意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「パレスチナ自治区(中東和平)」です。

長い歴史のなかで残る禍根。日本は中道を保って。

society

5月にイスラエルと、パレスチナ自治区ガザ地区のイスラム原理主義組織「ハマス」による軍事衝突が起こりました。ハマスはイスラエルのテルアビブに約300発のロケット弾を撃ち込み、イスラエル国軍はAIを使った装備で、ロケット弾を追撃。街なかに車ぐらいの巨大な弾の破片が降ってくるような状態で、多くの市民が巻き込まれました。11日間の戦闘の末、エジプトの仲介により停戦となりました。

そんななか、中山泰秀防衛副大臣のツイッターが注目されました。「最初にロケット弾を一般市民に撃ったのは誰だったのか? 私達の心はイスラエルと共にあります」。この文言だけを読むと日本がイスラエル支持のようにもとれ、世界で問題になったのです。しかし、僕はガザ地区を以前取材しましたが、パレスチナ自治区の住民全員が必ずしもハマス支持とは限りません。ハマスがガザに居続け声を上げるのは、イスラエルが繰り返し、不法にパレスチナ人の土地に入植しているからです。我慢の限界がきてしまったんですね。

イスラエルはアメリカと緊密な関係にあります。日本はアメリカと親和性が高いですが、アラブ諸国ともいい関係を築いています。石油はアラブ諸国から輸入しており、イスラエルと対立するイランからも供給を受けています。なので日本はこれまで、中立の立場で、人道支援という形で関わってきたんですね。中東は、私たちの生活を支える、エネルギー資源を供給してくれている地域です。それにもかかわらず、日本人が中東状況をよく知らないというのは問題なんじゃないかと思います。

イスラエルでは汚職にまみれたネタニヤフ政権が倒れ、大連立政権が立ち上がりました。しかし、新たに首相になったベネット氏はネタニヤフ前首相よりもさらに極右といわれているので、対パレスチナ、中東政策はこれまで以上に厳しくなるかもしれません。イランやシリアは中国やロシアが支援をしているので、イスラエルやアメリカとの対立が鮮明になる可能性があります。中東和平が世界の平和の大きな鍵を握ります。また、エネルギー供給を介し、私たちの暮らしを下支えしていることもどうか忘れないでいてください。

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堀潤 ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。Z世代と語る、報道・情報番組『堀潤モーニングFLAG』(TOKYO MX平日7:00~)が放送中。

※『anan』2021年7月28日号より。写真・中島慶子 イラスト・五月女ケイ子 文・黒瀬朋子

(by anan編集部)

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