ランチのコーヒーはNG?「メンタルが乱れ、朝起きられない人」の特徴と対策

文・大久保愛 — 2024.4.5 — Page 1/2
新年度が始まり、新たな環境で過ごしているかたも多いこの時期。失敗できないのに寝坊してしまった、仕事中にどうしても眠くなる、といった「睡眠」に関する悩みを抱えているかたもいると思います。眠気なんて吹き飛ばして、スタートダッシュをきめたいですよね。そこで、中医学士で漢方薬剤師の大久保愛先生が、朝が弱い人のための食薬習慣と、NG習慣を教えてくれます!

朝起きられない人が気をつけるべき習慣とは?

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【カラダとメンタル整えます 愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 260


春になると冬眠から目覚めたような感覚で、ウトウトした気分になる人も多いのではないでしょうか。この時期になると、朝は起きるのに時間がかかり、昼は眠くて集中できず、16時すぎくらいから徐々に元気になり、寝る時間には目が冴える…といった体内リズムに陥ってしまうこともあるかもしれません。どこから整えればいいのかわからなくなりますよね。

体内時計をリセットする唯一のタイミングは朝といわれていますが、体内時計を乱すタイミングは無限に存在しています。とくに、環境の変化があったり、低気圧、寒暖差などの影響もあるこの時期は、なおさら自律神経が乱れ、体は繊細に外部の刺激を真っ向から受けることになるでしょう。その結果、朝はだるくなり、いつまでも寝ていたい、仕事にいきたくないという気分になってしまいます。

ということで、今週は朝なかなか起きれないという人のための食薬習慣を紹介していきます。

今週は、朝が弱い人のための食薬習慣

目覚ましを5分刻みでかけても起きれない、すぐ横になりたくなって動けない、だるすぎてスキンケアも化粧をする時間ももったいない…という干物女になってしまっている人はいませんか?

本来、4月は新年度ということもあり、潜在的にクールビューティーでできる女に見られたくなることもあるかもしれません。ですが、リアルなところそんな余裕はないですよね。新しいことばかりで忙しいし、考えることも多い。環境の変化に体はついてこないし、年齢にともない疲れは取れなくなるし、なんとなく感じる不調も湧いてきては消えを繰り返すしで、メンタル爆発までカウントダウンしてしまう…ということもあると思います。

漢方医学では、朝が弱い人は『腎陽虚』といわれています。腎陽虚になると、脳と副腎の連携がうまくできていない副腎疲労の状態となり、朝の不調やストレス耐性の低下、昼間の集中力の低下、女性ホルモンの乱れなどを感じやすくなります。そんなときにおすすめなのが、オメガ3脂肪酸や抗酸化物質、タンパク質、ビタミンB群、鉄、マグネシウム、亜鉛、ビタミンCなどを含む『腎』の働きを支える食薬です。

ということで、今週食べるとよい食材は、『補腎』作用のある【炊飯器でつくる鯖缶パエリア】です。
そして逆にNG習慣は、大切な鉄の吸収を抑制させてしまう【ランチ時のコーヒー】です。

食薬ごはん【炊飯器でつくる鯖缶パエリア】

鯖は、良質な脂質、タンパク質、ビタミン、ミネラル、抗酸化物質が豊富で、『腎』の働きを助ける働きがあります。そして、疲れやだるさを解消するためには、どれだけ楽をして食事を作るかという部分もポイントとなります。このパエリアは、炊飯器に入れるだけで完成してしまう簡単レシピなので、毎日お悩みの人はぜひお試しください。

<材料>
a
アサリ      1パック
生姜       1片
米        2合
サバの水煮缶   汁ごと1缶 
醤油・酒・みりん 各小さじ2

トマトジュース  適量
万能ネギ     お好みで

<作り方>
aを炊飯器にいれ、2合の目盛りまでトマトジュースを加え、炊き上げ、ネギを添えて完成。

NG行動【ランチ時のコーヒー】

自律神経を整えたり、集中力を維持するためには、脳の神経伝達物質や酸素を運搬する赤血球などに必要となる鉄が必要不可欠です。この大切な鉄の吸収に影響するものとしてコーヒーがあります。例えば、仕事中にコーヒーを飲み、ランチ後に再びコーヒーを飲み、午後も頑張るぞー! と気合いを入れる人も多いと思います。

ですが、食事の直前や直後にコーヒーなどタンニンを含むものを取り入れると、食事に含まれる非ヘム鉄の吸収を抑制してしまう可能性があります。とくに貧血気味のかたは、ルイボスティやカモミールティ、ローズヒップティ、杜仲茶、黒豆茶などを選んでみましょう。ただ、深煎りのコーヒーであればタンニンが減るので、鉄の吸収への影響が少なくなります。

4月は、やることや考えることが多く、時間を有意義に使いたいですよね。朝スッキリ目覚めることは、1日の充実につながります。毎日、あっという間に夜になり、今日もやりたいことがあまりできなかった…ということが、少しでも減るように食薬を取り入れていきましょう。そして、そのほかにも心と体を強くするレシピは、『不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。

※食薬とは…
『食薬』は、『漢方×腸活×栄養学×遺伝子』という古代と近代の予防医学が融合して出来た古くて新しい理論。経験則から成り立つ漢方医学は、現代の大きく変わる環境や学術レベルの向上など現代の経験も融合し進化し続ける必要があります。

近年急成長する予防医学の分野は漢方医学と非常に親和性が高く、漢方医学の発展に大きく寄与します。漢方医学の良いところは、効果的だけどエビデンスに欠ける部分の可能性も完全否定せずに受け継がれているところです。

ですが、古代とは違い現代ではさまざまな研究が進み明らかになっていることが増えています。『点』としてわかってきていることを『線』とするのが漢方医学だと考えることができます。そうすることで、より具体的な健康管理のためのアドバイスができるようになります。とくに日々選択肢が生じる食事としてアウトプットすることに特化したのが『食薬』です。


Information

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<筆者情報>
大久保 愛 先生
漢方薬剤師、国際中医師。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田で薬草を採りながら育ち、漢方や薬膳に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・美容を学び、日本人初の国際中医美容師を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、未病を治す専門家として活躍。年間2000人以上の漢方相談に応えてきた実績をもとにAIを活用したオンライン漢方・食薬相談システム『クラウドサロン®』の開発運営や『食薬アドバイザー®』資格養成、食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち®」シリーズの展開などを行う。著書『心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売1か月で7万部突破のベストセラーに。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『食薬事典(KADOKAWA)』、「食薬ごはん便利帖(世界文化社)」、「組み合わせ食薬(WAVE出版)」、「食薬スープ(PHP)」など著書多数。
公式LINEアカウント@aika
https://aika-inc.co.jp/
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