今あらゆる分野で、次代を担う新たな才能の芽生えが。そんな変化し続ける世界で飛躍を遂げるために必要な資質は時代の流れを読み解くことで見えてくる! まずはそれぞれのジャンルで活躍する3人の女性に、次の時代のカタチについて予測していただきました。
Work

いくつもの分野を横断して“巣穴”をたくさん持つことで輝く場所を増やしていける。

フリーアナウンサー・大橋未歩さん
社会が多様化してメディアの形もさまざまになりました。特にテレビは、「AbemaTV」をはじめ各社がネットテレビに参入したり、「NewsPicks」のようなニュース配信サイトが独自の番組を作ったり、チャンネルが大幅に増えました。こうしたメディアに実際に出演してみて驚いたのは、キー局のテレビと変わらない反響があることです。むしろ、キー局よりも深く視聴者に刺さっていると言ってもいい。それは、たくさんあるチャンネルの中から「積極的に選んで」見ている視聴者が多いからだと思います。

テレビも含めてエンタメがどんどんポータブルになり、視聴の仕方も多様化しています。これからは、ライフスタイルや好みに合わせて自由にメディアを視聴するスタイルがますます進んでいくはず。その中で視聴者に選ばれるために各メディアが切磋琢磨し、企画を磨いて工夫を凝らして、新たなおもしろい番組が生まれる。そんな流れを期待しています。個人的には、『テラスハウス』のシニア版が見てみたい(笑)。「人生100年時代」です。シニアのリアルには達観と諦観が溢れているはず。新たな発見があるんじゃないかな。

何事にも垣根がなくなってきているせいか、肩書に執着しない人、いくつもの分野や場所を横断して活躍する人が増えたのも、時代を感じさせますね。私自身、1年半前にフリーになり「輝く場所はひとつじゃない」ことを実感しています。実は私、ずっと声に自信がなかったのですが、フリーになったら「声がいいね」と、ラジオの仕事をいただくようになって。環境が変われば、違う自分を誰かが見つけてくれることもあるんだなと、嬉しい気づきでした。「新しい自分」を手に入れるには、今いる場所を変えるのも有効だと思います。新しいことを始めるだけでも自分を成長させる糧になるし、思いがけない“才能の芽”を発見できるかもしれませんよ。

誰かに見つけてもらう時代は終わった。女の子自身が女子のヒーローになる時代。

作家・山内マリコさん
私が作家デビューした頃は、読者の声はハガキで届いていましたが、今や読者の反響を見るツールはSNSが主流。たとえばハッシュタグで検索してみると、本を読んでくれた若い子たちが本の写真や感想をあげてくれていて、今どきの子はSNSもやるけど本もちゃんと読んでくれているんだ、と嬉しくなります。本離れを感じるどころかハッシュタグによって拡散されることもあるし、みんなアンテナ張ってるんですね。

そんなSNS時代に気づいたことは、不満を吐き出すうちに、学問としてではないフェミニズムに目覚めた女の子たちの存在。男の子からの扱いに対しての不満とか、昔なら友達にグチって終わりそうなことでもSNSに吐き出すことで、“いいね!”やリツイートの数によって共感が可視化され、それが自信になって、彼女たちはどんどんタフになっている。

携帯電話やプリクラ、ネイルなんかが出てきた時もそうでしたが、与えられたツールをカスタマイズして使いこなし、それを作った人の想像の範疇を超えて飛躍させる特殊能力を持つのが女の子。SNSだってすでにそう。男の子に媚びを売って男子人気を得ていた時代は廃れ、女の子が女子の人気や共感を集めてヒーローになっていくことでよろこびや楽しさを味わっている。さらに、それがビジネスになって大成功している子もいる。そんな姿を見ていると、これからは女子に愛される女の子が活躍していく時代だな、とひしひしと感じます。メイク動画でも何でもいい。勇気を出して自分の特技や作品をSNSで発信して、自らプロモーションをするタフさや図太さがないと何も始まらないし、誰にも何も伝わらないんですよね。

ステキな男の子に自分のよさを見つけてもらいたいとか、誰かに才能を発掘してもらうなんていう、受け身の考え方は捨てたほうがいい。誰かに見つけてもらう時代は、きっともう終わったんです。

“自分を満たすのは自分”に気づいた若者たちは、ためらわずに自己表現する。

ライター、東北芸術工科大学講師・トミヤマユキコさん
ここ最近、少女漫画の世界が変わってきたなと思うのが、恋愛のフラグを立てておきながら、カップル成立を単なるハッピーエンドとして描かないという傾向。配偶者を共同最高経営責任者にたとえた海野つなみ先生の『逃げるは恥だが役に立つ』のヒットが記憶に新しいですが、東村アキコ先生の『東京タラレバ娘』や『主に泣いてます』もそう。少女漫画の恋愛観は半歩先の未来を描いていると思うのですが、東村先生は早くから、恋愛だけが女の子を救うものではないことに気づいていたのかもしれません。自分を満たすのは恋人ではなく自分だと気づく、はるな檸檬先生の『ダルちゃん』、年収300万円以下のOLが自分のためにマンションを買う池辺葵先生の『プリンセスメゾン』など、人気作に見られる“今までの恋愛を解体し、恋愛で全てを解決しない”という傾向は今後も加速するだろうし、興味深いですね。

現実世界はどうかというと、大学で教え子たちを見ていると、ただ流行を追いかけるのではなく、新しいものも古い時代のものも含め、自分がいいと思ったものを堂々と選び取れる強さがあると感じます。“私は私”と恥ずかしがらずに言える若者が増えていて、彼らはそれぞれ自分の満足度を上げることを優先しているようです。

そんな若者文化の中で私が今注目しているのが、東京オリンピックで競技種目になることが決定したスケートボード。堀米雄斗選手や西村碧莉選手は、海外リーグで優勝するほどのトップ選手ですが、日本ではまだ扱いが小さいのがとても残念。スポーツといえば、規律と礼儀が第一で“高校球児は全員坊主頭”だった時代とは違い、ルールはあれど髪型や服装、パフォーマンスは自由で、それら自己表現も込みで魅せるのがスケボー。型にはまることなく柔軟に取り組みながら、ちゃんと成果を出す。これぞ新しい世代のスポーツなのではないでしょうか。

おおはし・みほ テレビ東京のアナウンサーを経てフリーアナウンサーに。TOKYO MX『5時に夢中!』、ニッポン放送『大橋未歩 金曜ブラボー』など、活躍の幅をますます広げている。

やまうち・まりこ 1980年11月20日生まれ。小説家。近著に『あたしたちよくやってる』(幻冬舎)が。対照的なふたりの女性の結婚観が共感を集めた小説『あのこは貴族』の映画化が決定。

トミヤマユキコ 1979年生まれ。ライター、少女漫画の研究者。現在、東北芸術工科大学の講師も務める。著書に『パンケーキ・ノート』(リトルモア)、『夫婦ってなんだ?』(筑摩書房)がある。

※『anan』2019年7月3日号より。イラスト・北澤平祐 取材、文・熊坂麻美 若山あや

(by anan編集部)

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