
Netflixドラマ『ガス人間』で、鮮烈に俳優デビューを飾ったUTAさん。2作目に挑戦したのは寡黙な関西男。演技の世界、どんなふうに楽しいですか?
長い手足にスラリと高い身長長。シャッターを切るたびポーズが完璧。ため息が出るほど美しい体躯の持ち主である、俳優・モデルのUTAさん。一方で、喋り始めると黒い瞳が好奇心で輝き、ちょっぴり無邪気な印象も。今年俳優デビューを飾り、現在ドラマ『赤灯えれじい』に出演中。さらに、朝の情報番組でパーソナリティにも挑戦。そんな新たな一歩を踏み出したUTAさんの目には今どんな世界が映っているのでしょうか。
── アメリカの大学でプロのバスケ選手を目指していたそうですが、本当に背が高いんですね。
幼稚園の頃からすでにクラスで一番体が大きくて、そのままグングン大きくなり、今に至るという感じです。でもバスケをやっていたときは、もっと大きくなりたかったですよ。2mくらい、身長が欲しかったです。
── 昔から牛乳をたくさん飲んでいた、とか?
いえ、実は僕、小さい頃は牛乳アレルギーで、あと卵もダメでした(笑)。なので、豆乳をよく飲んでいました。ちなみに、高校生くらいのときにそのアレルギーは克服しました。
── そんなバスケ漬けの日々から、大学を卒業しモデルの世界に羽ばたき、そして今年、俳優として新たな道を歩み始めました。もともとお芝居にご興味が?
俳優の世界に入ることになった直接的なきっかけは、Netflix作品の『ガス人間』に出演したことです。とはいえ、実は、数年前から海外の映像作品のオーディションを結構受けてはいたんです。ただ当時は正直「俳優になりたい!」みたいな強い気持ちがあったわけではなくて。というのも、海外だと背の高い人を探している作品も多いので、オーディションを受けているモデルって結構多くて、僕もそんな感じだったんです。でも、全然受からずで。そんなことを繰り返しているうちにちょっとだけやる気に火が付いた…というほどではなかったんですが(笑)、せっかく何度もオーディションを受けているんだから、一度は役者の仕事の現場を体験してみたい、という気持ちが芽生えてきて。
── 小さな心境の変化があった、ということですね。
はい。でもその後もやっぱりなかなかオーディションに受からない。そんな中で突然『ガス人間』のオファーをいただきました。
── いきなり俳優の世界の扉が開いた、と。
ただ、オファーとはいえ僕は演技がほぼ初体験だったので、監督さんとプロデューサーさんに何回かお芝居を見てもらった後、出演させてもらえることが決まりました。もちろん嬉しかったのですが、こんな大きな作品のメインとして、自分なんかがいていいんだろうか…というプレッシャーも大きくて。ただ、この世界に入るなら、きっと今なんだという直感はあったので、思い切って飛び込むことにしました。
── 新しい挑戦に、躊躇するほうですか? しないほうですか?
怖い怖いと言いながら、やらなきゃいけないときが来たら、思い切りはいいほうだと思います。いざというときの気合に関しては、結構自信があります。そのマインドはバスケの経験で培ったもので、その思い切りの良さを、俳優という仕事でも活かせたらと思います。
── モデル業も、何かを表現するという意味では俳優と近しいものがあるのかな、と思いますが、そのあたりはどうでした?
全然違いましたね。モデルは洋服をいかに素敵に見せるかが一番大事な仕事で、そのために自分を無にすることも結構あります。でも俳優という仕事は、演じる中に“日常の自分”を残すというか、出す必要があるというか…。まだ2つの役しか演じていないですが、演じたキャラクターから得るものがとても大きいです。その役の考え方や生き方、過去はもちろんですが、喋り方とか言葉の選び方とか、役を探しながら演じる役とコミュニケーションをとっている感じがして、そこがすごくおもしろいしやり甲斐でもあります。
関西弁なのに、寡黙。その演技に苦労しました
── 現在放送中のドラマ『赤灯えれじい』では、ヒロインの金髪ヤンキー女・チーコの元彼・矢間勇作(通称・ユーサク)を演じています。舞台は大阪、彼も元ヤンで、傷害罪で服役していた過去があるという経歴の持ち主です。役作りはどのように?
前作の『ガス人間』のときは、何もないところから考えて構築していったのですが、今回は、監督さんやプロデューサーさんとたくさん話をしたり、現場に入って感じたことなどを大切にしながら、役作りをしました。
── 東京生まれ、海外育ちのUTAさんが、昭和の空気が溢れるマンガが原作のドラマで、大阪弁の元ヤンを演じる。視聴者としてはかなり驚きましたが、ご自身としてはどうですか?
最初にお話をいただいたときは、“大阪で撮影”“セリフが関西弁”というところにしか頭がいかなくて(笑)。特に、関西弁で演技をするというチャレンジは、相当高い壁だな、と思いました。それで、とりあえず原作のマンガを読ませてもらったらすごくおもしろくて。笑ってしまう中に、人生の壁とか葛藤などが描かれていて、いろいろな感情が湧き出てくる作品でした。なので、ぜひ参加させてくださいと。
── ヤンキー文化って、触れたことありますか?
もちろん知ってはいましたが、自分にはヤンキー要素はほとんどない気がするので…(笑)。でも、仲間思いな部分だったり、すごく真っすぐだったり人間味がある印象があります。
── 演じているユーサクはどんな人ですか?
寡黙で、静かに喋る謎めいた男です。でも、その“静かに喋る”というところが僕にはすごく難しくて。というのは、大阪の方って基本、話すスピードが速く、しかもよく喋るイメージがあって。関西弁のセリフでゆっくり静かに言葉を喋るというのが、なかなかハードルが高いんです…。しかも今回は、結構アドリブも多い現場なんですが、僕は関西弁がわからないからアドリブが入れられなくて(苦笑)。でも、先ほども話に出たプロデューサーさんが関西出身なので、「西成出身のヤンキーだったらこういう言い方するよね」とかアドバイスをしてくださるので、それを受けて現場でアドリブのセリフが増えることもあり、そういうものづくりが刺激的で、とても楽しいです。
── 大阪での撮影はどうでした?
もともと大阪が大好きで、友だちも多くよく遊びに行っていたので、行く前からワクワクだったんです。今回は、行ったことがないエリアでの撮影だったので、見たことがない大阪を見られた気がします。撮影のカメラが回っているのに歩いている方が普通に入ってきちゃったりするし、あと、町の方が急に奢ってくれるような経験もあって(笑)。夜撮影が終わるとみんなでよく行っていた焼き鳥屋さんがあって、夜な夜なベロベロに酔っ払った店主が焼く焼き鳥を食べたりしたのもいい思い出。大阪の人の、人との距離の近さとか、ストレートな感じも大好きなので、本当に、めちゃめちゃ楽しかったです。
陽キャと陰キャの間を行ったり来たりする性格

── ご自身は、人との距離感だったり、感情の出し方は、どんな感じですか? 大阪っぽい要素はありますか?
う〜ん…、そんなにないかもしれません。家にいたり、あと少人数で友だちに会うときは基本的には静かなので、そういう意味ではユーサクに似ているかも。
── どちらかというと、人見知りだったりします?
いえ、そういうわけでもなく、シャイ…いや、シャイなのか? シャイのようでシャイじゃない(笑)。陽キャが楽しい日もあるし、陰キャでいるのが心地よいときもある。そこを行ったり来たりしている性格ですね。でも、そんなに感情を表に出すほうではないとは思います。
── ということは、あんまり人に相談をしたりするタイプではない感じ?
ないですね。以前、あまりに僕がなんでも一人で解決しようとするので、「もっと頼ってよ」と言われたことがあります。結構なんでも我慢しちゃう。
── そのマインドは、どこで培われたものですか?
これもバスケだと思います。アメリカでのバスケは、本当に厳しくて、すごくメンタルを鍛えられたというか。小さなことで悩むな、自分の弱さを出すな、ポジティブな感情だけ出せ、そして男は泣くな、みたいな環境にいたので、その考え方が、良くも悪くも自分の人生に大きな影響を及ぼしていると思います。そういう意味では、精神的にはかなり強いと思いますが、逆に感情を出すのが得意ではないです。でも俳優の仕事をするようになってからは、心を閉じず、できるだけ感情をオープンにしようと心がけています。
── それはなぜですか?
演技指導をしていただいている先生に言われたんです。常に心をパカッと開けておかないとって。
── 具体的にどのようなことをしてますか?
なんだろう、できるだけいろいろなことを素直に感じるようにしていますし、あと思ったことをなるべく言葉にしようと努力しています。自分の心をちゃんと動かす練習をしている感じです。
── 役者の世界を歩き始めたばかりですが、やってみたい役など、目標はありますか?
人の感情を動かせる俳優になりたいです。あと、今回は恋愛中のカップルを壊しにいく役なので(笑)、逆に恋愛をしている役に興味が出ました。ちょっと重めの恋愛モノをやってみたいです。
Profile
UTA
うた 俳優、モデル。1997年10月1日生まれ、東京都出身。高校からアメリカへ留学しIMGアカデミーを経て大学でプロバスケットボール選手を目指す。189cmの長身を活かし、2018年よりモデルとして活動を始め、パリ、NY、東京でコレクションに出演。今年7月、世界配信されたNetflixドラマ『ガス人間』にて俳優デビュー。現在、『ZIP!』(NTV系)で水曜パーソナリティ(10~12月)を担当。
information
20年前に大ヒットした、きらたかしによる同名コミックスが原作のドラマ『赤灯えれじい』に出演中。主人公は、ヘタレ男と金髪ヤンキー女。大阪を舞台にした人情あふれる愛おしい純愛物語。共演に黒崎煌代、鳴海唯など。テレビ東京ほかにて毎週木曜24:00~24:30などで放送中。また、ディズニープラスで各話放送後から見放題独占配信。広告つき無料配信サービス「TVer」などで見逃し配信。
anan 2517号(2026年10月28日発売)より
































