ずっとぬるいお湯に浸かっているからこそ出たくない、そんな作品。
いたって普通でリアルなOLの生態が、ユーモラスかつシュールに淡々と描かれていると話題を集めたドラマ『架空OL日記』が、待望の映画化。そこで、原作・脚本・主演を務めたバカリズムさん(私)、夏帆さん(マキちゃん)、臼田あさ美さん(小峰様)、佐藤玲さん(サエちゃん)、山田真歩さん(酒木さん)の5人に、撮影にまつわるエピソードなどを語っていただきました。
――また5人の顔が見られて嬉しいです! バカリズムさんの久々のOL姿はいかがでしたか?
夏帆:もう違和感を抱くとかは、とっくに過ぎてますね。それより架空OL日記が戻ってきた! って感じ。
臼田:照れくささの方があったかな。
バカリズム:制服姿というよりも、この関係性にね。
佐藤:映画版の撮影でこの5人が最初に揃ったのが、みんなでイタリアンを食べるシーンだったんですが、あの時はちょっと緊張気味で。撮り終えたころに、ああ、こんなふうだったって思い出しました。
バカリズム:夏休み明けの友達に会う感じで少し格好つけてた(笑)。
佐藤:とはいえ、みんな結構がっつり食べてましたけど(笑)。
バカリズム:飯のシーンって意外とあって、俺、結構好きですね。だからこの撮影って太るんだよね。
全員:そうそう!
――撮影の空き時間に、みなさんでファミレスに行ったそうですね。
夏帆:玲ちゃんは来れなかったんだよね。
山田:その時はソヨン役の(シム・)ウンギョンちゃんが一緒だった。
バカリズム:午前中に撮影したカラオケのシーンは、ただ盛り上がって歌ってればいい遊びみたいなシーンで、そのあとのラーメンを食べるシーンの撮影まで超長い空き時間があったんです。それでみんなでファミレスに行って、ステーキとか食べながら3時間ぐらいいたね。
夏帆:スタジオじゃなくてロケだったから、休日感ありましたよね。
バカリズム:都心からちょっと離れたところのファミレスだったから、お客さんも地元の家族とかでね。
臼田:何億円当たったらどうするとか、和菓子と洋菓子どっちが好きとか、しょーもない話して(笑)。
山田:ドリンクバーでダラダラと。
佐藤:行きたかった~。
――まさにOLの休憩時間って感じです(笑)。そういう時ってみなさん、役の延長で話しているんですか?
バカリズム:一応、役は離れてるけど、このメンバーになると無意識に引っ張られてるとは思う。そもそもがっつりキャラクターを作ってはいないにしろ、なんとなく立ち位置がそうなるというか。
――面白いですね。ところで、原作になっているブログで、バカリズムさんが最初にOL日記を書き始めた頃からは14年ぐらい経っていて、OL事情も変わってきていると思うんですが、映画版ではその辺のアップデートがあったのでしょうか。
バカリズム:ありました。現役のOLさんにヒアリングさせてもらったら、昔とは仕事現場の雰囲気が全然違ってて。たとえば女性が普通に管理職についていたり、バレンタインが廃止されてたり、海外からの社員を入れはじめたり。ちょっと男も弱くなっている感じがした。
――それが小野寺課長(坂井真紀)や海外から赴任したソヨンさんなどの新メンバーの背景に?
バカリズム:そうですね。ただ、流行を入れすぎちゃうと、来年にもこの作品が古く見えてしまうので、流行は最低限に抑え、時事ネタは入れないようにはしました。
――最近は、女性の制服もなくなってきてますね…。
バカリズム:そうなんですよ。でもそこをやめちゃうと、僕の立場がわけわからなくなるし、これは僕が制服を着るってことに意味があるから。
全員:あははは(笑)。
――完成作を観ていかがでしたか?
夏帆:臼田さんと升野さんと並んで観たんですが、こんなに緊張しない楽しい試写は初めて。いつもは反省ばかりでその場にいられないって思うことも多いんだけど、まるでホームビデオを観てるみたいで。
バカリズム:ホームビデオを大スクリーンでみんなに観られるという恥ずかしさはある。そういえば歯磨きのシーンはワンカットなんだよね。
佐藤:あそこ、爆笑だった!
山田:面白いことも言ってないのに、なんであのシーンは面白いんだろう。
臼田:笑いをこらえるのが大変で。でも普通のドラマや映画では描かないとか、カットされがちなシーンこそ、この作品の面白さ。
山田:更衣室での電源タップの話とかどうでもいいもんね。
夏帆:でもあれが前半の一番の山場。
山田:じつはあそこで全員のキャラクターが描かれていたりするからね。
臼田:ここを見てくれ、的なことがないのが見どころかな(笑)。
山田:そういえば、いつか居酒屋で飲んでたら、隣にいたOLさんから声をかけられて「こういう作品が見たかったんです」って言われたの。
夏帆:それは嬉しいですね。
バカリズム:この5人は、全然忙しくないバイト先の仲間みたいな感覚。一応仕事だけど、ストレスがない。ずっとぬるいお湯に浸かってるからこそ出たくない、そんな作品です。
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『架空OL日記』 2006年からバカリズムさんが書き始めたブログ「架空升野日記」が‘17年にドラマ化。映画版では5人のOLの日常や、更衣室トークなどが、ドラマの世界観はそのままに描かれている。2月28日より公開。©2020「架空OL日記」製作委員会
やまだ・まほ 1981年9月29日生まれ。映画『WE ARE LITTLE ZOMBIES』やドラマ『あなたの番です』(日本テレビ)、『シャーロック』(フジテレビ)などに出演。
うすだ・あさみ 1984年10月17日生まれ。主演を務めた映画『ラブリングハート』『南瓜とマヨネーズ』の他、数多くの映画やドラマに出演している。
臼田さん・ドレス 参考価格¥123,466*輸入関税込み(セシリー バンセン) シューズ 参考価格¥104,160*輸入関税込み(シモーネ ロシャ)共にファーフェッチ カスタマーサービス TEL:050・3205・0864
バカリズム 1975年11月28日生まれ。お笑い芸人をはじめ、幅広い分野で活躍。『家事ヤロウ!!!』(テレビ朝日)や『バズリズム02』(日本テレビ)などレギュラー多数。
かほ 1991年6月30日生まれ。『いだてん~東京オリムピック噺~』や『ひとりキャンプで食って寝る』に出演。主演映画『Red』公開中、『喜劇 愛妻物語』が公開予定。
さとう・りょう 1992年7月10日生まれ。主演映画『色あせてカラフル』や『高崎グラフィティ。』『ドンテンタウン』などの代表作を持つ、実力派女優。
※『anan』2020年3月4日号より。写真・岩澤高雄(The VOICE) スタイリスト・高橋めぐみ(バカリズムさん) 清水奈緒美(夏帆さん) 森上摂子(白山事務所/臼田さん) 杉本知香(佐藤さん) Babymix(山田さん) ヘア&メイク・鈴木海希子(バカリズムさん) 石川奈緒記(夏帆さん) 廣瀬瑠美(臼田さん) 有馬妙美(佐藤さん) 藤垣結圭(山田さん) インタビュー、文・若山あや
(by anan編集部)