意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「リブラ」です。

月間24億人が利用。世界最大の共通通貨誕生なるか?

social

昨年のG7より、仮想通貨は暗号資産と呼び名を変えることになりました。値動きに激しい乱高下があるため、決済手段として一部の店舗でしか対応できず、安定して使える「通貨」と呼ぶには問題があるという判断からでした。暗号資産のメリットは、国境を超えるということです。これまでの海外送金は、その国の通貨に交換しなければいけなかったり、高い送金手数料が発生したり、テロ組織などに資金が渡らないように、国によっては送金自体がNGの銀行もありました。暗号資産ならば、インターネット上で瞬時に海外送金が可能になります。また、国が発行している通貨は、戦争が起きれば一気に下落しますし、経済政策を間違えればインフレが起きたりします。その点、暗号資産ならば、国のリスクに影響されずにすみます。経済が不安定な国の人は、暗号資産のほうが信頼できるというので、ギリシャショックのときも多くの暗号資産が購入されました。

そんななか、Facebookを中心に世界の27の企業や団体が2020年に発行しようとしている暗号資産が「リブラ」です。’19年夏の時点でFBの利用者数は月間24億人超。1日平均15億人が利用しています。日本国内の月間アクティブユーザー数は2800万人。みずほ銀行の個人顧客数2400万人を超えているのです。リブラが発行されれば、世界共通の通貨として、銀行口座を持たない人でも利用できるようになります。メッセンジャーやSNSを使って、簡単に資金のやりとりも可能になるのです。また、リブラは米ドルの価格変動と紐づけて運用するため、値動きは比較的安定します。

ただし、FBは過去に個人情報を流出させ、セキュリティに不安が残りますし、前回の米大統領選では、フェイクニュースが流れ、政治勢力により言論が作られているのではないかという疑念の声も。通貨を発行しお金の流通を管理する各国の金融当局も、マネーロンダリングやセキュリティ上の問題のほか、税金をとりこぼす恐れもあるため、リブラを歓迎していません。世界規模の金融システムが一気に広がる可能性もありますが、発行は計画より少し遅れるかもしれません。

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堀 潤 ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げる。9月、3つ目の新会社「わたしをことばにする研究所」を設立。

※『anan』2019年10月2日号より。写真・中島慶子 イラスト・五月女ケイ子 文・黒瀬朋子

(by anan編集部)



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