Ayumu Imazu「ソロアーティストというカテゴリーを引っ張っていきたい」

類い稀なるクリエイティビティで、自身の楽曲から提供曲までいま話題を集める、Ayumu Imazuさん。トレンドではなく、自分の、そして世間の新たなスタンダードを示すような着実なる歩みを捉えました。


6歳でダンスを始め、14歳でニューヨークに留学。圧倒的なダンスパフォーマンスと繊細さを宿した歌が魅力のAyumu Imazuさん。作詞・作曲のみならず、自ら振付も手掛けるマルチ・アーティストとして支持されている。「Obsessed」がTikTokを起点に世界的にヒットしたことも記憶に新しいが、2ndアルバム『CLASSIC』は、ジャンルレスが当たり前になった時代における新たなスタンダードを構築しようという意志が漲る名盤だ。アーティストとしての根幹に迫った。

── 6歳でダンスを始めるきっかけは何だったんですか?

Ayumu Imazu(以下、Ayumu) ダンス動画を見たことでしたね。その後アーティストになりたいと思い始めたのは、ブルーノ・マーズのスーパーボウルのハーフタイムショーを観たことがきっかけでした。

── 14歳の時にニューヨークに留学され、今でも東京と行き来しながら活動されていますが、留学経験はどんな財産になりましたか?

Ayumu ニューヨークは自己表現がすべての街で、自分の意見がはっきりしていないと何も始まらないんですよね。自分から行動して想いを伝えないと生きていけない。そこで作曲を始めましたし、ダンスがもっと好きになりました。がむしゃらに頑張っていく中で、自分がギター一本でストリートで歌ったらどれくらいの力があるか試したくなり、ストリートライブをよくやっていました。向こうは化け物級に歌がうまい人がたくさんいるので、レベルの差を実感しましたね。

でも、僕とは生まれ育った環境が大きく違うわけですから、「そりゃ差はあるよね」と自分を納得させていましたし、アーティストになるという気持ちはずっと強かったので、心は折れなかったです。留学経験は今の自分の軸になっています。

── Ayumu Imazuとして活動をスタートさせてから約7年半が経ちます。どんな時間だったと思いますか?

Ayumu 常に考えて、いろいろな試行錯誤ができたことが本当に良かったと思っています。たとえ失敗だったとしてもたくさんの経験をしたことで、ソロアーティストとしての土台がしっかりできたかなと。

── 一番の転機は何だったと思いますか?

Ayumu 「Obsessed」ですね。リリースしようと思って作った曲ではなく、1年間眠っていたストック曲のサビだけをSNSに投稿したことがきっかけでAyumu Imazuの名前が一気に広がってくれました。

── Ayumuさんにとって初の全編英語詞の楽曲がヒットしたことで、日本語詞を書くことのプレッシャーがなくなったと以前おっしゃっていましたよね。

Ayumu そうですね。ダンス曲は「見せどころを作りたい」とか「こういう音にしたい」とかいろんなことを考えるのですが、「Obsessed」はナチュラルに自分の好きなサウンドを集めて自分の好きな歌詞を歌うという作り方だったので、その曲が一番ヒットしてくれたことは自信に繋がりましたね。

── 2ndアルバム『CLASSIC』の楽曲の歌詞は、英語と日本語が分け隔てなく交ざり合っていますよね。

Ayumu 今は全編日本語詞の曲が海外でもヒットする時代ですし、日本語詞と英語詞の割合は、ほぼ意識しなくなりました。まだ「全編英語詞だと伝わりにくいかな」と思って少し日本語詞を入れることはありますが、「Obsessed」の前までに感じていたようなプレッシャーはなくなった気がしています。

もう一皮むけるためのリブランディング

── 曲作りのスタンスにも変化はありますか?

Ayumu 次のフェーズに行くためにどのような世界観を見せていくかという視点で考えるようになりました。楽曲ベースではなく活動ベースで考えるようになったのかな。約7年半活動して自分の軸ができてきた中で、楽曲のパターンがある程度固まってきたところがあって。もう一皮むけるためにはリブランディングするフェーズだなと思ったのが大きかったです。

── 『CLASSIC』はまさに新しいクラシックを作るためのアルバムなんだなと感じました。

Ayumu ありがとうございます。まず、どういうテーマのアルバムにするかという準備段階で、一人で考えている時間がとても孤独でした。24時間そのことを考えているような感じで。今の日本の音楽シーンはソロアーティストがとても少ないので、自分がソロアーティストとして新しいクラシックを提示したいという気持ちが生まれ、タイトルを「CLASSIC」にしました。新しいものでもありますし色褪せないものでもあるというのが大きなテーマで。日々流行りの曲が生まれてすぐに入れ替わる時代において、いつ聴いても良い曲だと感じることができる曲を残すことが大事だと思いました。

曲を作っていく中で「この曲は長くリスナーに残っていくな」ということは感覚的にわかるので、そういう曲を集めていきましたね。最近は一人でデモを8〜9割作り込んで最後に誰かに整えてもらうような流れで曲を作ることが多かったのですが、そのやり方に天井を感じて。次のステップに行くためには新しい要素が必要だと感じたことで、信頼できるプロデューサーたちと曲を作っていったことが一番のチャレンジでした。自分だけだったらアイデアはあっても形にできないようなアプローチを形にしてもらえたり。脳みそが何倍もあるので(笑)、アイデアが出てくるスピードも速かったです。その作り方を経験したことで、一人での制作にも活きることが多くあると思うので、今後はそれもまた楽しみですね。

── 最後に収録された「Home」は久々のバラード調の曲ですが、ようやく自分の心にホームがあると気付いたことで生まれた曲だそうですね。その答えにどのようにして辿り着けたのでしょう?

Ayumu ニューヨーク留学から帰ってきて以降、スーツケースひとつに人生を詰めてニューヨークと東京を行き来するような生活をずっと続けていました。固定の家がないような状態だったのですが、寂しいと思ったことがないんですよね。「それってなんでだろう?」と考えた時に、自分の環境や周りにいる人が自分の居場所なんだなと気付いたんです。だからこそもっと落ち着ける環境や信頼できる人が欲しくなるんだろうなと。

── 新たなフェーズの一歩となるアルバムの最後に「Home」が収められることでより節目感が出ますよね。

Ayumu 「Home」の曲順は最後しか考えられなかったですね。ダンス曲は心地が良いですし楽しい気持ちになりますが、僕が一番届けたいのは、人の心を何かしら動かして“自分も頑張って生きよう”と思っていただけるような音楽です。なので、自分の一番の軸である「Home」を最後に持ってきました。

── 今作を作ったことで見えてきたものはありますか?

Ayumu なんだろう。自分のアルバムではない気がするくらい大好きなアルバムになりましたね(笑)。

── そこまで良いアルバムができたのは何が大きかったですか?

Ayumu 本気でこだわり抜くとこんなに好きなアルバムが作れるんだなと気付きました。このアルバムを完成させるためにチームもすごく動いてくれましたし、一切妥協なくやり抜けたんですよね。

── AyumuさんというとKing & Princeに提供した「Theater」がバズっていましたが、提供曲とご自身の曲で向き合うスタンスに違いはあるものですか?

Ayumu 提供曲も自分の世界観やサウンド感を求めていただくので通ずるものは大きいのですが、提供曲の方が引き出しが多くてやりやすさはあるかもしれません。「自分だったらこの歌詞は歌わないけどこの人が歌うならいいよね」と思うポイントがたくさんあって楽しいです。おちゃらけた歌詞でも成立するという気付きを得て、自分の曲にも反映させてみたり。学びが大きいですね。

── 「Theater」も結構コミカルな歌詞でしたよね。

Ayumu そうですね。あのAメロがあそこまでバズるとは思っていなかったので驚きました。パフォーマンス用の振付は僕が考えましたが、バズった振付は(髙橋)海人くんが考えたものだったので、あのセンスはさすがだなと思いました。

── また、最近BMSGとパートナーシップを締結したことも話題になりましたが、どんなポジティブな影響がありましたか?

Ayumu クリエイティブファーストな事務所なので、本当に自由にやらせていただけています。だからこそ『CLASSIC』も妥協なく完成させられました。BMSGはダンス&ボーカルグループもソロアーティストもたくさんいて僕が知らないノウハウを持っています。これからの僕の活動に絶対に活きると思いますし、僕自身がある程度土台を作れたタイミングだからこそ、良いパートナーシップが築けると強く感じていますね。

── 最後に、どんなアーティストでありたいと思っていますか?

Ayumu 今はソロアーティストにスポットが当たることがとても少ないと感じているので、ソロアーティストというカテゴリーをしっかり作らないといけないなと思っています。そのカテゴリーを引っ張っていける存在になりたいですね。例えば“ダンス曲はかっこよくないとダメ”というわけでもないですし、Jポップ色の強い曲でもダンスが映えるかっこいい曲にできると思っているので、そういう面でも新しいクラシックを届けていけるようになりたいです。

Profile

Ayumu Imazu

アユム・イマヅ 2000年生まれ、大阪府出身。作詞・作曲・振付を自ら手掛けるシンガーソングライターであり、圧倒的なダンスパフォーマンスと魅力的な歌声でZ世代を代表するアーティスト。'24年、「Obsessed」が「第66回輝く!日本レコード大賞」企画賞を受賞。2ndアルバム『CLASSIC』を引っ提げ5月17日から全国ツアーを開催。

information

2ndアルバム『CLASSIC』

「Jeep AVENGER 4xe HYBRID」CMソング「Bassline」ほか全10曲収録。MONJOE、Taka Perry、Boy Blue、Mike Baretz、Marcus Munroeなど新進気鋭のプロデューサー陣が多数参加。【初回限定盤(CD+DVD+フォトブック全60P)】 ¥7,700 【通常盤(CD)】 ¥3,630(Capitol Records/ユニバーサル ミュージック)

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写真・山越翔太郎 インタビュー、文・小松香里

anan 2495号(2026年5月13日発売)より
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No.2495掲載

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