アイドル卒業後、自分の体を見つめ直したという飯窪さん。現在、29歳の彼女が関心を寄せているフェムケアやフェムテックアイテムとは?
フェムケアの最適解は自分で見つけていく。
「毎月、生理が楽しみなんです」と思いがけず朗らかな笑顔からスタートした飯窪春菜さんのインタビュー。とはいえ、そう思えるようになったのはアイドルを卒業してからだったと振り返る。
「女性の体にはバイオリズムがありますが、アイドル時代は全国各地へライブツアーに回って、とてつもなく多忙でした。スケジュールはすでに決まっているものなので生理であろうがなかろうが活動にはまったく関係なくて、アドレナリンと気力でなんとか乗り切る日々。幸い、女の子だけのグループですし、スタッフさんも女性ばかりなので、生理の悩みを気兼ねなく共有できる風通しのよさがありました。私は経血量が多い方なので、衣装を経血で汚してしまうこともあったけれど、女性スタッフさんの『大丈夫、大丈夫!』と気にもとめない対応に何度も救われました。他にも、小中学生からグループに加入するメンバーもいるので、初めて生理が来た日をみんなで迎えるなんてことも」
飯窪さんが初めて生理による体の不調を感じたのは24歳のとき。
「アイドルを卒業して、張り詰めていたものがプツンと途切れたのかもしれません。生理になると動けないくらい眠くて、体が重だるくなることに気づいたんです。生活リズムが自分軸になり、自分の体と向き合う時間が増えていく中での出来事でした。もっとちゃんと自分の体を把握しなければと、健康診断に加えて、乳がん検診や子宮頸がんの検査にも定期的に行くようになりました」
自分の体について関心が高まる中で、フェムケアやフェムテックとの出合いも訪れた。
「偶然フェムテック専門店を見つけたのをきっかけに、吸水ショーツや月経カップにも挑戦。ただ、私は面倒くさがりなので、結果的には使い捨てのナプキンが一番使いやすかったです。なかでもショーツタイプのナプキンがイチオシ。一人暮らしをするまで、母が買ってくるナプキンを使っていましたが、ドラッグストアに行くと生理用品が多種多様で驚きました。『今月はどのナプキンを使おう?』と自分にとって最適な組み合わせを模索するのが毎月の楽しみになっています。少し前にアメリカ旅行してきたんですが、スーパーのサニタリーグッズ売り場が充実していて長時間居座ってしまいました(笑)。Tバック用のパンティライナーに“羽つき”が展開されていたり、デリケートゾーン専用の拭き取りシートも個包装のものがあったりとバリエーション豊か。何よりカラーリングが可愛くて、使うときにハッピーな気持ちになれるのがいいなと思いました」
また、生理中こそ“自分に優しくできる時間”だと飯窪さん。
「気分が落ち込むとすごく性格が悪くなってしまうので(笑)、なるべく人に会わず、静かに過ごすようにしています。気持ちが落ち着いたら、“血を作るため”と称して焼き肉を食べに行くのも毎月恒例。おいしい赤身肉を食べて、体にも心にもエネルギーを補給します。自分をコントロールできなくて自己嫌悪になることがあっても、心地よさや楽しさは人任せにしたくない。将来、子供を持つ姿はいまはまったく想像つかないんですが、日々の生理をないがしろにせず、上手に付き合っていけたら」
いいくぼ・はるな 1994年11月7日生まれ、東京都出身。2011年、モーニング娘。に加入し、’18年に卒業。現在は、俳優としてドラマや舞台などで活躍中。今後『舞台「東京リベンジャーズ」‐聖夜決戦編‐』の上演などが控えている。
※『anan』2023年12月6日号より。写真・水野昭子 ヘア&メイク・Kaco 取材、文・長嶺葉月
(by anan編集部)