イラスト・サヲリブラウン 文・牧田ちえみ 構成・片岡延江
疲れが回復しない、肌の調子もイマイチ…、その不調、細胞内で“何か”が低下している?
その不調は細胞力のせいかも
- 疲れやすい
- 風邪をひきやすい
- 太りやすくなった
- シミが目立ってきた
- 肌がくすんでいる
- 小ジワが増えた
- 髪が薄くなってきた
「人間の体は約37兆個もの細胞からできているといわれています。細胞内では古い細胞は常に修復され、いらないものを排除し、新しく生まれ変わろうと再活性化が繰り返されています。その修復機能が低下してくると疲労回復が遅れたり、太りやすくなったり、肌でいうとターンオーバーの周期が乱れてシミが濃く出てきたり、いろんな症状となって表れてきます」
理由のはっきりしない不調の原因は、細胞内に鍵がありそう。細胞研究で世界的に有名な吉森保先生によると、
「細胞が人間を作り上げている。その意味では体の調子が悪い、健康である、若々しい、老化した、これらはすべて細胞の状態で決まります。細胞は小さいので一個一個認識できないから実感はないと思いますが、細胞の機能が低下することで体も不調を感じたりすることになります。今までのアンチエイジングの考え方はほとんどが現れた不調にフォーカスした対症療法的ですが、本当に若々しくありたかったら細胞に働きかけなくてはだめなんです」
そもそも細胞の中はどうなってるのか、ミクロの世界にも社会の歯車があって各々役割があるよう。
「細胞の中には人間社会みたいなものが存在して、発電所やリサイクル工場にあたるものがあります。そこで働く人間にあたるのはタンパク質で、ひとつひとつ役割を持っており、細胞内に張り巡らされた交通網を行ったり来たりしている。この社会がちゃんと機能するようにしているのがオートファジーやサーチュインなどです」
次のマンガでは細胞内の攻防とキーマンたちをご紹介します。
お話を伺った方々
吉森 保先生
大阪大学大学院・生命機能研究科及び医学系研究科教授、生命機能研究科長、大阪大学栄誉教授。オートファジー研究の第一人者。
日比野佐和子先生
Y'sサイエンスクリニック広尾統括院長。大阪大学大学院医学系研究科臨床遺伝子治療学特任准教授、医学博士。内科・皮膚科・眼科医。アンチエイジングの第一人者としてTVや雑誌にも数多く出演。
細胞力に注目! 細胞の中で毎日行われていることをのぞき見。細胞をリフレッシュさせる鍵は?
疲れやすく最近何をしても調子が上がらずふさぎがちな27歳OL。
お疲れ女子の疲れの原因を探って教えてくれる謎のドクター。
ヒーロー1 細胞内の部品を回収してリサイクルして新品にしている働きマン。
ヒーロー2 細胞内でオートファジー部隊を先導する司令塔。
増殖するとオートファジーの働きをストップさせる困り者。
仲間は約37兆個。オートファジー部隊に助けられると、元気に若さを保てる。
ザクロ由来、ポリフェノール・エラグ酸が腸内で代謝されてできる成分。オートファジー、サーチュインに良い働きかけをする。
カニ・エビに含まれる成分。サーチュインを介してオートファジーを誘導してくれる。
ブドウや赤ワインに含まれる天然成分。オートファジーとサーチュインを活性化させる。
細胞力を解説! ノーベル賞をきっかけに注目を浴びた「細胞ケア」でフレッシュな体質に!
オートファジーを上げて細胞内をリフレッシュ。
「細胞の中には有害なものが日々現れます。例えば発電所であるミトコンドリアに穴が開くと、そこからガンの原因になったりする活性酸素が出てきて危険です。オートファジーは、パックマンみたいに穴の開いたミトコンドリアを包み込んで分解してくれる非常に優れた機能を持っています」
有害物質を取り除く機能まで持ち合わせているオートファジー。そんな働きを指示する上司の存在もいるようで。
「代表的なのがサーチュインというタンパク質。細胞の社会にも指揮系統があって命令を伝達する係。サーチュインの指示はオートファジーにも届きます。いわば指揮官と現場の関係ですね」
まさに人間社会そのもの。でもそんな現場でオートファジーの働きにストップをかける厄介な存在がルビコン。
「タンパク質であるルビコンが増えるとオートファジーの動きにブレーキをかけ働けなくしてしまう。肝臓でこれが起きると脂肪肝という病気になることがわかってます。つまりはサーチュインなどの司令塔や実務をするオートファジーの活性を上げていくことが大事です」
活性化させる鍵は食品にもあるようで、ウロリチン、レスベラトロールなどの成分にも注目です。
加齢によるルビコン増加とオートファジー低下
細胞の不思議1…年とともに細胞は汚れてくる。
「ルビコンはオートファジーの働きを妨げるので、増えすぎると細胞内の新陳代謝がうまくいかなくなり、次第に細胞内の社会の機能が低下していきます。ルビコンをなくすという実験をしたら動物が1.2倍長生きすることができて、パーキンソン病など進行も抑えられることがわかってきています」(吉森先生)
細胞の不思議2…細胞内の新陳代謝や有害物を除去する2大ヒーローの存在。
「細胞の中ではほぼ100%の効率でリサイクルされるので、まったく無駄がない。いくつになっても細胞をリフレッシュできるんです」(吉森先生)
体元気に、肌をピカピカに! 「細胞力」を上げるキーマン相関図。細胞内をきれいに元気に復活させる2大ヒーロー
細胞内は社会機能のあるタウンみたいなもの。
そんなタウンで日々奮闘するもの、邪魔するものたちをご紹介します。
【サーチュイン】
頼もしい細胞再活性化の司令塔。
【オートファジー】
ノーベル賞で注目を浴びた細胞内の回復・若返りを担う働き。
サーチュインとオートファジーに作用する天然成分
NUTRIENT
ウロリチン
グルコサミン
レスベラトロール
ヒーローたちの元気の素。効いてくるとパワーアップ!
細胞内の再活性化を助ける3つの天然成分。
NUTRIENT