選考理由:アーティストの七海ひろきさんは、宝塚歌劇団で男役スターとして活躍し、退団後もハンサムな魅力を放ち続ける。マイスタイルを貫く強さのヒミツとは?
女の子が頑張って戦う作品が好き。
――美しく凛々しいビジュアルのみならず、カッコよくジェントルな佇まいはハンサムと形容するのが最も相応しい。宝塚歌劇団を退団して2年半。俳優そしてアーティストとして、独自のスタイルを貫き活動している七海ひろきさん。
「私自身は“貫く”というような強い意識があったわけではなくて、“ありのままの自分がこれだった”という感じなんです。退団してこの先どう進んでいきたいかを自分に問いただしたときに、ありのままの自分でいようと思いました。もともと子供の頃から、兄や幼馴染みとするキャッチボールやサッカー、戦隊ヒーローごっこが好きだったし。長い髪も、結った髪で七五三の写真を撮りたいという父の希望で、たった一度だけ肩まで伸ばしたくらいで」
――当時大好きだったのが、アニメ『少女革命ウテナ』。幼い頃に出会った王子様に憧れ、自ら王子様になりたいと男装する少女が、奇しくも戦いに身を投じてゆく物語だ。
「女の子が頑張って戦う作品が好きだったんですよね。それは今も同じで、『ショーシャンクの空に』は不動の1位として、『キューティ・ブロンド』とか『プラダを着た悪魔』とか、自分の信念を持って、諦めずに先を見て生きていこうとする物語に惹かれます」
――こちらから見えている七海さんは“宝塚の男役”という役割を卒業して以降、より自由に自在に進化を深めている印象。しかしご本人は「ジタバタしたり、さまよっていた時期もありました」と語る。
「在団中はずっと一緒の仲間たちと過ごしていたのが、新しい世界では、どの現場でも“はじめまして”なんです。みんなでいいものを作る想いは同じだけれど、それを瞬発的にやらなきゃいけない現場になかなか慣れませんでした。今もまだ、どこか新しい七海ひろきとして頑張って泳いでいる感覚があるので、もう少し力の抜けた感じになっていければいいなと思っています」
――それでも進むべき方向に対しての迷いはなかったと、きっぱり。そう言い切れるのは「応援してくださる方の存在があるから」。
「在団中、初めてトップスターさんの相手役を頂いたときに、あまりの不安と重責に、少し気持ちが不安定になってしまったことがありました。そのときに支えてくれたのが応援してくださるファンの方々で、あらためて自分にとってどれだけ大事かを実感したんです。今も新しい挑戦に落ち込んだりもがいたりする瞬間はありますが、やりたいことにチャレンジする私を応援してくださるみなさんが一緒にいてくれていると思うと頑張れる。お手紙やSNSの投稿はもちろんですが、発信せずとも心で想ってくれている方もいて、そういうみなさんの存在が嬉しいんですよ」
――そんな七海さんが自分らしくいるために大切にしていることとは。
「変わらないために、進化し続けたいですよね。舞台がまさにそうなんですけれど、昨日と同じことをしても、昨日は絶対に超えられないんです。つねに成長し続けられる七海ひろきでいたいですね」
ななみ・ひろき 茨城県出身。2003年に宝塚歌劇団に入団。’19年の退団後は、俳優、声優、歌手として活動。10月に明治座にてものまね界のレジェンド、コロッケとの共演舞台『令和千本桜~義経と弁慶』を控える。
シャツ¥28,600(クルニ/シアン PR TEL:03・6662・5525) パンツ¥37,400(ウジョー/エム TEL:03・3498・6633) ネックレス¥34,980(ノウハウ/ノウハウ ジュエリー TEL:03・6892・0178) イヤーカフ¥6,600 リングにしたイヤーカフ¥11,000(共にフリンク/ワールドスタイリング TEL:03・6804・1554) バングル¥55,000(フィロソフィーアーツ/ワールドスタイリング) シューズ¥38,500(アンジェロ ルッフォ/ハイブリッジ インターナショナル TEL:03・3486・8847)
※『anan』2021年10月13日号より。写真・樽木優美子(TRON) スタイリスト・藤長祥平 ヘア&メイク・原田武比古 取材、文・望月リサ 撮影協力・バックグラウンズ ファクトリー
(by anan編集部)