小さい頃から知っている、ノーマークだった男子(ただしイケメン)から告白されたら……。河内遙さんの『ムサシノ輪舞曲(ロンド)』は、気まずいけれど悪い気はしない、いや、むしろ嬉しいかも!? といったムズムズやソワソワがたまらない作品だ。
comic

「自分よりも若い子の話だと、ある程度の失敗は許せるというか、こういう時期もあったよねと温かい目で見られるじゃないですか。逆に自分の年齢に近いほど、キャラクターの幼稚なところが気になってしまうもの。なのでそういった要素をなるべく排除しながら、恋愛ものとして成り立つ物語にしようと思いました」

武蔵原環(むさしばら・たまき)は35歳。両親と死別し、実家のバレエ教室を引き継いで、子どもたちに教えている。さばさばした性格の彼女に、小さい頃から片想いをしてきたのが、隣に暮らす25歳の阿川龍平。10代のときに二度告白してあっさり振られているのだが、いまだ完全には諦められない様子。

「ふたりは10歳離れていることよりも、姉弟同然であることが難しさになっていると思うんです。環は赤ちゃんだった頃の阿川を抱っこしているし、日常的に家を行き来できるくらい距離が近すぎて、恋愛的なことが始まらない。阿川は諦めるタイミングを逸しちゃった人で、環は環でしっかり考えてこないまま、ずれ込んでしまっているんですよね」

comic

そんななか、とある事情で仲違いをしていた環の弟・文太が戻ってくる。彼の同僚であるテーラーの衣笠が実家を訪れた際、偶然居合わせた阿川は、環が衣笠に心傾く瞬間をまんまと目撃。くすぶっていた恋心に、再び燃料が投下されてしまう。

「私自身が想像しやすいからなんでしょうけど、阿川のようにちょっと陰気で執着心のある男の人を、いつも描いちゃうんですよね(笑)。とはいえ阿川に限らず、衣笠も文太も環も少しずつ種類は違うけれども何かに執着しています。だからどう動いても、どこかのガラスが割れてしまう。押しても引いても、誰かが傷つくことは目に見えているんです」

大人の恋愛は、経験を積んでいるから手っ取り早い半面、今さら疲弊したくないからもどかしい。そのアンバランスさが滑稽だったりするのだが、分別がついてからの三角関係は、各々の意思に反して迷走モード。

「いろんな都合や思惑が絡み合うなかで、それぞれ何を選択するのか。阿川には20代の若者として野暮なことをしたり、情けない感じで切り込んでほしいですね(笑)。それによって、今ある執着がどう変化するのか、見てもらえたら嬉しいです」

『ムサシノ輪舞曲』1 自然体で惚れっぽい環と、不毛な恋心を抱き続ける10歳下のお隣さん・阿川、女好きのするテーラー・衣笠による、煮ても焼いても“おいしい”三角関係。祥伝社 770円 ©河内遙/祥伝社フィールコミックス

かわち・はるか マンガ家。2001年デビュー。主な著作に『関根くんの恋』『夏雪ランデブー』など多数。『涙雨とセレナーデ』連載中(既刊8巻)。

※『anan』2021年11月17日号より。写真・中島慶子 インタビュー、文・兵藤育子

(by anan編集部)

Share

  • twitter
  • threads
  • facebook
  • line
エンタメ

Recommend

こちらの記事もおすすめ

EXO、約6年ぶりの⽇本公演開催! 14年間のキャリアが裏付けるパフォーマンスと未来へのしなやかな覚悟
EXO、約6年ぶりの⽇本公演開催! 14年間のキャリアが裏付けるパフォーマンスと未来へのしなやかな覚悟
Entertainment
まだまだ成長過程。“生の現場”で経験を積む「Cloud ten」のお披露目イベントリポート第2弾!|「zero to ten」第7回
まだまだ成長過程。“生の現場”で経験を積む「Cloud ten」のお披露目イベントリポート第2弾!|「zero to ten」第7回
Entertainment
ドラマ黄金期を牽引した立役者・反町隆史が改めて語る、連ドラの意義と可能性
ドラマ黄金期を牽引した立役者・反町隆史が改めて語る、連ドラの意義と可能性
Entertainment
凸凹コンビが救うのは、怪異に隠された、“誰かを思う”気持ち小説『めぐる糸 明治浪漫霊異譚』
凸凹コンビが救うのは、怪異に隠された、“誰かを思う”気持ち小説『めぐる糸 明治浪漫霊異譚』
Entertainment

Movie

ムービー

Regulars

連載