夜に目がさえる、起床時の肩こりが酷い…「睡眠の質が低下している人」の特徴と対策 #199

文・ 大久保愛 — 2023.2.9 — Page 1/2
寝ても疲れが取れなかったり、夜中までスマホをいじってしまう人は睡眠の質が低下しているかもしれません。中医学士で漢方薬剤師の大久保愛先生が、快眠につながる簡単な方法を教えてくれます!

夜、きちんと眠れていますか?

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【カラダとメンタル整えます 愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 199


みなさん、爽やかな朝を迎えることができていますか? 睡眠によってカラダを休めていたはずなのに、カラダが重くスローペースでしか動けないような疲労感を感じていたり、カラダが硬直し寝返りを打たずに寝てしまい肩こりを強く感じてしまう人もいらっしゃいます。さらには、日中すごく疲れていて大事な時に眠くなるのに、夜遅くなるにつれてだんだんと元気になり、寝る時間には目がさえてしまう人もいるようです。

その結果、夜食を食べたり、夜中にスマホを見ながらゴロゴロして過ごしてしまうことで夜型が定着し、翌日にはさらに疲労感が増していくという、つらい循環に陥ってしまうこともあります。そんなときには、日々のストレスにより副腎がダメージを受けていたり、体内時計が乱れてしまっていることが考えられます。この悪循環から、良い睡眠を取り戻すためには苦戦してしまうことでしょう。

そこで、今週は夜に目がさえてしまい睡眠の質が低下している人のための食薬習慣を紹介していきたいと思います。

今週は、夜に目がさえてしまう人のための食薬習慣

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ですが、今の瞬間を常に大切にして丁寧に過ごすことができたとしたら、忙しい毎日にも充実感を感じることができることでしょう。そためには、睡眠の質を向上し、その日のうちに脳とカラダの疲れをリセットすることが必要だと考えられます。

この睡眠の質が低下している状態を漢方医学では、睡眠に関わる神経伝達物質やホルモンの材料となる『血』の不足だったり、ストレス過多による交感神経の過緊張である『気』の滞りがあると考えます。そこで、今週は『血』を補い、『気』の巡りを改善する食薬を紹介します。今週食べるとよい食薬は、【牡蠣と大葉の炊き込みご飯】です。

食薬ごはん【今週食べるとよい食材:牡蠣と大葉の炊き込みご飯】

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レシピはこちらです。

<材料>
A
お米    2合
牡蠣    100g
生姜    2片
醤油    大さじ2
酒・みりん 各大さじ1
水     適量

B
大葉    6枚

<作り方>

Aを炊飯器に入れ、炊いて、Bの刻んだ大葉をまぜて完成。

【牡蠣】

亜鉛・マグネシウム・鉄などのミネラル、ビタミンB群、必須アミノ酸などとにかく心とカラダを元気にする栄養が豊富です。食材の中でもトップレベルでバランスの取れた、栄養価の高い食材ということができると思います。ストレスが多く交感神経の過緊張がおきていたり、ストレスに関わるホルモンが分泌される副腎の疲れているときに『血』を補い心を穏やかにしてくれます。

【大葉】

ストレスや緊張したときに無意識にカラダに力が入り、うまくリラックスできないことがあります。そんなときに、カラダを緩ませて『気』の巡りを改善してくれるのが大葉のような香り高い食材です。また、強い抗菌作用ももつため風邪を引きそうなときにもおすすめです。

睡眠の質が低下しているときには、夜のタイミングだけ悩むのではなく、日中の栄養管理やお風呂やストレッチ、運動などの習慣の見直しが大事です。睡眠の質は、日中の行動の通信簿のようなものです。そのため、睡眠の質が悪い人は日中の行動に改善できる点がたくさん存在していることが考えられます。その原因一つとして栄養の偏りに心当たりがあるとしたら、ぜひ炊飯器に今週の食薬を詰め込んで、美味しく体調管理をしてみてくださいね。

ほかにも心と体を強くするレシピは、『不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方がぜひご覧ください。

※食薬とは…
経験則により構築されている『歴史ある漢方医学』と近年急成長している分子栄養学や腸の考え方、生命科学などの『最先端の予防医療』を融合することで、より理論的で具体的な食の提案ができるようにしたものです。東洋医学と西洋医学の良いとこどりをしています。

また、漢方医学では、人は自然界の一部として存在し周囲と柔軟にバランスをとることで、よい状態を維持できるという『生体観念』という考え方を根幹としています。そのため、『食薬』では、日照時間、気候、土壌(LPS、ファイトケミカル)、微生物(口腔内細菌や腸内細菌)などの環境変化と連動して体調変化もするものと考えています。季節の移り変わり、日々の気候の変化、腸内細菌の変化などとの関係にも注目し、1年を通して季節や体調にに合わせ食薬を選び習慣として取り入れることで体調のコントロールをしていきます。


Information

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大久保 愛 先生
漢方薬剤師、国際中医師、国際中医美容師、漢方カウンセラー。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田県出身。昭和大学薬学部生薬学・植物薬品化学研究室卒業。秋田の豊かな自然の中で、薬草や山菜を採りながら暮らす幼少期を過ごし、漢方や食に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び、日本人で初めて国際中医美容師資格を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、漢方・薬膳をはじめとした医療と美容の専門家として活躍。おうちで食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち」を開発。漢方カウンセラーとして、年間2000人以上の悩みに応えてきた実績を持つ。著書『1週間に1つずつ心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売一ヶ月で七万部突破。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典(KADOKAWA)』、近著に「不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖(世界文化社)」がある。
公式LINEアカウント@aika
https://aika-inc.co.jp/

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