開館50周年を迎えるSOMPO美術館にて、一年を通じた企画展シリーズ「モダンアートの街・新宿」が開催される。
日本のモダンアートが花開いた新宿の50年間を再発見する
新宿で開館し、今年50周年を迎えるSOMPO美術館で一年を通じた企画展シリーズが始まる。テーマは“再発見”。「第一弾として、新宿を再発見する場を作りたい」と学芸員の古舘遼さんは話す。
「当館で新宿をテーマに展覧会を開催するのは、実は初めての試み。1910年から1960年ごろまでの約50年間に焦点を当て、新宿を舞台に展開した絵画に始まり、最終的には絵画というジャンルを越境していくモダンアートの流れを紹介します」
この時期、日本でモダンアートの潮流が起きたのは、芸術家たちの海外留学とあわせ、雑誌を通じて海外の動向をほぼリアルタイムで追うことができたからだという。それを通じて、アカデミックな様式を離れ、やがては絵画の額縁を飛び出していくような表現が生まれた。ではなぜ、その中心地が新宿だったのか。
「新宿に若い作家が集まったのは、土地が安かったことと『中村屋サロン』と呼ばれた中村屋のように、アーティストに活動の場を提供するパトロン的存在があったからです」
相馬愛蔵・黒光(こっこう)夫妻は1909年(明治42年)に中村屋の本店を現在と同じ新宿3丁目に構える。ここに多くの新進芸術家が集まり、一時はこの建物の裏に住んでいたという中村彝(つね)はサロンの中心的人物。のちに新宿区下落合にアトリエ付き住居を構え、多くの若い作家が彼に師事した。本展でとりあげる佐伯祐三、松本竣介、阿部展也(のぶや)も新宿区下落合にアトリエや自宅を構え、さながら芸術村の様相を呈したようだ。阿部と関わりの深い「実験工房」は絵画、音楽、舞台、詩などのジャンルを横断して活動した。
本展のポスターにも用いられている松本竣介の自画像《立てる像》は、美術の教科書などで目にしたことのある人も多いかもしれない。
「自画像の背景には高田馬場にあったゴミ捨て場が描かれています。自画像としても、風景表現としても、竣介の魅力が凝縮されていると同時に、これぞ新宿だという思いで選びました」
背景の人けのない景色は、ネオンの眩しい歓楽街や高層ビル群という現在のイメージとはかけ離れているが、1910年からの50年という期間は新宿が急速な変貌を遂げた時期と重なる。そうした街の姿を描いた作品が数多く紹介されるのも見どころだ。
「特に熱量の高かった作家を集めました。それを感じてもらえれば」と古舘さん。日本のモダンアートは新宿なくしては語れない。会場に足を運べば、ゆかりの作家約40名が交錯する50年間のドラマが迫ってくるに違いない。
information
開館50周年記念「モダンアートの街・新宿」
SOMPO美術館 東京都新宿区西新宿1-26-1 開催中~2月15日(日)10時~18時(金曜は~20時。入館は閉館の30分前まで) 月曜休 一般1500円ほか TEL. 050-5541-8600(ハローダイヤル)
anan 2479号(2026年1月14日発売)より

























