新生渋谷PARCOの地下1階に現れた赤暖簾。『居酒屋 真さか』は一見、昔風情の典型的居酒屋だ。お昼の人気メニューは、青磁の皿にどっさり盛られたこれまた典型的な餃子と唐揚げのミックス定食。出で立ちはきわめてクラシカルだというのに、皿のフチに赤い文字でさりげなく書かれたのは「VEGAN」の文字。やられた。餃子も、唐揚げも、ヴィーガンだなんて…!
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後ろから突然殴られたような“まさか”にクラクラしながら餃子をいただく。うまい。たっぷり入った白菜・キャベツ・生姜に大豆ミートが紛れ、餃子ならではのあんのトロッとした感じが見事に口の中に広がる。大豆ミートで作る唐揚げもお肉ならではのムギュッとした食感を絶妙に再現し、タピオカ粉を使った衣でザクザク感度を最高値まで引き上げる。選べるタレは5種類。カシューナッツがちりばめられた四川麻辣味は猛烈に米を呼び、隣のキャベツ(と、その下のマカロニサラダ)を侵食してなおのことうまくなる。ラジカセからは深夜ラジオが流れ、テーブルには藁半紙の記入式メニュー表がぶら下がり、水を運ぶ割烹着姿の店員さんは『渡る世間は鬼ばかり』の『幸楽』から飛び出したかのようなのに……ヴィーガン(しつこい)! 昔ながらの街場の食文化への緻密な敬意と愛情に新たな価値観が混ざり合い、「なるほど」より「まさか」が生まれる食体験、面白すぎない?
餃子と唐揚げのミックス定食¥1,200。湯葉入りのカレー風味のスープに搾菜とライス。夜は居酒屋メニューに。お酒が進む小皿料理がずらりと並び、〆の白パスタ、赤パスタ、おにぎりも魅惑的!
居酒屋 真さか 渋谷パルコB1 TEL:03・5422・3020 11:00~22:00(21:30LO)※定食は16:00LO 不定休
ひらの・さきこ 1991年生まれ。フードライター。著書にエッセイ集『生まれた時からアルデンテ』(平凡社)。
※『anan』2019年1月1日-8日合併号より。写真・湯浅 亨 取材、文・平野紗季子
(by anan編集部)