「よく話題に上るようになったのは、タレントさんが一粒万倍日に入籍を発表するなどしたのもきっかけの一つかと思いますが、そもそも一粒万倍日や天赦日は、江戸時代まで使われていた暦の中にある大吉日です。暦はおもに寺社などによって考案され、大安は六曜、一粒万倍日は選日、天赦日は暦注下段など、40種類以上もあったといわれています。現在の西洋のカレンダーのように日付で区切るものではなく、“運気の波”を様々な手法で割り出しているのが特徴です」(日本良学・藤本宏人さん)
そして運気には必ずアップダウンがある、というのが古(いにしえ)の考え方。
「なかでも運気の良い日にだけ注目したのが、江戸時代の人たちの暦の活用法。それがどんな意味合いの吉日なのかを知って、自分の行動の指標にするのです。例えば人に会うことが幸運のカギとされる吉日なら、知らずになんとなく会うよりも、知って行動したほうが、運気の恩恵にあやかれる。社会全体の運気の波に、意識的に自分を寄せていくことが大切です」
また、吉日は、単体ではなくほかの吉日も併せて見ることで、ご利益の確度が高まるという。
「例えば一粒万倍日なら何でも万倍になるわけではなく、ほかの吉日から具体的な内容と傾向を読み解き、それに合った行動をすることが大事。また、吉日には西洋の暦と数秘術により導き出される陰陽があり、陽なら積極的に動き、陰なら思想や検討に充てること。下記では4月の吉日と、その日に何をするといいかを紹介。基本的には、吉日が重なるほど良い日と考えます。仏滅や不成就日などネガティブな暦が重なることもありますが、良い波に自分を寄せることが重要なので、気にしなくて大丈夫。運気は目に見えません。しかし、江戸の人たちは幕府も含めて、暦からその波を捉えることで発展しました。先人の知恵を、今に生かしましょう」
2022年4月の吉日
藤本さんの読み解きで、4月の吉日トップ5をピックアップ。行動に役立てて。
【4/9】陽の大吉日(大安、大明日、月徳日、建)
行動を起こすと評価され、また行動したくなる!
建は、行動を起こすのにいいタイミングで、大明日からは、それが評価されると読み解ける。また、月徳日や、陽の大吉日であることも考えると、積極的な行動によって人から褒められ、また行動したくなるという、いいサイクルが生まれそう。仕事でもプライベートでも、自分が伸ばしたいと思う分野でのアクションが、明るい未来を創造する。
大明日(だいみょうにち)
太陽が隅々まで明るく照らす、という意味を持つ日。この運気の波に乗るには、カギとなる物事に、光を明るく当てるように意識すること。それが何なのかは、重複する吉日から読み解く。
月徳日(つきとくにち)
その月の福を司る日。目に見えない領域のパワーが高まり、意識的に行うより、意図しない物事に身を任せたほうがうまくいく。仕事や人間関係など、あらゆることに支障なし。
建(たつ)
物事が建つ、つまり何かやろうとしていることが、うまく実現するタイミング。とくに建築関係に吉。逆に、計画の見直しや仕切り直しには向かない日。
【4/11】陽の大吉日(神吉日、母倉日、満)
自ら培った情報を公開すると人や仕事など良縁の引き寄せに。
神様がご機嫌の神吉日。また、この日の満は、自分の中に蓄積した情報が溢れ出し、それを人に伝えることで良縁が広がると解釈できる。良縁とは、人間関係はもとより、仕事や遊び、お金も然り。母倉日でもあるので、見返りを期待せず行うこと。SNSでの発信や、友達、家族などとの会話の中で、とっておきの情報を惜しみなく。
神吉日(かみよしにち)
神様のご機嫌がいい日。そのため神事に関わることをすると、運気の波に寄せられる。陽の吉日ならお参りに行くのがラッキーアクション。陰の吉日なら、心の中でお祈りを。
母倉日(ぼそうにち)
母が子を思うように、慈愛や無償の愛が強くなる日。人に親切にするのがその一つで、だからといって相手からの感謝を期待するのではなく、見返りを求めない行為が良い結果を招く。
満(みつ)
これまで努力してきたことや、コツコツ積み重ねてきたことが、成果として表れる日。受動的な態度が良好で、肩の力を抜くと持ち前の能力が発揮できる。
【4/17】陰の大吉日(一粒万倍日、神吉日、成、望[満月])
この日に計画したことが、長期にわたり万倍の恩恵を享受。
成が出ている一粒万倍日なので、この日に達成した成果に万倍の効力がかかる。ただ、満月が重なると強すぎる懸念があり、陰の大吉日でもあることから、この先、万倍化したいことへの準備に充てるのがベスト。例えば語学を学びたいなら、どんな方法があるかリサーチするなど。ここで計画したことは、長期にわたり万倍の恩恵が得られる。
一粒万倍日(いちりゅうまんばいび)
選日という暦から割り出される強力な吉日で、“一粒の籾が、万倍にも実る稲穂になる”という意味を持つ。そのため、大きく育てたい物事を始めるのに良い日だが、良縁、仕事、お金など、何を万倍化させるのに適しているのかは、重複する吉日次第。さらに、陽であれば実際に行動に移し、陰であれば心の中で思うなど、陰陽でもやるべきことが異なる。年ごとに微差はあるが、年間60回ほど巡る吉日で、比較的チャンスが多い。
成(なる)
何かに挑戦したり、未体験のことをやってみたりすると、それが成果につながり、良い運気が取り込める。作業中の物事も、この日を締め切りにするといい。
【4/22】陰の大吉日(神吉日、大明日、母倉日、除)
欲しいものについて検討を。その選択が自分の世界を広げる。
神吉日や母倉日など慈愛溢れる吉日に除が重なっていることから、何が欲しいのか、神様が望みを聞いてくれる日と読み解ける。この日は陰なので、実際に買うのではなく、欲しいものについて検討すると、今まで気づかなかった情報や知識が得られそう。そのうえで買うのもよし、やめてもよし。この時の選択が、より良い未来につながる。
除(のぞく)
障害が取り除かれる日。そのため面倒なことや、後回しにしていたことも、この日に取り組むとスムーズに進む。ただし、恋愛関係には注意が必要。
【4/29】陽の大吉日(一粒万倍日、神吉日、鬼宿日、天恩日、月徳日、成)
人に対する何気ない気配りが、万倍にもなって返ってくる。
神様が上機嫌で、良い鬼が味方してくれて、天に感謝したくなるような偶然が起こる…など、様々な吉日が集中した、4月の中で最も運気が強い日。自然な気配りで、人に何気なく優しい言葉をかけるだけで、嬉しいことが万倍にもなって返ってくる。友達や道行く人など、誰かをケアする気持ちを片隅に持ちながら、一日を過ごしてみよう。
鬼宿日(きしゅくにち)
鬼は、人間よりもはるかに力の強い存在。なかでも良い鬼が、この日は人間を助けてくれる。つまり、自分ではどうにもできないことが、人知を超えた力により、動きだしやすい。
天恩日(てんおんにち)
すべての人が天からの恩恵を受ける日。様々なことに徳が得られやすく、とくに自力ではなく他者からもたらされた物事が、良い結果につながる。感謝を忘れずにいることが大切に。
藤本宏人さん 日本の伝統から生まれるご利益を様々な形で伝える日本良学代表。ご利益研究34年。著書に『365日のご利益大全』(サンマーク出版)。日々の暦から良い側面のみ抽出して届ける「ご利益1万倍のこよみメール」(https://ryougaku.co.jp/koyomi-mail)を毎日配信中。
※『anan』2022年4月13日号より。イラスト・宮原葉月 取材、文・保手濱奈美
(by anan編集部)