選挙に行かない若者は「搾取され続けることになるかも」

2019.8.29
意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「参院選ふり返り」です。

新たな政治のスタート。ふり返りは必須。

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7月に行われた参議院議員通常選挙は、人々の不平や不満を一手に引き受けた2つの政党が注目を集めました。一つは、「消費税廃止。税金は稼いでいる人から取る」と、反貧困をテーマにした、れいわ新選組。もう一つは、集金方法や報道体制などNHKに対する不満を訴えた、NHKから国民を守る党(N国)です。どちらの代表もこれまで、地道な政治活動を続けてきました。れいわ新選組代表の山本太郎さんは、当選はしませんでしたが、個人名票を99万票集め、賛同者から4億円の寄付を集めました。それだけ大勢支える人がいることは与党に対するプレッシャーにもなっています。

今回の選挙では、立憲民主党や共産党が比例選挙区の票数を減らしており、れいわやN国に流れたといわれています。この状況について、「人々が飛びつきやすいテーマを掲げたポピュリズムだ」と言う人もいますが、そう捉えるのは早計でしょう。既存の政党が、漠然とした理想を掲げるにとどまり、市民のリアルな声を聞いてこなかった結果の表れではないかと思います。

また、48.8%という、過去2番目の投票率の低さも問題になりました。僕は街に出て、20~30代の若者に取材をしましたが、投票に行かない理由は、政治に対する諦めや不信感からではなく、「国の政策と自分の生活につながりがあると思えない」という、接点のなさからだと気付きました。しかし、「日々の生活をするのに精一杯」のあなたの状況は、社会の制度を変えることで改善できるかもしれません。なにも発言しないまま選挙にも行かず、社会のルールづくりに参加しなければ、不利益な状況を打破できず、搾取され続けることになるかもしれません。

また、世界に目を向け、他の国の暮らしや制度と比べて日本の現状を知ることも大事だと思います。いままでの日本は豊かでしたが、働く人口はますます減り、日本企業は、いつの間にか世界から後れをとっています。教育レベルも思うようには伸びていません。

参院選が終わったいまこそ、当選した新しい議員がどんな働きをしてくれるのか、注目の2党は期待に応えてくれるのか、目を離してはいけません。

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堀 潤 ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN

※『anan』2019年9月4日号より。写真・中島慶子 イラスト・五月女ケイ子 文・黒瀬朋子

(by anan編集部)


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