産地別の味や香りの違いは? アレンジ方法は? プロが教える“紅茶”の美味しい淹れ方

フード
2024.05.18
ティーバッグでも美味しい紅茶を楽しめるけれど、リーフティーで淹れた一杯は格別なもの。茶葉と向き合う優雅なひとときを楽しんで。美味しい紅茶の淹れ方を英国紅茶研究家の斉藤由美さんが教えてくれました。

プロに教わる淹れ方で、カフェ級の“ティー”を楽しむ!

紅茶

紅茶を淹れるための心得

・保存状態の良い茶葉を用意する。
・紅茶を作るポットは温めておく。
・「表面にコイン大の泡が出て波打っている熱湯」で淹れる。

「紅茶の茶葉は温度変化に弱く、レンジまわりや日向に置くのはNG。戸棚などに保存しましょう。また、茶葉の成分を引き出すには高温で淹れることが鍵に。沸き始めのお湯では不十分なので、ボコボコ泡が出るまで待って」(斉藤さん)

紅茶を淹れる手順

ここではストレートで飲むことが多く、比較的ライトな味わいを好む日本人に向けた分量をご紹介。「こちらは1杯分なので、たっぷり飲みたい時は杯数分を掛けた分量に設定を。飲んでみて味が薄く感じたら、蒸らし時間を少し長くしてみてください。また、ポットに移し替える際に重要なポイントが。“最後の1滴が紅茶の味わいをまとめる”といわれているので、ガラスポットの底が上に向くくらいしっかりと傾けて注ぐのがコツ」

【準備するもの】
茶葉、耐熱ガラスのポット、ポット、ティーカップ、茶こし、タイマー

抽出用ポットは茶葉が見える耐熱ガラス製がおすすめ。移し替えるポットはどの素材でもOKだが、保温用のティーコジーがあると◎。

1、茶葉は1杯分3g。
2、お湯は1杯分に対し約200cc。
3、温めておいたガラスポットに茶葉を入れる。
4、茶葉に当てるようにお湯を全量注ぐ。
5、フタをして3分間蒸らす。
6、軽くかき混ぜて濃さを均一にする。
7、茶こしを使い、別のポットに移し替える。
8、ティーカップに注ぎ、完成。

自分好みを見つける“茶”知識

◎アールグレイはただの紅茶ではない?
クセのない茶葉にフルーツや花の香りをつけたものを“フレーバードティー”と言い、アールグレイはその一種。「英国の元首相であるグレイ伯爵が名前の由来。柑橘系フルーツ・ベルガモットの香りをつけており、爽やかさとさっぱりとした味わいが特徴です」

◎産地別の味や香りの違いをチェック。
【インド】国土の広さから味も多彩に。
「標高で茶葉の個性が異なり、高地で生産されるダージリンは香り立ちが良く、低地で採れるアッサムは、どっしりしていてミルクティー向き」

【スリランカ】爽やかな渋みがクセになる。
「クセのない紅茶が多いけれど、世界3大銘茶のウバはやや渋みが強くスッとした香りが印象的。8月頃に採れるものはその特徴がより明確に」

【中国】渋みが少なくほのかに甘い。
「中国の代表的な紅茶であるキームンも世界3大銘茶のひとつ。香りはエキゾティックですが、渋みが穏やかで口に含むと上質な甘みが」

【日本】飲み口のまろやかさが特徴。
「和紅茶とは国内で栽培し製茶されている紅茶で、日本人の好みが反映された味わいに。渋みが控えめで飲みやすく、近年人気上昇中です」

アレンジしてみよう!

紅茶

【ブラックペッパーロイヤルミルクティー】
ピリッとした辛みやコクが楽しめるアレンジ。小鍋に牛乳と水を100ccずつ入れて火にかけ、フツフツしてきたら熱湯にひたした茶葉5gと粗挽きのブラックペッパーを入れて蒸らす。体が温まるので冷え症さんにも◎。

【梅しそ紅茶】
梅干しを入れた和風のアレンジは、食事時にもピッタリ。梅干し1個と大葉2分の1枚を入れておいたポットにティーバッグ1袋を入れ、200ccのお湯を注いで。梅干しのタイプによって味わいの変化が楽しめる点も魅力的。

【ダブルロシアンティー】
ロシアンティーといえば、日本式はジャムを入れるのがスタンダードですが、英国式ではレモンを加えるのだとか。イチゴジャムを加えたホットティーにレモンのスライスをオン。手軽でリッチな味わいを楽しんで。

紅茶Q&A

Q. 斉藤さんおすすめの紅茶に合うスイーツを教えて!

A. 「スコーンなどの英国スイーツはもちろん、実は和菓子とも好相性。あんこ類にはダージリンのようにクセのない紅茶を合わせるのがおすすめです。また、柑橘系の香りのアールグレイとチョコレートも気軽に楽しめる組み合わせです」

Q. アイスティーを淹れたら、注いだ瞬間に濁ってしまいました。

A. 「2倍の濃さのホットティーを作り、氷のたっぷり入ったグラスに注ぐのが基本的なアイスティーの作り方。ただし、蒸らす時間が長いとカテキンやカフェインが抽出されすぎてしまい、濁りや雑味の原因に。リーフティーは1分半、ティーバッグの場合は1分でOK」

Q. 同じ茶葉で何度も淹れられますか?
A. 「紅茶は一煎目に美味しさのほとんどが抽出されてしまうので、烏龍茶や緑茶のように二度、三度とお湯を注いで味わうことはしないのが基本。ティールームなどで提供される差し湯は、ポットに茶葉が入ったままで濃くなった場合に味を調整するものだと考えて」

斉藤由美さん 英国紅茶研究家。日本紅茶協会認定ティーインストラクター。紅茶スクール「イギリス時間紅茶時間」を主宰。セミナーや講演を行う他、紅茶にまつわる書籍も数多く手がける。近著に『しあわせ紅茶時間』(三笠書房)などがある。

※『anan』2024年5月22日号より。イラスト・日菜乃 取材、文・真島絵麻里 宮尾仁美

(by anan編集部)

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