『その女、ジルバ』のようなバーを開きたい。
今年の1月から放送されたドラマ『その女、ジルバ』で、元ホステスで直木賞作家のチーママ・真知を演じました。物語の舞台は40代以上しか働けないバー。高齢女性が“今を楽しく生きる姿”を華やかに描いた日本の作品は、とても珍しい。しかも話題にもなった、ということは、本当に素敵なことよね。
実は最初、衣装の着物はもっと地味だったんですが、これじゃつまらないといろいろとアイデアを出していった結果、あんな派手な感じに(笑)。くじらママを演じた草笛光子さんも、最初は踊る予定はなかったんですよ。でも収録が進むにつれて「私も踊りたいわ」とおっしゃり、素敵な衣装でダンスを披露。草笛さんを見ていると私もまだまだ先があると思え、改めて勇気をいただきました。
ああいう、いくつになってもみんながキラキラしていられるバーがあったら、ぜひ飲みに行きたいわよね。っていうか、私が作りたいわ。みんなぜひ働きにいらして!
経験は財産。それを活かせば人生は豊かに。
デビュー当時、私は“スパーク3人娘”というトリオを組んでいたんですが、実質一緒に活動したのは3年程度。でも40年後、「またやろう」と集まったら、すぐに結束できた。そのときに私は、“経験というのは財産なんだな”と強く実感しました。
かつてグループを結成していたから、再結成ができる。また私は一昨年、約30年ぶりに古巣の事務所に所属させてもらったんですが、それもかつてお世話になっていたから、再び入れてもらえた。かつての経験を活かすことで、人生の可能性が更に広がります。
なのでみなさん、あちこちに首を突っ込んでたくさんの経験をしてください。出会いも別れもたくさんあるでしょう。でも先の人生で、それを活かせる機会は絶対に訪れる。だから私はバラバラになるアイドルグループを見ると、いつかその経験を活かして、また集まってほしいと思う。ていうか、集まれるのよ。経験者が言うんだから間違いない(笑)。
なかお・みえ 歌手、俳優。1946年生まれ。‘62年、デビュー曲『可愛いベイビー』が大ヒットし一躍スターに。6/23より米倉涼子と城田優がプロデュースするエンターテインメントショー『SHOWTIME』に出演。
※『anan』2021年6月9日号より。写真・中島慶子
(by anan編集部)