週末の寝だめ、なんとなく不調…「自律神経の乱れから感染症にかかりやすい人」の特徴と対策

文・大久保愛 — 2024.1.26 — Page 1/2
1月もあっという間に過ぎ、もうすぐ2月。1年でもっとも寒さが厳しい季節の到来です。今の時期に特に気をつけたいのが、風邪やインフルエンザ、新型コロナウイルスなどの感染症をはじめとした不調対策。そこで、中医学士で漢方薬剤師の大久保愛先生が、さまざまな不調を招く自律神経の乱れや免疫力低下を防ぐ食薬習慣と、見直すべきNG習慣を教えてくれます!

免疫力を高める食事と生活習慣は身についていますか?

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【カラダとメンタル整えます 愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 250


今の時期、周りに体調を崩して苦しんでいる人が増えてきていませんか? 何かイベントがあったり、ここぞというときに限って体調不良に悩まされる人も多いかもしれません。よりによって今、体調を崩さなくても…と自分のカラダにうんざりすることもありますよね。

年度末に近づき、休むことのできない人も多いと思います。1年の中でも寒さが厳しい季節となり、様々な感染症をはじめとして、不調対策も欠かせなくなります。
ということで今週は、体調を崩しやすい季節を健やかに過ごすための食薬習慣を紹介していきます。

今週は、体調不良を寄せつけない食薬習慣 

年明けから早くも1か月が経ち、時間が過ぎる早さを実感しますよね。いろいろな目標を達成したり、日常のタスクをこなすために無茶をすることもあるかもしれません。そんな中、熱が出たり、咳が止まらなくなったり、下痢になったり、蕁麻疹がでたりと様々な不調に悩まされ、日々の業務をストップすることを余儀なくされることもあると思います。

ただ、感染症シーズンであっても、元気な人はいつでも元気です。そして、逆に体調不良を感じる人は毎年同じようなメンバーではないでしょうか。この差を漢方医学では、バリア機能である『衛気』や『肺』、免疫や回復力に関わる『腎』の働きにより生じるものと考えることがあります。

ということで、今週は季節特有の不調に悩まされないように『肺腎』の働きをサポートし、『気』を補う食薬を取り入れることで、体の土台を強化していきましょう。

今週食べると良い食薬は【葱と山芋と明太子のお好み焼き風】です。NG習慣は、休日の【寝だめ】です。

食薬ごはん【葱と山芋と明太子のお好み焼き風】

まずは、ビタミンDやセロトニン、ジオスゲニンなどを意識した食薬をとることで、『肺や腎』をサポートしていきます。ジオスゲニンを含む山芋、ビタミンDを含む明太子、そして血流を促すネギ、アミノ酸スコア100で神経伝達物質の材料となる卵を組み合わせて、『補気血』できるお好み焼きのようにして食べましょう。

<材料>
山芋  6センチ(ポリ袋に入れ瓶底などを使って荒くつぶす)
玉子  2個
明太子 1腹
生姜  1片(みじん切り)
ネギ  1/2本(輪切り)
醤油・みりん 各大さじ1
海苔・あおさ お好みで

<作り方>
山芋、玉子、明太子、調味料をポリ袋に入れよく混ぜる(①)。クッキングシートをフライパンに敷き、ネギを炒める。そこに①を加え蓋をして蒸し焼きにする。海苔やアオサをトッピングして完成。

NG行動【寝だめ】

休日になると、平日の疲れを癒すために、寝だめする人も多いのではないでしょうか。一見よさそうな行動ですが、平日と休日の睡眠のリズムがずれてしまうことでソーシャル・ジェットラグを招き、睡眠の質を低下させる原因とも考えられています。

一時的に疲れは取れた気分になりますが、体内時計とともに自律神経を乱し、疲労感や免疫力の低下までも感じさせてしまいます。なるべく休日も起きる時間は遅くせずに、就寝時間を早めることによって睡眠時間の確保を目指したり、日ごろの睡眠時間の見直しをしていくことが、長期的に強い体をつくることにつながります。

忙しい時こそ、何かをプラスする健康法ではなく、睡眠や食事など生活の基盤の見直しを行うことで体調を整えていきたいですね。そのほかにも心と体を強くするレシピは、『不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。

※食薬とは…
『食薬』は、『漢方×腸活×栄養学×遺伝子』という古代と近代の予防医学が融合して出来た古くて新しい理論。経験則から成り立つ漢方医学は、現代の大きく変わる環境や学術レベルの向上など現代の経験も融合し進化し続ける必要があります。

近年急成長する予防医学の分野は漢方医学と非常に親和性が高く、漢方医学の発展に大きく寄与します。漢方医学の良いところは、効果的だけどエビデンスに欠ける部分の可能性も完全否定せずに受け継がれているところです。

ですが、古代とは違い現代ではさまざまな研究が進み明らかになっていることが増えています。『点』としてわかってきていることを『線』とするのが漢方医学だと考えることができます。そうすることで、より具体的な健康管理のためのアドバイスができるようになります。とくに日々選択肢が生じる食事としてアウトプットすることに特化したのが『食薬』です。


Information

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<筆者情報>
大久保 愛 先生
漢方薬剤師、国際中医師。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田で薬草を採りながら育ち、漢方や薬膳に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・美容を学び、日本人初の国際中医美容師を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、未病を治す専門家として活躍。年間2000人以上の漢方相談に応えてきた実績をもとにAIを活用したオンライン漢方・食薬相談システム『クラウドサロン®』の開発運営や『食薬アドバイザー®』資格養成、食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち®」シリーズの展開などを行う。著書『心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売1か月で7万部突破のベストセラーに。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『食薬事典(KADOKAWA)』、「食薬ごはん便利帖(世界文化社)」、「組み合わせ食薬(WAVE出版)」、「食薬スープ(PHP)」など著書多数。
公式LINEアカウント@aika
https://aika-inc.co.jp/
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