毎回自身の挑戦の場に? 藤田玲&荒牧慶彦&北園涼、映画『A3!』の見どころを語る
秋組・冬組が活躍。エーステの世界が映画館で。
秋組:古市左京 役 藤田 玲
――舞台で演じた世界を映画で再び演じ直して、いかがでしたか。
藤田 玲さん(以下、藤田):これまで想像だけだった世界が目の前に実在していることが嬉しかったですね。たとえば劇中劇を、僕らはエーステが上演される劇場で演じていますけど、映画ではMANKAIカンパニーの専用劇場のセットがストーリー通り小劇場の規模感ですし。寮も出てきますが、暮らしぶりが具体的に見えたことで、よりリアリティを持てるようになりました。僕の演じる左京さんにしても、映画と同時に撮ったスピンオフの中でMANKAIカンパニーを潰しに来る前を演じられたことで、今後、演劇や劇団への想いを確実な感情を持って演じられるような気がしています。
――映画の中で特に印象深かったシーンはありますか。
藤田:たくさんありますが、リビングで万里(水江建太)と十座(中村太郎)に手錠をかける場面は楽しかったですね。何より、ふたりがとても可愛かったんですよ。あとはやっぱり、秋組全員が自分自身のことを発表する「マイポートレイト」です。過去の回想が映像になっていることで、ひとりひとりへの理解がより深まるし。あと、万里が夕焼けに照らされる場面が本当に美しくて、照明部さんの素晴らしい仕事に感動しました。
――秋組はどんな組ですか?
藤田:それぞれのキャラクターがうまく噛み合っていて、すごくバランスがいい組だと思います。あと、他の組と比べるわけじゃないですが、プライベートでもこんなに集まってる組、他にないと思います。
――そんなに仲がいいんですね。以前、秋組リーダーである万里役の水江さんが、秋組のチームワークの良さは藤田さんの存在が大きいとおっしゃっていて…。
藤田:我々の仕事って、一期一会の現場が多いですが、エーステは公演の数が多いこともあり、顔を合わせる頻度が高くなるわけです。組結成当初は、それこそ建太とか舞台経験が少ないメンバーもいたので、こうしたら面白くなるんじゃないかというようなことを言ったり、芝居が舞台にのってからは毎日刺激を与えられるよう、毎回芝居をちょっと変えたりっていうことは自発的にしていたかもしれません。でもいまや、(赤澤)遼太郎とか建太は本番で自分から仕掛けてきたりするくらいですからね。単純に彼らといるのが僕自身も楽しいし、秋組が自分の居場所になっているんですよ。僕はダンスが苦手なんですけど、エーステはダンスが多いので、毎回自分の挑戦の場にもなってもいますし。
――エーステが多くの人に支持される理由はなんだと思います?
藤田:舞台を経て役者が育つ。そこの作品とリアルが合致したっていうのは大きいと思うんですね。演じる僕らも共感する場面がたくさんあります。個性的な劇団員ばかりですから、ひとりくらいは自分と似た性格のキャラクターがいるだろうと思いますし、役者でなくとも共感する部分はやっぱりあるんじゃないかと思うんですよ。
――左京さんの魅力とは?
藤田:カッコいいですよ。MANKAIカンパニーはもちろん、監督さんや秋組、演劇のこと、みんなのことを第一に思う熱い人。演劇人として鑑のような存在です。
稽古に励む秋組の面々。器用で芝居勘のいい万里に比べ、演劇への情熱は強いが一向に上達しない十座。喧嘩ばかりのふたりを見かねた左京は、ふたりを手錠で繋いでしまう。そんななか自身を語るマイポートレイトの稽古がおこなわれて…。
ふじた・れい 1988年9月6日生まれ、東京都出身。俳優として活躍する傍ら、ミュージシャンとしても活躍。近作にミュージカル『ホイッスル・ダウン・ザ・ウィンド』など。ミュージカル『ネクスト・トゥ・ノーマル』出演中。
ジャケット¥46,200 シャツ¥22,000 パンツ¥35,200(以上ラッド・ミュージシャン/ラッド・ミュージシャン原宿 TEL:03・3470・6760) 靴¥10,450(opposite of vulgarity/HEMT PR TEL:03・6721・0882) ネックレス ¥40,700 バングル(上)¥77,000 リング¥36,300 イヤーカフ¥24,200(以上PLUIE/PLUIE Tokyo TEL:03・6450・5777) その他は私物
冬組:月岡 紬 役 荒牧慶彦、高遠 丞 役 北園 涼
――舞台で一度演じた場面を今回の映画であらためて演じたわけですが、いかがでしたか。
荒牧慶彦さん(以下、荒牧):エーステがちょうど「ACT2!」に突入するタイミングで、エームビで原点の話をもう一度やれたっていうのはよかったよね。
北園 涼さん(以下、北園):キャスト同士の仲が深まった今だから出せた深みみたいなものもあったと思う。
荒牧:(倉田)監督が僕らが構築してきたキャラクターを尊重してくださり、自由に演じさせてくれたしね。
北園:ただ、ストリートACTのシーンは、結構なボリュームでやってても全然声が響かなくて、リアルな野外ってこうなんだって…。
荒牧:あれは結構苦労した!
北園:あと印象的だったのは、紬と丞の大学時代の回想。これまでエーステでは着たことのない大学生っぽい服装が新鮮だった。
荒牧:俺は劇中劇かな。『天使を憐れむ歌。』をMANKAIカンパニーの劇場でやれたのが印象的で。あと、驚いたのはGOD座の劇場の大きさ。いち劇団の規模じゃない。貸した方がいいよ(笑)。
――紬と丞は幼馴染みですが、舞台、映画と役を通じておふたりの関係性も深まってきてますか。
荒牧:それは僕と涼に限らず、冬組全体に言えるかな。涼とはエーステが久々の共演だったんだよね。
北園:以前に共演した時、僕、初舞台みたいなもんでしたから。
荒牧:そうそう。しどろもどろしてた涼を見てたから、エーステで再会した時めちゃくちゃ頼もしくなっているなって。
北園:いやいや…(照)。当時、僕の中では、荒牧さんてすごくクールでなんでもできて、王子様みたいな人だなぁと思っていたんですよね。…過去形ですけど(笑)。
荒牧:おい。現在形にしてくれよ。
北園:今は天然な一面がある、すごく可愛らしい人という印象に変わりました。特に冬組でいると植ちゃん(植田圭輔)とか(上田)堪大さんが、荒牧さんの天然をすぐ拾うから、際立つ(笑)。
荒牧:そうなんだよ。
北園:いまだにキラキラしててかっこいい先輩ではあるんですけれど、そういう一面がクローズアップされちゃうから…。
荒牧:べつに面白いことしようとしてるわけじゃないのにね。
北園:狙ってないのに…いや、たまに狙ってる時ありますよね。
荒牧:たまにね(笑)。
北園:でもそういう時の爆発力がすごいんですよね~。
――冬組はどんな組ですか?
荒牧:全員が全員、投げられた球をちゃんとキャッチして、さらに芝居を膨らませて間違いなく返してくれる人が揃ってるんですよ。僕はそこがすごく好きで…。
北園:わかります。
荒牧:稽古初日の読み合わせの段階で、みんながちゃんと自分のやるべきことがわかってる感じ。
北園:このシーンをこうしていきたい、みたいことをお互いに言わずとも通じ合ってる感じがあって、1回目の稽古で「いいシーンやん」ってなることが多くて。
荒牧:ただ、冬組は感情を内に溜め込むタイプのキャラクターが多くて、他の組に比べて大きな波が起こらないから自分たちで物語に起伏を作らなきゃいけないのが…。
北園:そうそう。冬組は大きな事件が起こらない。それですぐに有栖川誉(田中涼星)に頼っちゃう。
荒牧:涼星、一番年下なのに。助けられてる部分多いよね。
ライバル劇団であるGOD 座から次回公演の観客投票で勝敗を決める「タイマンACT」を持ちかけられた冬組。勝てば借金完済で劇団の存続が決まる。しかし、リーダーの紬と丞の間にある過去のわだかまりから、稽古が思うように進まず…。
あらまき・よしひこ 1990年2 月5 日生まれ、東京都出身。舞台『刀剣乱舞』、ドラマ『たびくらげ探偵日記』などに出演。6月に武道館にて『演劇ドラフトグランプリ』プロデュース、7月に明治座で主演舞台『ゲゲゲの鬼太郎』が。
ジャケット¥39,600 シャツ¥19,800 カットソー¥14,300 パンツ¥23,100(以上VICTIM/VTM TEL:03・6412・7972) その他はスタイリスト私物
きたぞの・りょう 1992年2月9日生まれ、鹿児島県出身。主な出演作に、ミュージカル『刀剣乱舞』、舞台『乱歩奇譚』、舞台『BLOOD-CLUB DOLLS』シリーズなど。近年は歌手としてアーティスト活動もおこなっている。
すべてスタイリスト私物
MANKAI MOVIE『A3!』~AUTUMN & WINTER~
監督・倉田健次 脚本・倉田健次、小橋秀之 脚本・舞台演出監修・松崎史也、亀田真二郎 原作・MANKAI STAGE『A3!』現在全国上映中。©2022 MANKAI MOVIE『A3!』製作委員会
※『anan』2022年4月6日号より。写真・小笠原真紀 スタイリスト・小田優士(藤田さん) 中山寛己(荒牧さん) 矢田貝貴之(北園さん) ヘア&メイク・荻野明美(藤田さん) 鈴木りさ(STRINGS/荒牧さん) 泉脇 崇(Lomalia/北園さん) 構成、文・望月リサ
(by anan編集部)