血のパスタと聞いてちょっと引いたあなた。どうか驚かずに食べてみて。もともと動物は人間にとって貴重な栄養源で、血液もそのひとつ。一般には“食材”としてカウントされにくいが、血液を食材とする食文化を持つ国や地域だってちゃんとある。日本では沖縄。チーイリチャーという「血の炒め煮」は家庭でも作られる肉と野菜の炒め物。韓国では「スンデ」といって、豚の腸にもち米や野菜、春雨、そして豚の血を入れて蒸して食べる。フランスの「ブーダン・ノワール」、ドイツにも「ブルートヴルスト」(文字通り血のソーセージ)がある。
そしてイタリアでは、パスタになって登場する。北の郷土料理がお得意な神谷町『ダ オルモ』の北村征博シェフの最新作は、この春、北イタリアに行って出合った「豚の血のタリアテッレ グラウケーゼ(チーズのこと)添え」。現地でも出しているところは少なく、“絶滅危惧種”のパスタだ。だが、北村シェフにとっては北イタリアらしい力強いパスタの“発見”。帰国してさっそく再現に取り組んだ。
ゆであがったパスタの上に、溶かしバターとチーズ、そして細かくカットしたシブレットをかけて提供する(パスタには沖縄の島豚の血を使用)。肝心のパスタはどんな味か? 酸味や生臭さはなく、コクが感じられる。食べ終えると、イタリア的血中濃度が高まる気がするのは私だけ?
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