王道も、ノワールも、その魅力果てなく…。アジア中を惹きつける俳優、シュー・グァンハンが初登場。
これまでananでは“注目のアジア俳優”として2度誌面で紹介させていただいたことがある、台湾の俳優シュー・グァンハンさん。今回、ついに撮り下ろしで初登場! 5月3日に清原果耶さんとのダブル主演映画『青春18×2 君へと続く道』が公開されるタイミング。監督と脚本を藤井道人さんが務める本作は、台湾の紀行エッセイ『青春18×2 日本慢車流浪記』から着想を得た物語だ。
「この映画のオファーを受けた時、原作のエッセイがインターネット掲示板に投稿された旅行記だと知って、すぐに見にいきました。主人公が一人で行った日本への旅が、どんな脚本になるのだろう。すごく興味が湧きましたし、それを演じるのは僕にとってとても特別なこと。完成した脚本を読んで感じたのは、“癒し”でした。次の瞬間には心が突き動かされるような衝動があって、自分の青春の記憶が思い起こされたんです。それが今の自分にどんな影響を与えたのかと思いを巡らせ、もう一度、自分の青春時代を最初から振り返るきっかけになりました。“面白い”と感じましたね」
“面白い”を日本語で言ってくれたシューさん。物語の舞台は台湾と日本で、劇中には日本語の台詞も登場する。シューさんが演じるのは、36歳と18歳のジミー。36歳の彼は人生で大きな挫折を味わい、台北から故郷の台南に戻る。そんな彼が自室で手にしたのは、一枚の懐かしいハガキ。それは18歳の時に出会った初恋の相手・アミ(清原さん)から届いたもので…。
「36歳のジミーはアミと過ごした日々に思いを馳せ、日本を旅します。その心の中がどんな状態なのかを想像するのが、少し難しいと感じました。とはいえ、僕自身の年齢が36歳に近いので、自分の中の似たような経験を活かしました。一方、18歳のジミーには、何か深く隠された部分があるように感じて…。そんな若者の心をどう表現したらいいのか、少し迷ったところはあります。ただ、脚本を読んで思ったのは、ジミーは予測不可能な部分も持っているということ。なので、演じる時は、僕も未知数な部分を持つ雰囲気を漂わせるように工夫しました」
シューさん自身が18歳の頃は、どんな青年だったのだろう。
「小さい頃からずっとスポーツ漬けで、18歳の頃もそればかり。とくにバスケットボールと卓球が好きでした。当時は若かったので、何でもチャレンジしたいと思っていて、将来スポーツ選手になったらどうなるだろうと考えたこともあるんですよ」
ジミーもバスケ好き。共感する部分があったのでは?
「脚本を読んだ時に、ジミーがバスケ好きで『SLAM DUNK』も好きだと知って、僕の青春とそっくりだと思いました。ジミーの成長や心の動きが、僕と本当に似ていたんです。だから、この役に惹かれました」
18歳のジミーが恋をしたのは、少し年上の日本人女性・アミ。
「アミは優しくて大人で、自分の夢を実現させる勇気を持っている人。ジミーがアミに惹かれる気持ちがわかります。アミを演じた清原さんも、当時21歳とは思えないほど成熟した魂の持ち主。お互いに中国語と日本語を教え合ったりして過ごしました」
劇中ではジミーが日本を旅する様子が描かれるが、シューさんの心にも思い出深く残っている旅の記憶はあるのだろうか。
「僕は旅行がとても好きなんです。でも、距離は関係なく、外国に行かなければいけないというものでもないと思っています。台湾でも時々、山や海に行って、自分の心を落ち着かせたりしているんですよ。環境が変われば、これまで体験したことがないものとも出合えます。そんな旅の中で出会った人や出来事は、何かしら自分に影響を与えると思うんです。それが自分自身の成長につながるのではないでしょうか」
Hsu KuangHan 1990年10月31日生まれ、台湾出身。俳優として活躍中。2019年、ドラマ『時をかける愛』でブレイクし、中華圏以外に、韓国などアジアからの注目も集める。同年には中華圏を代表する映画賞「金馬奨」で5部門受賞の『ひとつの太陽』にも出演。
ジャケット¥68,200 シャツ¥31,900 パンツ¥42,900(以上ニードルズ/ネペンテス TEL:03・3400・7227) その他はスタイリスト私物
『青春18×2 君へと続く道』 人生につまずいた36歳のジミー(シュー・グァンハン)は、故郷に戻り、18歳のひと夏の出来事を思い出す。日本人女性・アミ(清原果耶)と過ごした日々を…。ジミーが旅する東京、鎌倉、そして福島など日本各地の景色や、日本を舞台に道枝駿佑、黒木華、松重豊、黒木瞳といった豪華キャストが登場するのも見どころ。監督・脚本/藤井道人 5月3日より全国ロードショー。©2024「青春 18×2」Film Partners 配給:ハピネットファントム・スタジオ
※『anan』2024年5月8日‐15日合併号より。写真・森山将人(TRIVAL) スタイリスト・藤長祥平 ヘア・Edmund Lin(Zoomhairstyling) メイク・Kao Hsiu Wen(prettycool) 取材、文・保手濱奈美 協力・沢井メグ 撮影協力・AWABEES BACKGROUNDS FACTORY
(by anan編集部)