便秘がち、揚げものが好き…「花粉症が酷くなりやすい人」の特徴と対策 #201

文・大久保愛 — 2023.2.24 — Page 1/2
2023年は、例年より大幅に多いスギ花粉飛散量と言われています。中医学士で漢方薬剤師の大久保さんが、花粉症の症状が強く表れやすい人の特徴と対策を教えてくれます!

2023年は要注意! 花粉シーズンの到来です

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【カラダとメンタル整えます 愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 201


今年も花粉がちらほら飛び始めるようになってきました。例年よりも飛散数は全国的に増えるといわれていますね。もうすでにアレルギー症状に悩まされている人もいるのではないでしょうか。

長い時間空中を漂う杉やヒノキの花粉は、1日の中でもランチ前の時間と日が沈む前の帰宅時間の2回のタイミングで、空気の対流の影響により飛散量が増加します。なるべく浴びたくないですが、ちょうど外に出るタイミングでもあり、つらい状況が待っていることだと思います。

花粉症歴の長い人は、花粉をガードして身を守る手段はプロ級だと思うので、カラダの中からアレルギー体質を少しでも軽減できる方法をお伝えします。ということで、今週は本格的な花粉シーズンの到来を目前に食べるとよい食薬を紹介していきたいと思います。

今週は、花粉症対策となる食薬習慣

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そして、漢方医学でアレルギー体質の人は、『肺・脾・腎』のどこかが弱っている状態。粘膜のバリア機能は『肺』の役割、胃腸など消化器系統は『脾』の役割、炎症を抑える副腎機能は『腎』の役割と考えます。そのため、乾燥して粘膜が乾燥したり、便秘がちだったり、下痢気味だったり、疲れがとれない状況だったりする人は、花粉症の症状が強く表れやすくなることが予想されます。

そして、『肺・脾・腎』を整えるために必要なものが腸活とビタミンDでもあります。さらに、炎症の原因となる小麦製品や甘いもの、揚げ物などオメガ6脂肪酸を含む食材のとりすぎも『湿熱』をため込み、症状を悪化させてしまいます。そこで提案ですが、花粉症がひどいと感じたときから、3日間など短い時間でもよいのでプチ節制を行うことで症状軽減を目指してみてはいかがでしょうか。

続けられる人は、花粉シーズンだけでも炎症の原因物質は控えるようにしましょう。ということで、今週は『肺・脾・腎』を支え『湿熱』を除去する食薬を紹介します。今週食べるとよい食薬は、【ブリと水菜のカルパッチョ】です。

食薬ごはん【今週食べるとよい食薬:ブリと水菜のカルパッチョ】

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ブリに含まれるビタミンDや水菜に含まれるβカロテンなどの脂溶性ビタミンは、カルパッチョのようなオイルと一緒に調理することで吸収が高まります。さらに、レモン汁など酸味のある食材を合わせると胃酸の分泌が促され、タンパク質の消化吸収を促し『脾』の働きを支えてくれます。

レシピはこちらです。

<材料>
ブリ刺身       100g
水菜         1束
レモン汁       大さじ1
オリーブオイル    大さじ1
醤油         小さじ1
塩・ブラックペッパー 適量

<作り方>
ブリと水菜をお皿に盛り付け、合わせ調味料を全体にかけたら完成。

【ブリ】

ブリには、免疫向上に必要なビタミンDやオメガ3脂肪酸が豊富で『腎や肺』の働きを支えます。さらに、疲労回復に役立つイミダゾールジペプチドやカラダの基礎となる『気・血・水』の材料となる鉄などのミネラル、タウリンも含みます。

【水菜】

水菜には、粘膜を強化するβカロテンが多く含まれ『肺』のサポートに役立ちます。また、ブリに含まれるミネラルの吸収を高めるビタミンC、腸の働きを助ける食物繊維が豊富に含まれ『痰湿除去』にも役立ちます。

アレルギー症状がひどい時には、対処療法も必要ですが、合わせて食習慣の見直しを行うと生活の質の向上がより期待できると思います。鼻水、くしゃみ、目のかゆみなどの不快症状には、控える食べ物への意識も非常に大切なことです。控えるもの+食べた方がよいものを考えながら日々の食事を選択してみましょう。
ほかにも心とカラダを強くするレシピは、『不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。

※食薬とは…
経験則により構築されている『歴史ある漢方医学』と近年急成長している分子栄養学や腸の考え方、生命科学などの『最先端の予防医療』を融合することで、より理論的で具体的な食の提案ができるようにしたものです。東洋医学と西洋医学の良いとこどりをしています。

また、漢方医学では、人は自然界の一部として存在し周囲と柔軟にバランスをとることで、よい状態を維持できるという『生体観念』という考え方を根幹としています。そのため、『食薬』では、日照時間、気候、土壌(LPS、ファイトケミカル)、微生物(口腔内細菌や腸内細菌)などの環境変化と連動して体調変化もするものと考えています。季節の移り変わり、日々の気候の変化、腸内細菌の変化などとの関係にも注目し、1年を通して季節や体調にに合わせ食薬を選び習慣として取り入れることで体調のコントロールをしていきます。


Information

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大久保 愛 先生
漢方薬剤師、国際中医師、国際中医美容師、漢方カウンセラー。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田県出身。昭和大学薬学部生薬学・植物薬品化学研究室卒業。秋田の豊かな自然の中で、薬草や山菜を採りながら暮らす幼少期を過ごし、漢方や食に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び、日本人で初めて国際中医美容師資格を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、漢方・薬膳をはじめとした医療と美容の専門家として活躍。おうちで食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち」を開発。漢方カウンセラーとして、年間2000人以上の悩みに応えてきた実績を持つ。著書『1週間に1つずつ心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売一ヶ月で七万部突破。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典(KADOKAWA)』、近著に「不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖(世界文化社)」がある。
公式LINEアカウント@aika
https://aika-inc.co.jp/

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