意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「TPP11」です。

安くてよいものが入ってくる半面、危機感も否めない。

社会のじかん

2018年12月30日にTPP11(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的)協定が発効しました。日本やオーストラリア、チリ、東南アジア各国など、太平洋を取り囲む国々で関税を取り払い、サービスや投資の自由化をめざすという経済連携協定です。12か国で交渉を進めていましたが、トランプ政権になり、アメリカが離脱し、「TPP11」となりました。

関税は、自国の産業を守るための防波堤です。外国から入るモノに対して高い税金をかければ、消費者を安い国産品に誘導できます。それが、自由貿易に向かう流れになったのは、関税を取り払うことで競争が生まれ、より質のいい製品が作られるようになることや、また、他国の消費者を取り込むチャンスにもなると考えたからです。

TPP11協定で、日本のコメは関税を維持。オーストラリア米だけ13年目以降年間8400tの輸入が決まりました。他にも、牛肉は現行の38.5%から段階的に引き下げ、発効から16年目に9%とすることに。小麦はカナダやオーストラリアからの輸入ものの売買差益を9年目までに45%削減。チーズではチェダーやゴーダ、クリームチーズなどの関税が16年目に撤廃に。日本から輸出する際の関税は大半の撤廃が決まり、日本酒や醤油、水産物の輸出が増えることになるでしょう。工業製品は、日本から輸出する品目の99.9%で撤廃されることになります。

TPP11発効に伴い、貿易や投資が拡大し、日本経済は拡大向上。新たに46万人の雇用が生まれ、GDPをおよそ8兆円、1.5%押し上げる効果があると政府は公表しています。しかし、そう楽観視はできないと思います。自由貿易により競争が激しくなれば、安いモノが売れますから、国内では生産コストを削減しなければいけなくなります。人件費をおさえるため、機械化や国外での生産になり、雇用が奪われるかもしれません。また、国産品が海外に売れるというのは、世界中の人が欲しいと思う「いいモノ」であることが大前提です。企業の不祥事が次々に起きているいま、日本のモノづくり産業そのものが崩れかけています。危機感を持って対処するべきでしょう。

社会のじかん

堀 潤 ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN

※『anan』2019年1月16日号より。写真・中島慶子 イラスト・五月女ケイ子 文・黒瀬朋子

(by anan編集部)

マネー-記事をもっと読む-_バナー

あなたは大丈夫...?男が吸い付きたくなる「モチぷる肌」♡
[gunosy]
#男の体験談について、もっと深く知る♡[/gunosy]

Share

  • twitter
  • threads
  • facebook
  • line

Today's Koyomi

今日の暦
2026.2.
25
WED
  • 六曜

    先負

  • 選日

    ⼀粒万倍⽇

周りとのズレや不安を感じるかもしれませんが、今は相⼿を疑うより、⾃分の誠実さを信じて歩み寄ってみて。⼼の壁をなくして真⼼で接すれば、意外な助っ⼈が現れて問題も解決に向かいます。また、何かを始める時は基本を⼤切に、礼儀正しく丁寧なスタートを。最初の⼀歩を慎重に進めることが、今⽇の幸運をつかむコツです。

ライフスタイル

Recommend

こちらの記事もおすすめ

おうちの中でも美しい花を感じたい! お花にまつわる個性豊かな一品が集結
おうちの中でも美しい花を感じたい! お花にまつわる個性豊かな一品が集結
Lifestyle
高齢になっても薬が買える安心を。堀潤さんが「OTC類似薬」を解説
高齢になっても薬が買える安心を。堀潤さんが「OTC類似薬」を解説
Lifestyle
【ホテル新潮流】モビリティの機能を備えたコンテナホテル! HOTEL R9 The Yard
【ホテル新潮流】モビリティの機能を備えたコンテナホテル! HOTEL R9 The Yard
Lifestyle
【AIとの恋愛】健全に楽しむための、AIとの幸せな関係の築き方
【AIとの恋愛】健全に楽しむための、AIとの幸せな関係の築き方
Lifestyle

Movie

ムービー

Regulars

連載