意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「死の援助法案」です。
ヨーロッパで進むヨーロッパで進む合法化。日本でも合法化。日本でも丁寧な議論が必要。
7月にフランスの国民議会(下院)で、「死の援助」法案が可決されました。重篤かつ不治の病の進行期または末期にあって、治療が効かないような絶え間ない身体的、精神的苦痛を受けているフランスの成人に対して、死の援助を受けることを認めるというもの。希望者は医師に自分の意思を表明する必要があり、それを受けて医師が15日以内に診察を行って決定を下します。2日間熟考してもらい、致死薬は希望者自らが服用しなくてはいけません。それが不可能な場合には、医師か看護師が薬を投与します。
この法案はこれまで上院では3度否決されていましたが、今回が最終採決のため成立する見通しです。法案成立の前に、一部内容について憲法評議会に審査を求めることになっています。
こうした「支援を受けた死」を合法化しているのはオランダ、ベルギー、スペイン。オーストリアとスイスでは患者が処方薬により自ら命を絶つ行為は認められていますが、医療による支援は認められていません。イタリアとドイツでは憲法裁判所により罪に問われることはないですが、合法化されていません。イギリスは議会で現在、審議が進んでいる最中です。
フランスでは「安楽死」「自殺ほう助」が一部認められた形になりますが、「安楽死」とは別に「尊厳死」というものがあります。安楽死は末期患者の苦痛を取り除くために意図的に死期を早める行為。尊厳死は過剰な延命措置を行わず、自然な死を待つというものです。日本ではどちらも法律では認められていません。終末期の医療において、本人や家族と医師の合意がなされれば、延命治療の中止はできますが、法整備がなされていないので、医師が訴えられるリスクがあります。
人生100年時代、今後さらに寿命が延びるでしょうし、安楽死や尊厳死についての議論を今から深めるべきかもしれません。しかし、最も避けなければいけないのは、高齢化により社会的に医療費が嵩み、日本経済が破綻しかねないからという理由で、死の選択を認めようとする動きが進むことです。フランスのように、時間をかけ、厳格かつ丁寧なルールづくりが必須です。
五月女ケイ子解読員から一言

どこかしら調子が悪かったりすると、こういう状態で生きるのって幸せなのかしらと考えます。長生きも大事ですが、どう死ぬか自分で考える時代なのかもしれません。でも「医療費が大変なので、そろそろ…」と言われることのない社会にしたいですね。
解説員
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堀 潤
ほり・じゅん ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。『堀潤 Live Junction』(TOKYO MX月~金曜20:00~21:00)が放送中。著書『災害とデマ』(集英社)が発売中。
解読員
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五月女ケイ子
そおとめ・けいこ イラストレーター。楽しいグッズが買える、五月女百貨店が好評。10/5~18、外苑前の「ギャラリーハウスMAYA」で個展を開催。近著に『桃太郎、エステへ行く』。
anan 2512号(2026年9月16日発売)より






























