『イイダ傘店』は、傘作家のイイダヨシヒサさんがデザインする、オリジナルテキスタイルを使った傘を手作りで仕立てる傘屋。店舗は持たず、毎年全国で受注会を行っている。


20年間に生み出された500本の傘。そこから新しい可能性を広めたい

本展は、イイダさんが発表してきた傘のなかから300本以上を使ったインスタレーションを展開。テキスタイルデザインの過程など傘作りの裏側を紹介した展覧会だ。

「自分がイメージしている傘が世の中にないから」と始めた傘作り。テキスタイルだけではなく、持ち手などのパーツ、染め方にもこだわり、傘の可能性を探りたい。そんな想いから始まった傘作りは、例えば魚の骨を刺繍した生地に猫の持ち手を使ったり、のり弁柄の生地に梅干しの留めボタンを誂えたり、パリの蚤の市で発見したガラクタを再利用したり、ロウケツ染めを施したり…と唯一無二の存在感を生み出してきた。

会場内では完成までの工程やユニークなパーツの数々、アトリエの様子を展示するほか、160種にものぼるアーカイブの中から厳選された傘を取り揃え、受注会も行う。傘の生地を使用したバッグやポーチなどの雑貨販売、今年からは布地の張り替え修理も開始。お気に入りの持ち手などパーツを長く使い続けてほしいという願いを込めた内容だ。

「傘って楽しいと思ってもらえれば本望。買いに来るだけでなく、お出かけの楽しみとして」とイイダさん。傘のワンダーランドへ出かけてみて。

日傘「カモミール」2024年

展覧会「翳す―かざす―」2020年

雨傘「森の花」2009年

Profile

イイダヨシヒサ

傘作家。20年にわたるデザインの軌跡を綴った書籍を会場で販売。

Information

イイダ傘店20周年記念展覧会「わたり」

スパイラルガーデン 東京都港区南青山5-6-23 スパイラル1F 9月4日(木)~15日(月)11時~19時 会期中無休 入場無料

取材、文・山田貴美子

anan 2461号(2025年9月3日発売)より

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この頃は、雑草を手で引き抜かなくても専用の薬剤を散布するだけで生えてこなくなるそうで、毎年大変な思いをして定期的に除草していた人には驚くべきことです。そんな感じで、今日の暦もこれまでのやり方をアップデートしてタスクを効率化することに関係します。半ば強引にやってきたことにも改善のメスを入れるときです。

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