愛を感じるエンタメ・スパイラル沼は底なし!
新型コロナの影響でおうち時間が増え、動画配信サービスの登録者が急増。好きな時にCMフリーで視聴を楽しめるのがセールスポイントだけど、最大の魅力はコンテンツ自体に愛を感じるものが多いということ。例えばラブストーリーならば、等身大のヒロインが失敗を重ねたり、悩みながらも想いを遂げる姿が視聴者の共感を呼び起こす。また、世界各国で進みつつある分断の波を止めようと試みるクリエイターによる、ヒューマンな作品も目が離せない。他者への思いやりや多様性を受け入れることの重要性を伝えるメッセージが込められたストーリーに人間愛を実感する。もちろん小難しいことは抜きで、愛らしい動物や赤ん坊を愛でたり、キュートなアニメのキャラクターに心を寄せたり。リアリティ番組の出演者に“推し”を見つけて応援する楽しみ方だってアリだ。
アメリカでは映画館の休館が続き、大手映画会社も公開を動画配信サービスに移行中。当然ながら作品クオリティも上がり、愛を感じる配信作品が増加する。愛あるエンタメのスパイラルはまさに底なしなのだ。
主人公に共感の嵐! 共に成長できるラブストーリー
好きだからワクワクしたり、悲しくなったり。人生を豊かにしてくれる恋愛をドラマで擬似体験!
『エミリー、パリへ行く』(2020年/Netflixにて独占配信中/全10話)
夢を追う主人公にミレニアルズが萌えた!
妊娠した上司に代わって、フランスに赴任したエミリーのキャリアと恋を描く物語。“シック”と無縁のアメリカ人、と同僚にバカにされながらも、SNSを使ったマーケティングで道を切り開くエミリーは、ミレニアル世代の希望の星! ハイブランドをミックスさせたエミリーのスタイルもキュートだ。しかも惚れっぽく、恋の失敗を繰り返す姿に自分を重ねる女性も多いはず。シーズン2の製作も進行中。
『好きだった君へのラブレター』『好きだった君へ:P.S.まだ大好きです』(2018年・2020年/Netflixにて独占配信中/100分・102分)
内気な女子高生が見つけた恋の行方は?
好きな男の子にラブレターを書いては、秘密の箱にしまう女子高生ララ・ジーン。ところが、妹がそれらの手紙を出したことで、内気な少女の恋心が動きだす! 自分に自信がない少女が学校一のイケメンと結ばれるという現代のお伽話で、恋が成就するまでの紆余曲折が甘酸っぱい。恋愛だけでなく、友情や姉妹愛、家族愛も感じさせ、共感度高し。高校卒業を迎えたララに焦点を当てる第3弾も楽しみだ。
『キスから始まるものがたり』『キスから始まるものがたり2』(2018年・2020年/Netflixにて独占配信中/105分・132分)
少女の心の揺れにファンも意気投合!
同じ日に生まれて以来、親友のエル&リー。互いの家族に恋しない約束だったが、エルはリーの兄ノアに惹かれ始める!? 友情と恋の狭間で揺れる少女が愛を掴むまでを等身大の感覚で描き、ティーンのハートをワシ掴みした恋愛トリロジー。初恋が実るまでや遠距離恋愛の難しさが描かれ、「キャラの気持ちがわかる」と応援する人多数! 大学進学したエルとノアの恋の行方を描く第3弾は配信待機中。
『マイルノビッチ』(2021年/2月12日(金)からHuluにて独占配信/全8話)
幸せと恋は努力で掴み取るべし。
佐藤ざくりによる人気少女コミックを実写化。地味でモテない女子高生まいるが、メイクの天才である先輩に触発され、キレイと恋を手に入れる姿を追う青春ドラマ。イケメン俳優の競演も心ときめくが、乙女の心と外見を持つ叔父や、計算高いが憎めない美少女が絡む女性ドラマとしても見応えあり。幸せは人に与えられるものではなく、努力した人だけが自らの手で掴み取れるものと実感するはず。©HJホールディングス
『モダン・ラブ~今日もNYの街角で~』(2019年/Amazon Prime Videoにて独占配信中/全8話)
さまざまな愛に心が揺さぶられる。
ニューヨーク・タイムズ紙の人気コラムに投稿された愛の物語がオムニバス形式で綴られる。ドアマンの支えで脱ダメンズできた女性や、ファザコン女性の失敗談、シニア男女の最後の恋、赤ん坊が欲しいゲイ・カップルが見つけた家族などなど。各エピソードごとにテイストが異なり、クスッと笑えたり、胸が熱くなったり、ホロリとなったり。愛にはさまざまな形があると実感し、心が揺さぶられるはず。
『メイド・イン・ヘヴン~運命の出会い』(2019年/Amazon Prime Videoにて独占配信中/全9話)
結婚事情から見えるリアルなインド。
結婚プロデュース会社を経営するカランとタラが関わる結婚を軸に、現代インドの人間模様が描かれる。処女性にこだわる親世代と新郎新婦とのせめぎ合いや、持参金問題をはじめ、女性の権利や貧困、性的暴行問題などドラマが提起するテーマは幅広く、社会派ドラマの側面も。また同性愛者であるカランを取り巻く親子関係や恋愛模様は、それだけで独立した作品になりそうなほどドラマティックだ。
やまがた・みどり 映画ライター、セレブ・ウォッチャー。レビューやインタビューなどを中心に、弊誌をはじめ、数多くの女性誌や映画雑誌、ウェブサイトなどで幅広く執筆。
※『anan』2021年2月17日号より。
(by anan編集部)