
2026年に15周年を迎え、日本の音楽シーンを現在進行形で盛り上げているアーティスト集団、EBiDAN(エビダン)、その中でひときわ異才を放つギターデュオ、Sakurashimeji(読み:さくらしめじ)がananのwebに初登場。ありのままの自分を肯定し、きらめく前向きな感情はもちろん淀んだ後ろ向きな心持ちにさえも伴走する彼らの楽曲の持つ力、そして12年にわたり二人で活動するメンバーの田中雅功さんと髙田彪我さんの素顔と声に迫る全2本のインタビュー記事です。前編となる本記事では、本日リリースされた2nd EP『あなたの声になれたら』からそれぞれ自作し持ち寄った中から選ばれた収録曲全4曲を、田中さんと髙田さんに解説してもらいました。今回のEPにかける想いとは。二人のギターと共に撮影した写真にも注目です。
Index
2nd EP『あなたの声になれたら』は2人の「素」の4曲を収録
── 11/4に発売される2nd EP『あなたの声になれたら』は、どんな思いを込めたEPなのでしょうか。
髙田彪我(以下、髙田) ここ最近のSakurashimejiのリリース形態は、1曲ずつ配信していくようなスタイルで、それはそれで納得のいく曲ができていたんです。でも今回は、もうちょっと肩の荷を下ろしてラフな感じで、というか、素の部分が出せる楽曲でCDを1枚作りたいな、と思って制作しました。今まで自分が聴いてきた音楽って、もちろんA面というか、リード曲っぽいものも好きなんですけど、実は救われてたのって、そうじゃない曲だったりして。アーティストのすごく個人的なことを歌った曲に惹かれてきたな、と思っていて、それを自分たちでも一つ、形にできたらな、と思ったんです。だからどの曲も自分のつぶやいた独り言みたいな感覚で作りました。
── EPに収録されている4曲は、ちょうど2曲ずつお二人がそれぞれ作詞・作曲をされているんですね。
田中雅功(以下、田中) これはたまたま2曲ずつになったんですけど、お互い5曲くらいずつ作っていたのをみんなで聴いて、これいいね、ってなったのがこの4曲だった、という感じです。

#1「あなたの声になれたら」
── それぞれどんな曲なのか、解説をお願いできますでしょうか。まずはリード曲「あなたの声になれたら」から。
髙田 この曲は一応、リード曲ではあるんですけど、力み過ぎずに本音で、素の状態で作るっていうのを意識しました。なのでアレンジの面でも割とシンプルな楽器構成になっていて。歌詞の内容は、僕の作詞の仕方というか、いつもどうやって作詞していたっけな、というのを曲にした感じです。
── なるほど。
髙田 ほかの人から聞いた話を曲にすることもあるんですけど、ほかの人の思いを歌う、ってなったときにその人の「うれしい」や「悲しい」の感情に共感はしても、100パーセントその人の思いに寄り添えるかと言われたら、多分そうではない。自分は自分だし、人は人だし。そんなもどかしさもありつつ、それを踏まえてわかってあげられることも多分たくさんあると思うんですよね。『あなたの声になれたら』はそれを歌っていきたいな、という感じの曲になってます。

#2「歌えますように」
── 複雑な思いがこもっていて、歌詞を読みながら何度も聴きたくなる曲ですね。『歌えますように』は田中さんが作詞・作曲。どんな思いで作られたんですか?
田中 今回EPを出すということになって曲を作ろうと思ったんですけど、作ろうと思って作る曲って、あんまりいいものができないことが多くて。できるときももちろんあるんですけど、できないことのほうが多いんです。今回もバーッと曲をいっぱい作って、次の日に聴いたら全然良くなくて。全然良くねえじゃん、と思って落ち込んで…。それで振り返ったら、昨日ずっとこの曲を作ってた。昨日がなかったことになったような感覚になったんです。
── 一日が無になったと。
田中 僕たちって、お客さんが曲を聴いてくれたりライブに来てくれたりして初めて成り立つ職業であって、たとえば今日からもうSakurashimeji聴くのやーめた、って言われたらそれに対しては何もできない。いやいや、明日も聴いてよ、って言えないので歌うしかないんですけど、その歌う歌も満足に作れない俺はどうなってるんだ、ってすごく落ち込んだんです。この曲は、それすらも音楽にしなきゃいけないのかな、と思って書きました。暗いです。暗いな、って思います。
── でもこういう暗いところに人は共感するんじゃないでしょうか。
田中 今までは自分のことを100パーセント歌っている曲でも、自分のためになっていた曲はあったりするんですけど、この曲に関しては自分のためになっているのかもわからないくらい、グズグズッとした感情で書いた曲で。これからどうライブでやっていくかもいちばん未知数な曲ですね。最後、「歌えますように」って明日の自分任せな感じも結局変わってないし、多分明日も歌えますように、って明日の自分に言うだろうし。やるせなさがありますね。
── ライブでもぜひ聴いてみたいです。
田中 そうですね、聴いてくれるかな?(笑)

#3「どこにいても」
── では髙田さんが作詞・作曲の「どこにいても」。
髙田 「あなたの声になれたら」は先ほどお話ししたように、自分が作詞をするときの心境を表現した曲なんですけど、逆にこの「どこにいても」は作曲するときの心境を表現した曲です。僕、いつも曲を作るとき、結構変なタイミングで思い浮かぶことが多いんです。いちばん多いのはシャワー中。普通の街中を歩いているときにふと思い浮かんだりもするので、どこにいてもメロディーってあるな、と思っていて。それを直接歌にした、という感じですね。
── メロディーを思い付いたらボイスメモなどに残すんですか?
髙田 はい。ボイスメモはすぐに呼び出せるように、スマホのいちばん最初の画面に置いてあります。ちなみに僕は曲を作るとき、最初にメロディーを作って、作詞は最後の最後まで悩む、っていうパターンが多いんです。今回のEPの、「どこにいても」からの「あなたの声になれたら」は、僕の曲を作る順番に準じているところもあるかな、と思っています。

#4「また今度」
── 最後に、田中さん作詞・作曲の「また今度」。
田中 僕、一人暮らしを始めて一年半くらい経つんですけど、これは一人で暮らし始めてすぐくらいに書いた曲です。一人で生きていくって大変だな、と思ったときに、実家ってありがたかったな、と思って。今までもそうですけど今後も親に手紙とか書くことはないだろうし、この曲が手紙の代わりになればいいな、と思って書きました。
── 素敵ですね。ご両親はもう聴かれたんですか?
田中 聴いてないです(笑)。仕事のこととかあんまり親に言ってなくて。

「このEPは僕らの自己紹介」
── ところで、今回のEPでお互いが作った曲についてはどんなふうに思いましたか?
田中 彪我の曲はやっぱり、彪我独特の哲学がところどころに見える曲になったなと思います。たとえば『あなたの声になれたら』の中の「知らない話はまだ山ほどあって その度になぜか遠ざかってく」っていう歌詞があるんですけど。「無知の知」じゃないですけど、「知らない」っていうことを知らないままのほうが近く感じた、っていうのが哲学的だな、と思って。これをサビで歌ってもいいものをBメロでサラッと歌っている感じがなんか彪我っぽくていいな、と思いましたね。
髙田 まずは、ありがとう(笑)。今回の曲は本当にもう100パーセント「素」というか、日常的に生きていて思うことただツラツラと書いてみたので、そこを表現できていたらいいな、と思います。雅功の曲は僕の曲と違って、メロディーと歌詞の感情の動き方がリンクしていることが多くて。それって結局、言いたいことをまず最初に作ってからの作曲だからこそできることなんだろうな、というのを今回の雅功が作った2曲を聴いても思いました。

── 田中さんはどんなときに歌詞を書くことが多いんですか?
田中 変な言い方になっちゃうんですけど、どんなときも書いてるかもしれないです。いつ何を思うかわからないから、ちっちゃいことでも全部メモするようにしていて。「今日食べたおにぎりは美味しかった」とか、もうなんでも、です。日記をつけたりもしているので、日記から出てくることもあるし。作ろうと思って作る歌詞ももちろんあるんですけど、そういうときってあんまりいいのができない傾向があって。作りたいと思ったときに作る方がいいものになる傾向のほうが多いですね。書くときはもう一瞬でバーッと、今これ思ったから衝動でそのまま書く、という感じです。

── 先ほど髙田さんは最初にメロディーを作って、そこに乗せる歌詞は最後まで悩む、とのことでしたが、田中さんはどうですか?
田中 僕の場合は、書きたいことがまずあって、歌詞とメロを同時につけていく、みたいな。同時だから、どうやって作っているのか、毎回あんまり覚えていなくて。作ったうえで微調整したり、ちょっとずつ変えていくとかはありますけど、初期衝動で作るものは歌詞とメロ、ほぼ同時だと思います。

── お二人で曲の作り方が全く違うんですね。ところで今回のEP、どんなところを特に聴いてほしいですか。
髙田 どの曲も、自分たちの本音というか、思っていることを書いたんですけど、多分全曲、聴いてくれた人によって全然違うかたちになっていくと思うんです。そのときに拒否反応を起こさずに、そのままの感情でこの曲たちを受け入れてもらえたらな、と思います。
田中 僕らのことを最近知ってくれた方も多くいらっしゃるなかで、改めて僕らがなぜ音楽をやっているのか、どういうことが原動力になっているのか、みたいなことがこの1枚を通してなんとなくわかるんじゃないかと思うんです。パーソナルなことをわかったうえで曲を聴くと、なんだか違ったふうに聴こえてくるっていうことも多分あって。これから一緒にみんなで音楽を楽しむ人生を送っていくなかで、僕らってこういうことを考えてるんだよ、っていう自己紹介じゃないですけど、そんなふうに感じ取ってもらえたらいちばんうれしいな、と思います。
Profile

Sakurashimeji
さくらしめじ 2014年結成の、スターダストプロモーションEBiDAN所属のギターデュオ。現在2nd EP『あなたの声になれたら』が好評発売中。2027年5月27日より、全国8か所9公演でZeppTourを開催。ラジオ『話盛りSakurashimejiの花修行』(GERAで毎週水曜日配信)に出演中。
🐼 編集部より
注目のギターデュオ、Sakurashimejiさん。スタジオに入ってこられた際には、爽やかな風が吹いたような、二人が奏でる楽曲が持つ雰囲気さながら穏やかな空気をまとっていました。楽曲について伺うと、まっすぐな瞳で勢いよく語る髙田さんと、ぽつりぽつりと言葉を探し噛み締めながら話す田中さんの姿が印象的。二人の絶妙なバランスとEP制作、音楽への並々ならぬ覚悟が感じられました。
明日12:30リリースの後編記事では、才能に溢れた二人のまた別の顔、ラジオアプリ「GERA」でのご活躍やSakurashimejiの過去と現在、そして未来をたっぷりと、ロングインタビューでお届けします。お楽しみに!
髙田さん衣装・古着のブルゾン ¥15,000 古着のネクタイ ¥6,500(ともにアヤワスカ洋服店 TEL. 03-6887-9299) パンツ ¥53,900(ボディソング info@bodysongbodysongbodysong.com) その他スタイリスト私物
写真・KAZUYUKI EBISAWA(makiura office) スタイリスト・ ダヨシ(KINIRO) ヘアメイク・櫻井華奈 取材、文・古屋美枝































