DISH//が語る「猫」以前/以後、そしてこれから。
――’20年は、「猫」の大ヒットがありました。ブレイクの実感は?
橘 柊生:曲が世間に広まった後にライブができていなくて、ブレイクしてるのかどうなのか、まだ理解できていないというのが正直なところですね。約1億回というYouTubeの再生回数は、数字としてはすごいけど、実態としてはまだ感じられていなくて。
北村匠海:そうだね。これまでいろいろ苦い思いもしてきたので、まだ実感がわかない。「すごいですね」と言ってもらっても、「ありがとうございます、恐縮です」と畏まってしまうというか。
――歩んできた道のりを振り返り、変わらないメンバーは?
矢部昌暉:グループが結成された時は、最年長が高1、最年少が中2でした。9年間いろいろ経験して、それぞれ大人になりましたけど、根本は何も変わってないですね。
北村:特に柊生は、昔からずっとバンドの中心であり、人生を楽しんでいる感じが変わらない。
橘:音楽ができて楽しいよ! 定時で働けない人間だから(笑)。
北村:音楽やってないと、社会に馴染めなさそうだよね(笑)。
橘:「バンドが成功しない…。どうしたらいいんだろう」っていう時期もあったけどね。でも、その状況さえも面白くなってきちゃった。この谷をしっかり味わっておかないと、後からくる山を楽しめないぞ。だからこの地獄を味わい尽くそうって。ドMなのかな?
泉 大智:いまさら? 巷ではドMで有名でしょ(笑)。
北村:一番Sなのは、大智。「Sです」って顔に書いてある(笑)。
橘:でも、人と会って数回くらいはMを演じてイジられ側に回る。それで、イラッとしてるよね(笑)。
泉:俺、人に壁作りがちなところあるから。でも、イジられるのも嫌じゃない(笑)。
北村:昌暉はSとかMとかの次元を超えた人。
泉:見た目は真面目なんだけど。突然、衝動を抑えられなくなる。
北村:ある時のライブのゲネがすごくいい感じに終わって、何を思ったか…。
矢部:テンション上がっちゃって、でんぐり返し!
北村:回転した勢いで高い機材壊すという(笑)。昨日もMVの撮影中に盛大に転んでたし。
泉:いまだ子供の心を忘れてないともいえる。
矢部:いいふうに言ってくれてありがとう!
――ニューアルバム『X』はどんな作品ですか?
矢部:’20年の自粛明け、メンバーで集まった時に、今まで以上に一致団結できた感覚があって。そうしたいい雰囲気の中で作れたアルバムでしたね。
泉:まず「挑戦的なアルバムにしたい」というのがあったんです。その名も「ルーザー」が自作曲として初めてリード曲になって、それを1曲目にもってきたのは、かなり挑戦だし、「DISH//として戦っていくぞ」というメッセージが1曲目から伝わるんじゃないかと思いますね。
橘:このアルバムでは「ルーザー」が“動”を表現するリード曲だと思うんですよ。匠海が作詞作曲した「あたりまえ」が“静”。いろんな面を聴いてもらえる一枚になりましたね。
北村:ロック、ファンク、ヒップホップ、踊れる曲…いろんな曲が入ってるからね。アルバム制作中で一番の思い出は、自分たちが作った曲を15曲くらい並べて選ぶ会議でした。「DISH//の歩んだ道とはなんたるか」みたいなことを話す時に僕と柊生がヒートアップしちゃって、スタッフさんと強めの言い合いになったんです。その時、4人の結束を感じられたからこそ、血の通ったアルバムになりました。
泉:二人が4人の思いをガッツリぶつけてくれたから、すごく説得力があった。
矢部:話し合いが終わって帰る時に顔を合わせて、全員「だよね」って表情してて。あの時、何も言わなくてもわかり合ってたんだなって感じた。
北村:この結果を予測してたスタッフさんの手の上で、転がされてただけだったらどうしよう(笑)。
――今後に向けての思いを聞かせてください。
矢部:まずは、自信を持って出せる『X』が多くの人に届いてほしいですね。そして、自分たちができることをやり続けていった先に、おじいちゃんになっても音楽をやっていられたらと思っています。
泉:丁寧に歌い続けていく大事さを「猫」から学んだし、この曲でDISH//に興味を持ってくれた人に、音楽を通じてもっと発信し続けていきたいですね。
橘:去年、「猫」で出させていただいた番組の楽屋で、「自分たちが作った曲でまたここに戻ってきたいね」ってメンバーで話したんです。何年先かはわからないけど、そうなるように日々精進!
北村:一括りにできない多面的な色を持っているのがDISH//。ロックだけの道に行くわけでも、踊らないわけでもなくて、その時どき、僕らの色は変わっていくし、何か一個に囚われる必要を今はまったく感じなくて。音楽で繋がっているこの4人が、音を楽しんで生きていけば、みんなが話したような未来に進んでいけるはず。自分たちが、一番面白がってこれからもクリエイトしていきたいです。
写真右から、
いずみ・だいち 1996年6月1日生まれ。東京都出身。2017年、加入。担当はドラム。テレビ神奈川『関内デビルの泉』レギュラー出演中。SNSで高いファッションセンスを発揮。ブルゾン¥125,000(ブラックミーンズ) シャツ¥33,000(ニュージアン) 共にエムエイティティ INFO@THE-MATT.COM Tシャツ¥8,000(ユーズド/レターズ TEL:03・6427・0280) その他はスタイリスト私物
きたむら・たくみ 1997年11月3日生まれ。東京都出身。ドラマ『にじいろカルテ』(テレビ朝日系)に出演中。主演映画『東京リベンジャーズ』が7月に公開される。ブルゾン¥82,000 Tシャツ¥9,000 パンツ¥39,000(以上レターズ) リング、右手¥34,500 左手¥30,000(共にプリュイ/プリュイ トウキョウ TEL:03・6450・5777) その他はスタイリスト私物
やべ・まさき 1998年1月9日生まれ。東京都出身。担当はコーラス&ギター。俳優として舞台を中心に数多くの作品に出演。『青山オペレッタ THE STAGE』が4月上演予定。コート¥125,000 シャツ¥44,000 パンツ¥43,000(以上レターズ) その他はスタイリスト私物
たちばな・とうい 1995年10月15日生まれ。北海道出身。DJとしても活躍。高いトーク力を持ち、ラジオ『Nutty Radio Show THE魂』(FM NACK5)にレギュラー出演中。ジャケット¥88,000 シャツ¥22,000 パンツ¥48,000(以上ジョン ローレンス サリバン TEL:03・5428・0068) その他はスタイリスト私物
ディッシュ 2011年12月に結成。’13年6月メジャーデビュー。これまでに12枚のシングルと3枚のアルバムを発表。ニューアルバムを記念して、池袋PARCOにて大型展覧会「DISHX EXHIBITION//」が2月28日まで開催中。
約1年10か月ぶり、4枚目のフルアルバム『X』は、2月24日発売。全12曲収録。【完全生産限定盤(CD+2DVD)】¥10,000 【初回生産限定盤A、B(CD+DVD)】各¥6,000 【通常盤(CD)】¥3,000(ソニー・ミュージック)
※『anan』2021年2月24日号より。写真・内田紘倫(The VOICE) スタイリスト・鴇田晋哉 ヘア&メイク・Emiy 取材、文・小泉咲子 重信 綾 撮影協力・バックグラウンズ ファクトリー AWABEES TITLES
(by anan編集部)