意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「人身取引」です。
根絶のためには買春行為に重い罰則が必須
昨年11月、タイ国籍の12歳の少女が、都内のマッサージ店で性的なサービスをさせられていたことが発覚。人身取引の被害者として保護されました。
人身取引には、強制労働や性的搾取、臓器売買などさまざまなケースがあります。ILO(国際労働機関)らによると、2024年時点で世界の5~17歳の約8%にあたる1億3800万人の子供が、児童労働に従事しています。そのうち4割は健康や安全を脅かす危険な環境で働かされています。ILOは2030年までに児童労働の根絶を目指していますが、それには現在の11倍のスピードで削減しないと間に合わないという絶望的な状況です。
昨年11月には世界中の宗教者が集まる「世界宗教者平和会議」の日本委員会で、人身売買禁止タスクフォースセミナーが開かれました。清水寺の執事を務める大西英玄さんは、人身売買をより厳しく取り締まるための法制度改善を求める声明を内閣府に提出したと話しておられました。
東南アジア専門のフリージャーナリスト、泰(はた)梨沙子さんは、児童買春問題を取材しており、この問題の背後には貧困があると言います。異国の飲食店で働けば短期間で稼げると、騙されて連れてこられた少女たちが観光ビザで入国し、気づけばホテルやマンションの一室で違法に客をとらされる。実情を外部に漏らせば親に被害が及ぶと脅されるため、なかなか声を上げられないという実態を伝えていました。
欧米では国外での児童買春に対しても処罰制度が整っており、アメリカではラオスで児童を性的に搾取した教師に懲役12年が言い渡されるなど、買う側に対して厳しい罰を設けています。
ただ、日本は売る側の処罰は重いのに対して、基本的に買う側は罰されません。高市首相は、売春防止法の処罰対象を、買春行為にまで広げる検討を行うよう指示しました。
人身取引は日本でも起きており日本人も被害に遭っています。令和5年には人身取引の被害者として61人が保護されました。援助交際やパパ活も人身取引です。政府広報は、被害を受けている人、目撃した人は最寄りの警察署に連絡をするよう声がけをしています。
五月女ケイ子解読員から一言

あと5年で本当に根絶できるのでしょうか。日本では売る方は罪になっても買う方は罪にならなかったのはおかしいですね。どの子もみんなこの世に生まれたことは奇跡なのに、差が生まれてしまうのは哀しい。できることはないのか考えてしまいます。
解説員
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堀 潤
ほり・じゅん ジャーナリスト。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。『堀潤 Live Junction』(TOKYO MX月~金曜20:00~21:00)が放送中。新刊『災害とデマ』(集英社)が発売中。
解読員
Profile
五月女ケイ子
そおとめ・けいこ イラストレーター。楽しいグッズが買える、五月女百貨店が好評。細川徹との共著、ゆるくておバカな昔ばなし『桃太郎、エステへ行く』(東京ニュース通信社)が発売中。
anan 2479号(2026年1月14日発売)より





















