大腸の専門家・後藤利夫先生によると、乳酸菌のことをよく知り効果的に摂取することで、病気や不調を遠ざけることができるそう。
「腸は、私たちの体を守るさまざまな免疫機能が集中する重要な器官であり、それを守るのが乳酸菌です。しかし、乳酸菌は年を重ねるにつれ減少していく運命にあり、近年では欧米化した食生活や極端なダイエットなどによって、若い人でも腸が老化傾向にあります」
腸内の乳酸菌が減ると免疫力が下がって病気にかかりやすくなったり、便秘やアレルギーを引き起こすなどさまざまな悪影響が表れる。それを防ぐには、腸内の乳酸菌を育てて、増やし、補充していくことが大切だという。そのためには、普段から乳酸菌を摂る習慣をつけることが大事。
「乳酸菌を含む食品は多数ありますが、手軽に摂るならヨーグルトが最適。腸への負担が少なく、ビタミンAやB群、カルシウム、タンパク質などさまざまな栄養素も一緒に摂取できるからです」
手に入りやすく、栄養バランスもいいのがヨーグルトの魅力。乳酸菌パワーを活かすように摂取すれば、ダイエットや美肌作り、体質改善も望むことができる。腸を元気にすることは、体全体を強くすることにつながり、メンタルの状態も安定する。食べるだけで健康に近づく万能フードなのだ。
ここからは、そんなヨーグルトにまつわる疑問についてお答えしていきます!
そもそもヨーグルトとは?
牛乳を乳酸菌もしくは酵母で発酵させたもの。
「1mlあたりの乳酸菌数または酵母数が1000万個以上」の成分基準を満たした発酵食品。牛乳などを発酵させることでタンパク質や脂質、糖質などがある程度分解されているため腸への負担も少ない。皮膚や粘膜を丈夫にするビタミンAやB群、歯や骨を作るカルシウムも豊富。
一日に食べる適量はある?
乳酸菌の摂取量に制限はないが、1日200g程度がおすすめ。
各ヨーグルトメーカーの実験結果によると、1日200gを2週間摂り続けると一定の効果が出るといわれている。乳酸菌はいくら摂取しても体に悪影響を及ぼすことはないが、脂肪分や糖分の過剰摂取を避けるため、肥満の人は低カロリー、低脂肪タイプを選ぶなどの工夫を。
いつ食べるのがいいの?
いつでもいいが、習慣化するなら毎日同じ時間に食べること。
朝、昼、夜いつ食べても効果は同じだが、習慣にするためには「朝食後」など忘れずに食べられるタイミングを決めておくといい。食前よりも胃酸が弱まっている食後のほうが、乳酸菌が生きて腸まで届きやすくなる。1日分の適量をまとめて摂っても、小分けにしても変わりはない。
温めたり、凍らせてもいいの?
乳酸菌は熱には弱いが寒さにはめっぽう強い!
乳酸菌は60°C以上で加熱すると死んでしまう。ただし、死んだ乳酸菌(死菌)は腸内の免疫システムを強化したり、血中コレステロール値を下げたりするなどの働きもあるので、ある程度の健康効果は期待できる。逆に寒い環境は得意で、活動を休止した状態で生きながらえる。
ヨーグルトに書いてある「菌の個数」「菌」「株」とは?
乳酸菌と一口に言っても、さまざまな種類があります。
乳酸菌とは乳酸を作り出す菌の総称で、そこからさらに「属」「種」「株」と細かく分類される。市販のヨーグルトは、各社さまざまな菌株を使って、効果や特徴に違いを出している。ちなみに、含まれる乳酸菌の数が多いほどいいというわけではなく、毎日摂り続けることが大切。
なぜ人によって合う合わないがあるの?
人それぞれ、腸内の細菌環境が違うから。
人の腸内には100兆~1000兆個、約100種類もの腸内細菌が棲んでいて、それぞれ独自の腸の生態系を作っている。そのため、菌にとって棲み心地がいいかどうかは人によりけり。菌が合うかどうかは、同じものを食べ続けないと効果をはかることができない。
一緒に食べるといい食材は?
食物繊維やビタミンC、オリゴ糖がおすすめ。
ヨーグルトはビタミンCや食物繊維を含まないので、一緒に摂るといい。ビタミンCならドライフルーツや果物、食物繊維ならイモ類や豆類などが併せて食べやすい。また、豆類や玉ネギなどに含まれるオリゴ糖は乳酸菌の餌になってくれるので、一緒に摂るとベスト。
後藤利夫先生 新宿大腸クリニック院長。無麻酔・無痛の大腸内視鏡検査「水浸法」を開発。大腸がん予防の観点から腸内細菌や乳酸菌の知識も豊富。著書に『乳酸菌がすべてを解決する』(アスコム)など。
※『anan』2018年7月25日号より。写真・衛藤キヨコ 取材、文・浦本真梨子
(by anan編集部)
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