新年度が始まって約1か月。なんとなくだるい、睡眠不足、気力がわかないなど、小さな不調をあれこれと実感し始めている人も多いのでは。ここでは、そんな悩みを解決するために、今すぐ始められる工夫の数々をご紹介します。

体ではなく脳の疲れが厄介。とくに現代人は要注意。

TIPS

たいして体を動かしていないのに、なんだか疲れる。最近、疲れが取れにくい…。そんな悩みを抱えている人は多いのでは。そもそも人はなぜ疲れてしまうのだろう。

「ほとんどの原因は脳の疲れ。現代人は、仕事や人間関係で長時間頭をフル回転させるため、脳が疲れやすい環境にあります。運動や肉体労働などによる体の疲れは少し休めば元気になりますが、脳の疲れはそうはいきません。そのうち回復するだろうと正しいリセットを行わないまま、慢性的な脳疲労を抱えている人は多いと思います」(内科医・工藤孝文さん)

とはいえ、疲れることは一概に悪いわけではないという。

「疲れは“これ以上、無理をすると体に深刻な不調が出てきますよ”というシグナルでもあります。疲れを放置しておくと、心筋梗塞や脳出血などを発症するリスクが高まってしまう。疲れがあるおかげで、そんな事態になる前に、調整できるともいえるのです。疲れのシグナルに敏感になり、早めに対処することを心がけましょう」

そこで、まずは疲れにつながる体と心のストレスをチェック。当てはまるものが多いほど、脳が疲れている可能性あり。たかが疲れと軽く考えず、適切に対処して根本から元気を取り戻そう!

体と心から読み取る“疲れ”のサイン。部位別“ストレスチェック”

□目:まぶたの痙攣
ストレスや疲れが溜まっていたり、血が足りていないことが原因。

□顔全体:ニキビができる
口まわりにできるニキビは胃腸、鼻まわりは気管支に不調があるサイン。あごまわりにできるニキビはストレスが原因。

□のど:のどがつかえた感じがして苦しい
ストレスや疲れによる気の滞りが原因。

□胃:心窩部のつかえ感、胃の停滞感
運動不足や睡眠不足による胃の衰弱が原因。

□腹:下腹部のハリ、膨満感
血の巡りが悪い状態が原因。

□胸:胸からワキにかけて重苦しく張っている
ストレスの蓄積や運動不足などで気の流れが滞っていることが原因。

□首&肩:首から肩にかけてのコリ
ストレスや疲れにより、筋肉や血管が緊張していることが原因。

□心:気持ちの落ち込みなど
不安感、周りが敵に見える、イライラ、緊張など。体に不調が生じる一因にも。

実は簡単な習慣で疲れを回復できる!

下の「疲れのメカニズム」を見るとわかるように、脳の疲れにつながる元凶は、無理して頑張ること。つまり、休みたい時に休めてさえいれば元気な状態を維持できるので、疲れが溜まってしまうことはないはず。でも、なかなかそうはいかないのが現状では。そこで、やむなく疲れてしまった時の回復法として、何が大切なのかを、工藤さんに聞いてみると、

「ポイントは3つ。抗ストレスホルモンのセロトニンを増やすことと、心身の健康を司る自律神経を整えること、そして体内時計を規則正しく修正することです。この3つを意識した生活を続けると、疲れが回復し、さらに疲れにくい体をつくることができます」

難しそうな気がしても、実は単純。基本的には毎朝決まった時間に起きて、日中は脳だけでなく体も疲れさせ、夜は家でゆっくりする、という生活を繰り返すなかで、疲れにくい心身は培われる。

疲れのメカニズム

1、休みたいと思いつつ、無理して頑張る。

「急ぎの仕事が山積み」「家の片づけを早くしなくちゃ」など、休みたいと思いながらも無理して頑張ると、免疫力が低下して、ウイルスに対する抵抗力が弱まってしまう。

2、体になんらかの症状が現れる。

先ほどの部位別ストレスチェックにあるようなサインが現れたり、風邪をひきやすくなったりと、心身に不調が表れる。すると体は防御体制を発令し、体を守るための免疫物質を作り出す。

3、免疫物質が脳に悪影響を及ぼす。

免疫物質はウイルスから体を守るためには有効だけれど、脳にとっては悪影響。疲れがなかなか取れない、気持ちが不安定になる、といった症状を引き起こす。これが脳の疲れ。

4、慢性疲労の状態となり、回復が追いつかない。

免疫物質が脳内で作られると、抗ストレス作用を持つセロトニンなどがうまく働かなくなり、さまざまな慢性疲労の症状が現れる。脳が疲れているため、休んでも回復が追いつかない。

疲れない体をつくる3つのポイント

セロトニンを増やす。

セロトニンは、幸せホルモンともいわれるほど、心身にさまざまなメリットをもたらす神経伝達物質。セロトニンが増えると、活性酸素を除去するメラトニンも増える。活性酸素は筋肉や細胞の働きを低下させて疲労感を生み出すといわれているので、これがなくなれば疲れは回復。また、メラトニンには自然な眠気を誘う作用があるので、夜ぐっすり眠れるようになり、質の良い睡眠につながる。

自律神経を整える。

自律神経とは、人の呼吸や心拍、発汗、体温を無意識のうちにコントロールしている神経のこと。脳にその中枢があり、脳が疲れると体の機能が低下するし、その逆も然り。自律神経には交感神経と副交感神経があって、日中は活動的な交感神経優位、夜はリラックスモードの副交感神経優位というリズムに整えるのが、心身を疲れさせない秘訣。いくつかポイントはあるが、朝の起床が最大のキモ。

体内時計を修正する。

人間の体には、時計遺伝子と呼ばれる体内時計が備わっていて、1日24.5時間に設定されている。そのため地球の自転周期である24時間に対して、毎日30分のズレが生じているということに。これを修正しないと睡眠障害などが引き起こされて、疲れは増すばかり。ただ、そのズレは、脳が朝日を感知することでリセット可能。よって、体内時計を修正する習慣は、自ずと朝の時間帯に集中する。

工藤孝文さん 内科医。福岡県みやま市の「工藤内科」で診療を行う。糖尿病、ダイエット治療、漢方治療を専門とし、女性を対象に疲労回復の診察も行う。著書は『疲れない大百科 ‐女性専門の疲労外来ドクターが教える‐』(ワニブックス)など50冊以上。メディア出演も多数。

※『anan』2021年5月5日-12日合併号より。イラスト・山口 歩 取材、文・保手濱奈美

(by anan編集部)

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