじゃないからできなかったというのもありますが(笑)」

クイズはボケが飛び交う大喜利大会と化すなど、笑いの純度が高い、これまでの朝の帯番組にはないスタイルを築き、お笑い好きの若者という新しい視聴者層にリーチ。そのきっかけとなったのが、同局で放送中の『水曜日のダウンタウン』で“『ラヴィット!』の女性ゲストを大喜利芸人軍団が遠隔操作すればレギュラーメンバーより笑いが取れる説”だった。

「本気でバラエティをやっていても“朝のワイドショー”と思われていた頃に、『水曜日のダウンタウン』さんに取り上げていただいて、“しっかり大喜利をやってる番組”という輪郭が出来上がりましたね。お笑い好きが見てくれるようになった分、良識者が離れていった気もしますが(笑)」

Entame

今日は何が起こるんだろう。そんな生放送ならではのワクワク感も、番組の醍醐味。編集部がスタジオを見学させていただいた日も、台本にはない流れが川島さん発信で起こり、スタッフが大慌てで対応するライブ感が笑いを呼ぶ。

「絶対こっちのほうが面白いと思ったら、予定にない方向に振り切りますね。スタジオがドタバタしてるところが映っちゃうのも、編集できない生放送のよさ。僕が思い付きでやってしまうんで、スタッフさんはしんどいはずですが、毎回対応してもらえるのも、1年やってできた信頼関係の賜物」

生放送だからこそ、自分らしさが一番出せるとも。

「たとえば収録で『ここの肉がめっちゃおいしい』とどれだけ語っても、編集はありがたいことなんですが、自分の言葉だけで熱量を伝えるのは難しいんです。その点『ラヴィット!』では、言いたいことをそのまま、好きなだけ言えますからね。そうやってみんなが喋り倒して、最初は2分だったオープニングトークが、この前なんて55分もやってました。55分やって『さあ、「ラヴィット!」スタートです』って、じゃあ今まで何見せられてたんだっていう(笑)。2時間の生放送という、いま芸人にとって一番贅沢な時間の使い方をさせてもらっているのが『ラヴィット!』だと思います」

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“自分らしさが出せる”のは、他の芸人さんも同じ。川島さんの緊張を強いない空気感と、どんなにスベってもひと言で笑いに変えてくれる抜群のセンスが安心感をもたらし、チーム全体が盛り上がる。

「そんなふうに評価していただくこともあるんですけど、僕は、横に添えてあるガリみたいな笑いの取り方が、好きなだけ。人のために自分を抑えてると言われると嬉しいんですけど、アピール下手なんかなってちょっと傷つきます(笑)。若手の頃は、(島田)紳助さん、(明石家)さんまさん、ダウンタウンのお二人の番組に出させていただく時は、前の晩、寝られんくらい緊張して、完全に僕の実力不足なんですけど、なかなか自分の味を出せなかったんです。そういう経験もありますし、基本的に喧嘩や戦いが嫌いなんですよ。ディベート系の番組は心が折れるから絶対に出ない。そういう人間なんで、人を威圧したくないっていうところはあるかもしれないですね。かといって、芸人だけの空気にもしたくないんですよね。芸人だけで盛り上がっていると、せっかく来てくださった俳優さんだとか違うフィールドの方や視聴者を置いてきぼりにしてしまうので」

実は、CM中にスマホでツイート検索して、視聴者の反応をリアルタイムで追っているという。もちろん、スタッフの許可を取って。

「Twitter検索は、漫才しながらお客さんの顔見てる感覚に近いですね。何の気なしにボケたことがトレンドに入ってるのを見て、エンディングで拾ったり。炎上しかけてることも、あえて本番中に触れることで、その状態自体が笑いになるんですよ」

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仕切り力に加え危機管理能力まで◎。MC力が高く評価されるのも納得だが、番組を引っ張る立場として、気をつけていることは?

「最初から何をやってもいいとしてしまうと、番組を盛り上げるためによかれと思ってやっていることでも、見る人を不快にさせたり、時には傷つけることもあります。だから、品は大事にしてるんです。それは自分のルールとしてあって、違う笑いの取り方がいっぱいあるのに、品のないテーマやロケに僕はゴーサインを出したくない。そこの判断は、冷静にバランスを見ながらやっているつもりです」

そうした冷静さは、「最初から1年やそこらで結果が出るとは思っていなかった」という発言にも見て取れる。酷評もあった期間を経て、“面白い”というバラエティ番組として最高の評価を各方面から得た今、「結果が出た」と言ってもいいのでは?

「まだまだです。さっき戦いが嫌いって言いましたけど、そんな僕がいざ戦うとなったら、圧倒的な数字と影響力でもって、完膚なきまでやり合いたい。そこで初めて、『「ラヴィット!」なんてすぐ終わる』と言っていた人に『結果が出た』と言いたい。逆風が吹いていた中でも、変なことをやっている意識はあったんですが、それは焼き鮭や納豆という日本の朝の食卓に、いきなりケバブが出てきたみたいなもん。今は、朝なのにバラエティということで面白がってもらえてますけど、放送時間帯に関係なく、どんな番組とも競い合えるように、浮かれることなく、足腰を鍛えないと! 当面の夢としては、週末に“増刊号”をやりたいですね。特番や1周年の振り返りVTRを見たら、ギュッと編集されたものに、生とはまた違った面白さを感じたんです。『王様のブランチ』に“今週の『ラヴィット!』”というコーナーを作ってほしい。その間『ブランチ』の方々には、素敵な休憩時間を過ごしてもらえるかと(笑)」

Entame

かわしま・あきら 1979年2月3日生まれ、京都府出身。’99年、田村裕とお笑いコンビ「麒麟」結成。『100%!アピールちゃん』(MBS・TBS系)や『ウワサのお客さま』(フジテレビ系)などに出演。

『ラヴィット!』 毎週月~金曜8時~TBS系にて放送中。“日本でいちばん明るい朝番組”をコンセプトに、2021年3月に放送開始。朝の常識を覆す、独自のバラエティ番組路線が話題を呼び、若い世代を中心にファンが急増中。TVerでの見逃し配信も人気に。

※『anan』2022年6月22日号より。写真・小笠原真紀 取材、文・小泉咲子

(by anan編集部)

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