貧血気味、ストレスが多い…「月経前に不調になりやすい人」の特徴と対策 #202

文・大久保愛 — 2023.3.3 — Page 1/2
三寒四温という言葉通り、寒暖差の激しい時期となりました。中医学士で漢方薬剤師の大久保愛先生によると、そうした気温や気圧の差で自律神経やホルモンが乱れ、月経前の不調が酷くなりやすいのだそう。愛先生が、すぐできるPMS対策を教えてくれます!

今の時期は寒暖差で自律神経が乱れ、PMSが酷くなることも

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【カラダとメンタル整えます 愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 202


少しずつ春色のお花が街並みを彩り始めました。今年の桜の開花は例年よりも早くなると言われています。今年の3月は暖かくなりそうです。でも暖かい日が続けば、寒い日もやってくるのだと思います。

4月に近づくにつれて寒暖差の振れ幅は大きくなり、自律神経やホルモンの乱れを感じる人が増えてくることが予測されます。その結果、月経前に怒りっぽくなったり、過食してしまったり、気分がズーンと落ち込んでしまったりという不調に悩まされることもあるかもしれません。

春は、新しいことをワクワク楽しみながらスタートさせたいところですが、気分がダークサイドに振り切っていたらうまくいくものもうまくいかなくなってしまいます。ということで、今週はPMSに悩んでいるときの食薬習慣を紹介していきます。

今週は、PMSに悩んでいるときの食薬習慣

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いつもよりも月経前に怒りやすくなっている、些細なことばに引っかかってしまう、食欲が収まらないなどちょっといつもの自分と違うと感じたら月経前だったということもあるかもしれません。

個人差がありますが、今の時期とくにひどく感じやすいタイプを漢方医学では、貧血まではいかなくても鉄欠乏ぎみである『肝血虚』、ストレスがうまく発散できていない『肝気鬱結』のタイプの人が症状を強く感じる傾向があります。そこで今週は『肝血』を補い、『肝気』の巡りを改善する食薬を紹介します。食べると良い食薬は、『レバーとパセリのクミンソテー』です。

食薬ごはん【今週食べるとよい食薬:レバーとパセリのクミンソテー】

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レシピはこちらです。

<材料>

レバー  150g(下処理したもの)
トマト  1個(くし切り)
クミン  10振り
パセリ  1束(ちぎる)
塩・胡椒 適量

<作り方>

材料をすべて炒めたら完成。

【レバー】

鉄分が多い食材の代表といえば、レバーです。貧血ではないけどフェリチン値が低かったりする、鉄欠乏な状態から貧血傾向なものを含め漢方では『肝血虚』といいます。女性が不足しがちな鉄は、脳の神経伝達物質の材料でもあるため鉄不足はメンタルの不調を起こしやすくさせてしまいます。

【パセリ】

鉄が豊富なレバーと鉄の吸収を促すビタミンCが多いパセリを一緒にとると鉄の吸収が高まります。また、料理の名脇役パセリですが、今週は主役にしてみましょう。香り高く『肝気』の巡りを改善するためにも役立ちます。栄養素的には、鉄、ビタミンCの含有量が野菜の中でもトップクラスで実力もあります。喉や鼻の調子が悪いときには、βカロテンも豊富なので、粘膜を強化しバリア機能を高めてくれます。

カラダに炎症がある場合や腸内環境が乱れている状態も鉄の吸収を抑制してします。鉄剤を服用しても体調がよくならないときには、抗炎症作用や抗酸化作用があるビタミンCやファイトケミカルなど、香り高い食材や腸内環境を整える食物繊維をたっぷりとるようにすると鉄の吸収がUPしますよ。

ほかにも心とカラダを強くするレシピは、『不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。

※食薬とは…
経験則により構築されている『歴史ある漢方医学』と近年急成長している分子栄養学や腸の考え方、生命科学などの『最先端の予防医療』を融合することで、より理論的で具体的な食の提案ができるようにしたものです。東洋医学と西洋医学の良いとこどりをしています。

また、漢方医学では、人は自然界の一部として存在し周囲と柔軟にバランスをとることで、よい状態を維持できるという『生体観念』という考え方を根幹としています。そのため、『食薬』では、日照時間、気候、土壌(LPS、ファイトケミカル)、微生物(口腔内細菌や腸内細菌)などの環境変化と連動して体調変化もするものと考えています。季節の移り変わり、日々の気候の変化、腸内細菌の変化などとの関係にも注目し、1年を通して季節や体調にに合わせ食薬を選び習慣として取り入れることで体調のコントロールをしていきます。


Information

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大久保 愛 先生
漢方薬剤師、国際中医師、国際中医美容師、漢方カウンセラー。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田県出身。昭和大学薬学部生薬学・植物薬品化学研究室卒業。秋田の豊かな自然の中で、薬草や山菜を採りながら暮らす幼少期を過ごし、漢方や食に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び、日本人で初めて国際中医美容師資格を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、漢方・薬膳をはじめとした医療と美容の専門家として活躍。おうちで食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち」を開発。漢方カウンセラーとして、年間2000人以上の悩みに応えてきた実績を持つ。著書『1週間に1つずつ心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売一ヶ月で七万部突破。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典(KADOKAWA)』、近著に「不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖(世界文化社)」がある。
公式LINEアカウント@aika
https://aika-inc.co.jp/

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体質改善したい人、PMS、更年期など女性特有の悩みを抱える人へ。漢方×栄養学×腸活を使った「食薬」を“五感”を刺激しつつ楽しく取り入れられる。自分の不調や基礎体温から自分の悩みを検索して、自分にあった今食べるべき食薬がわかる。55の不調解消メソッドを大公開。


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