勝地涼「みんなそれぞれに違う面白さで、稽古しながらも笑っちゃってます」
「俳優として25年目。半分は宮藤官九郎さん、もう半分は古田新太さんでできていると言っても過言じゃない。今回の出演は嬉しいけれど、あの面白さに自分がちゃんとついていけるのかっていう心配はあります」
なにせ共演は、片桐はいりさんを筆頭に、皆川猿時さん、伊勢志摩さんという宮藤さんの笑いを知り尽くした面々が揃う盤石の布陣。
「北(香那)さんも含めてみんなそれぞれに違う面白さで、稽古しながらも笑っちゃってます。そのなかでもすごいのが片桐さんの稽古の姿勢。宮藤さんにこうやってくださいって言われると、片桐さん、いったん止まるんです。そこで、役をどう繋げたらいいかを考えているんですよね。面白いセリフを面白く言おうとするんじゃなく、役の人物としてどう言うかを真剣な顔で考えている。でも、そのセリフが全部アホなことだからより面白いんですよね」
ならば勝地さんは、一体どう宮藤作品と向き合っているのだろう。
「ただ単に、台本を家で読んで、こういう言い方をしたら面白いかもなって考えるくらいです。ただ、コメディのときに心に決めているのは、最初に大きめにやるということ。引き算している場合じゃないっていうのかな。それは昔、中井貴一さんに教わったことなんです。当時子供で、現場で萎縮していた僕に貴一さんが、『自分は不器用だから面白い役をやっているときに、もうちょっと面白くしてくださいって言われると一気に体が緊張しちゃうんだよね。だから大袈裟にやってから引くようにしてるんだよね』って冗談めかして話してくれました。当時はすべてを理解できていなかったけれど、初めて劇団☆新感線の舞台に出たときに最初に振り切ってやったらみんなが笑ってくれて…。だから今も、小さい声でボソボソやってる場合じゃねーだろ、って言い聞かせてます」
インタビュー冒頭で本人も話していたが、宮藤作品と劇団☆新感線でチャラ男やおバカなキャラクターのイメージが定着した印象。きっと俳優を始めた頃に思い描いていた将来像から大きくそれたはずだけど…。
「映画『亡国のイージス』で日本アカデミー賞新人賞を受賞したとき、真田広之さんや佐藤浩市さんが一緒で、漠然と自分もそうなりたいと思っていました。でもその後、限界がくるんですよね。そんなときに劇団☆新感線に出て、宮藤さんや古田さんに会って『お前はこっち側だよ』って言われました。またまた~って言いながらも、そこで息がしやすくなっている自分に気がついたんです。これまで隠してきた自分のダメな部分を、先輩方が『それはダメじゃなくて面白い部分だよ』って教えてくれた。今は感謝しかないです」
PROFILE プロフィール
勝地涼
かつぢ・りょう 1986年8月20日生まれ、東京都出身。最近の出演作に、ドラマ『終りに見た街』、舞台『ハザカイキ』など。出演映画『聖☆おにいさん THE MOVIE~ホーリーメンVS悪魔軍団~』が12月20日公開。
INFORMATION インフォメーション
『主婦 米田時江の免疫力がアップするコント6本』
片桐はいりさん扮する米田時江を中心にした6本の新作コントが展開されるオムニバス。勝地さんらキャスト陣は、米田時江に関わるさまざまな人物を演じる。11月7日(木)~12月15日(日) 東京・ザ・スズナリ 作・演出/宮藤官九郎 出演/片桐はいり、勝地涼、皆川猿時、伊勢志摩、北香那、宮藤官九郎 全席指定 指定席7500円 ヤング券3800円 大阪公演(12月18日~22日/松下IMPホール)もあり。大人計画 TEL:03・3327・4312