1960年代からつねに第一線で活躍し、世界を魅了し続けてきたアート界のレジェンド横尾忠則。彼の60年以上にわたる創造の全貌を一望できる展覧会「GENKYO 横尾忠則[原郷から幻境へ、そして現況は?]」が始まった。

85歳にしてなお挑み続ける横尾氏の画業に迫る。

’60年代にはグラフィックデザイナー、イラストレーターとして一世を風靡した横尾氏。しかし1980年にニューヨーク近代美術館で開催されたピカソ展を観て衝撃を受け、以降「画家」としての活動を開始。その後から具象的な作品を継続して制作するようになる。

そんな彼の激動の人生を表すかのような本展。今回は彼自身が総監修者となり、絵画を中心に初期のグラフィック作品を加えたアートワークを500点以上出品&展示する。

なかでも注目は、彼がコロナ禍に制作した新作だ。全世界がコロナ禍に見舞われる状況の中、横尾は外出も来客も制限しながら、日々アトリエにこもって絵画制作に没頭。昨年から今年にかけて制作された新作は、大作ばかりが20点以上。横尾作品の中で最大級の問題作ともいえるこれらの新作の数々は必見だ。

さらに館内には自身の作品などにマスクをコラージュした「WITH CORONA」のコーナーも登場。2020年5月から、横尾はこの「WITH CORONA」シリーズをツイッターとブログで発信し始める。コロナ禍でのネガティブなイメージをポジティブに変換するこの試みは、現在600点以上制作され、撮影可能としているのもユニーク。また、横尾が滝の絵を描くために収集した1万枚以上の絵はがきのコレクションが、インスタレーションへと展開している滝空間も見どころのひとつ。天井や壁面を覆い尽くす滝の絵はがきは、ダイナミックな体感空間になっている。

「何を作ったかではなく、制作のプロセスが大事」という一貫したメッセージを打ち出し続ける横尾忠則。そんな彼の展覧会は、85歳になっても実験的で挑戦的。アイデアが枯渇することのない柔軟な頭の中を覗き見るような展示は、熱量を伝えつつふと笑みがこぼれる内容だ。

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横尾忠則《高い買物》2020年 作家蔵

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横尾忠則《T+Y自画像》2018年 個人蔵

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横尾忠則《Wの惑星》2005年 作家蔵

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横尾忠則《暗夜光路 赤い闇から》2001年 東京都現代美術館

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よこお・ただのり 1936年、兵庫県生まれ。唐十郎、寺山修司らの舞台芸術のポスターなどを手がけ、’69年にパリ青年ビエンナーレ版画部門大賞を受賞。2012年に横尾忠則現代美術館、’13年に豊島横尾館を開館。
横尾忠則近影(角南範子撮影、2020年)

GENKYO 横尾忠則[原郷から幻境へ、そして現況は?] 東京都現代美術館 企画展示室1・3F 東京都江東区三好4‐1‐1 開催中~10月17日(日)10時~18時(入場は閉館の30分前まで) 月曜(7/26、8/2、8/9、8/30、9/20は開館)、8/10、9/21休 一般2000円ほか TEL:050・5541・8600(ハローダイヤル)

※『anan』2021年7月28日号より。文・山田貴美子

(by anan編集部)

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