将棋と芝居は似ている? 神木隆之介が佐々木蔵之介との対談で明かす!

エンタメ
2017.03.22
様々な分野で活躍する“達人”たちを訪ね、神木隆之介さんが好奇心の赴くままに対談するあの人気コーナーが、スペシャルで復活。今回のマスターは佐々木蔵之介さんです。
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神木さん初の前後編主演となる映画『3月のライオン』の公開を記念して、久々に「Master’s Cafe」が復活。今回お招きしたのは、映画で共演した先輩俳優の佐々木蔵之介さん。おふたりをはじめとした豪華キャスト陣が出演しておこなわれた、前編の完成披露試写。その直前に、会場の一角をお借りしての初対談となりました。

神木:蔵之介さんとは、同じ作品に出演したことはありましたが、現場でご一緒することがなかったんです。なので今回、盤上で向き合うことになって、最初はひたすら緊張してました。

佐々木:こっちこそ、零は島田の研究会に入ってくるけど、俺が神木君に教えられることなんて何もないんで、どうしようかと思ってたよ。

神木:そんな…。テレビでかっこいい方だなと思っていましたから、普段も素敵な方なんだろうなと。

佐々木:(目の前のドリンク類を指して)何でも飲んでええで(笑)。

神木:ありがとうございます(笑)。

佐々木:でも僕は、神木君を現場で見てて、緊張しているようには全然感じなかったけどね。共演者全員に対して門戸を開いていて、さすが主役としての有り様だな、と。

神木:本当ですか!? うれしいです。

佐々木:だって大変やったと思うで。撮影、何か月やったっけ? 

神木:3か月…4か月くらいだったと思います。クランクイン前に将棋の練習もありましたし…。

佐々木:それも入れたら半年くらいはずっと将棋漬けやろ? ほんますごいと思うわ。

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対局シーンは僕らふたりの間で感じ合えればいいと思った。

神木:映画で蔵之介さんと対局させていただいたのですが、僕…桐山は、途中まで島田さんの目を見ないんです。それがある瞬間に顔を上げて、そこからドラマが動きだすんです。あの目が合った瞬間…僕がこんなふうに言っていいのかわからないですが…謙虚ななかに粘り強さがある、島田さんの棋士としてのオーラを感じていました。

佐々木:じつはあの対局シーン、自分のなかでもすっごい落ち着いて演じられた場面なんだよね。あれ、将棋会館で撮ったから、自分たちのホームグラウンドという感覚だったのもあるし、唯一、島田の胃が痛まない対局でもあったし(笑)。

神木:僕は、島田さんを通じて蔵之介さんに自分自身を見透かされているような感覚がありました。

佐々木:島田としては、対局だけにハングリーではあるんだけれど、どこかで零のことを大きな心で見守っている気持ちになってた。

神木:対局中のシーンって、映画ではモノローグが入りますが、撮影の最中はセリフを交わさないですよね。でもだからこそ、蔵之介さんのわずかな動きも頑張って見逃さないようにしなければと思いながら演じていました。

佐々木:お互いに次の指し手は覚えているから、僕ら自身は、いま島田と零がどういう状況にあるかはわかって芝居しているわけで。演じている時は、映像を通して観ている人に心情を伝えようなんてことは一切考えず、僕らふたりの間だけで感じ合えていればいいんだろうなって思っていたんだよね。監督が敢えて「ここでこんな表情してくれ」みたいなことを言わずに長回ししていたのも、僕らの間に見えてくるものを狙っていたんだと思う。

神木:練習をしていた時に思ったのですが、将棋も一手一手が言葉を介さないコミュニケーションなんですよね。「ここは攻めますか? それとも守りますか?」という相手の投げかけに、指された相手も駆け引きしながら「僕はこういう戦法でいこうと思っています」と、次の手を打つことで応えていく。そういうところって、僕らのしていることに近い気がします。表情とか動きとか、セリフの言い回しだったり、そういうひとつひとつの芝居から探って、相手の思っていることや出方を読み取っていく感じが。

佐々木:台本には書かれていなくても一手一手に気持ちのやり取りがあるのは立ち回りとも同じだね。撮影前に役者同士で「ここでこんな芝居するから、こう返して」とは話さないけれど、本番で相手との間合いで積み上げていくという意味で。

神木:そうですね。

佐々木:映画の手法的なことで言えば、あの場面で対局中にほとんど言葉を交わさないからこそ、お客さんは集中して観てくれるだろうと思うんだよ。それがあるから、後に発する「やれやれ…やっとこっちを見たな」っていうセリフが効いてくるんだろうなと。だからこそ、あのシーンでは言葉を発する瞬間を僕は非常に大事に演じたつもりです。

神木:僕もとても楽しく演じさせていただいた場面です。

『3月のライオン』 将棋を題材にした羽海野チカさんによる漫画。幼くして家族を失い、棋士の幸田に内弟子として引き取られ、中学生で史上5人目のプロ棋士となった桐山零が主人公。孤独を抱え、将棋だけを拠り所に生きてきた少年が、さまざまな人との出会いを通して成長していく。この春、大友啓史監督により映画化。主演の桐山零を神木さんが、先輩棋士の島田を佐々木さんが演じ、現在、前編が公開中。後編は4月22日ロードショー。

かみき・りゅうのすけ 1993年、埼玉県生まれ。今年1月にリリースした写真集『Sincérité』が好評発売中。8月には出演映画『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第
一章』 の公開も控えている。

佐々木蔵之介さん 1968年、京都府生まれ。神戸大学在学中の’90年に劇団・惑星ピスタチオの旗揚げに参加。’98年に退団した後に上京し、NODA・MAPやT.P.Tなど舞台を中心に活躍するなか、’00年に出演したNHK連続テレビ小説『オードリー』で一躍注目を集める。主演を務めた『ハンチョウ』シリーズなどのドラマのほか、スーパー歌舞伎への出演や、自身が企画し、出演する演劇ユニット・Team申を主宰するなど多岐に活動。近作に主演映画『破門 ふたりのヤクビョーガミ』。

※『anan』2017年3月29日号より。写真・森滝 進(まきうらオフィス) スタイリスト・猪塚慶太(神木さん) 勝見宜人(Koa Hole/佐々木さん) ヘア&メイク・INOMATA(神木さん) 西岡達也(Leinwand/佐々木さん) インタビュー、文・望月リサ 

(by anan編集部)


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