外でのロケから始まったこの日の取材。歩きながらの撮影の合間、カメラマンに話しかけ、しばし楽しそうにカメラ談議に花を咲かせていた坂東龍汰さん。物おじせず人懐っこいキャラクターに、取材はほのぼのムードでスタート。
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――先ほどカメラマンと写真の話題で盛り上がっていましたが、カメラ、お好きなんですか?

坂東龍汰さん(以下、坂東):そうなんです。自分でもよく撮ります。今日のカメラマンさんは、この間僕が撮影を担当した雑誌の同じ企画で撮っていらしたので、その話をしてました。

――学生時代には映像を撮ったりもされていたそうで、そういうクリエイティブなことに興味が?

坂東:写真には昔から興味があって。一眼レフを手に入れて人を撮ったりしているうちに映像に興味が湧いて、学生時代には映画を撮ったりもしていました。高校3年生のときの卒業制作では、クレイアニメを撮っていましたし。

――ご家族もそういうクリエイティブなことがお好きなんですか?

坂東:家族みんな好きですけど、父は昔、映画監督を目指してアメリカに渡ったり、アニメーションが好きで作っていたこともあるそうで、影響は絶対にあると思います。

――学生時代にやった演劇がきっかけで俳優を目指したとか。

坂東:もともとは人前に立ったりすることがすごく嫌だったんです。小4から、演劇塾っていう地元の小さい劇団みたいなところに入っていたんですが、ずっと“やらされている”感覚でした。それが中3くらいになってから変わってきて、ちょっと大きい役をやらせてもらったときに演劇の楽しさを知って。高校生のときに立った舞台で、感情が自分のコントロール外にあるみたいな瞬間があって、それがすごく気持ちよかったんです。死に物狂いでセリフを覚えたり、そのときの自分の限界までやって、アドレナリンが最大限に出たんだと思います。これまでスノーボードや歌、社交ダンスといろいろやってきて、それぞれに感動したり興奮したりする瞬間がありましたけど、その中で一番がお芝居だった。これで食べていけたら幸せだなと思ったんです。

――俳優になられてからは映像作品が中心でしたが、いま控える舞台『う蝕』で、久しぶりに演劇の世界に戻ってきますね。

坂東:2018年に出演した岩松了さん作・演出の『三人姉妹はホントにモスクワに行きたがっているのか?』が、ほぼデビュー作みたいなもので、それ以来です。でも、舞台を避けていたわけではなくて、たまたまタイミングが合わなかっただけのこと。だから今回、機会をいただけたことが嬉しいです。と同時に、あまりに久しぶりだから大丈夫かなみたいな心配もあるんですけど…。

――劇作は、現代の社会と絡めながら市井に生きる人々の心情を丁寧に描く横山拓也さん。演出は、社会的な作品を取り上げ、骨太な演出で見せる瀬戸山美咲さんです。

坂東:この舞台をやるにあたって、横山さんの舞台『多重露光』と『モモンバのくくり罠』を拝見したんですが、どちらも観た後の満足感がすごかったです。とくに『モモンバ~』は、自分の境遇とリンクする部分があり、刺さりました。舞台では自給自足の暮らしを営む母親が出てきますが、僕の親も自給自足の生活をしようと北海道に来た人で、周りから見たらだいぶ変わっている家族だったから、共感する部分が多くて。会話劇でテンポよく進むけれど、緻密に計算された高度な作品だなと思いました。瀬戸山さんは『ある都市の死』を拝見して、いろんなアイデアを盛り込んで緻密にディレクションされているはずなのにすごく自由な感じがして、演劇を超えてアート作品に触れた感覚でした。そんなおふたりの世界を今度は自分が体現して届ける側になるわけですから、心して取り組まないとな、と思っています。

――ちなみに坂東さんは、演出家の意向に寄せていくタイプですか。それとも自由にやりたい?

坂東:どうだろう…演出家さんのやりたい方向性やテイストを、すごく感じようとするかもしれないです。現場には、自分がこうしたいっていうものは持っていきますけど、監督なり演出家さんがそれを求めているのかどうかはわからない。最初にそこを伺いながら、まずは自分のアイデアもぶつけてみることはしてますね。とはいえ、自分ひとりのアイデアだけでは到底辿り着けない場所があって。共演のみなさんや監督さんの言葉、脚本の中から、一生懸命ヒントを探っている感じです。

坂東さんの出演する舞台『う蝕』は、2月10日(土)~3月3日(日)三軒茶屋・シアタートラムで上演されるほか、兵庫、愛知でも公演。劇作はiakuの横山拓也、演出にミナモザの瀬戸山美咲。共演は、近藤公園、綱啓永、正名僕蔵、新納慎也、相島一之。世田谷パブリックシアターチケットセンター TEL:03・5432・1515(10:00~19:00)

ばんどう・りょうた 1997年5月24日生まれ、北海道出身。2017年より活動をスタート。ドラマや映画で徐々に頭角を現し、‘22年の初主演映画『フタリノセカイ』で日本映画批評家大賞新人男優賞を受賞。2月9日公開の映画『一月の声に歓びを刻め』に出演するほか、4月には主演ドラマ『RoOT/ルート』(テレビ東京系)の放送が控える。

コート¥85,800 ニット¥50,600(共にMARGARET HOWELL) パンツ¥31,900(MHL.) 以上 MARGARET HOWELL/MHL. TEL:03・5785・6445 ジャケット¥38,500(VETRA) スカーフ¥14,300(Fratelli Luigi)共にBshop TEL:03・5775・3266

※『anan』2024年2月14日号より。写真・木村和平 スタイリスト・李 靖華 ヘア&メイク・後藤 泰(OLTA) インタビュー、文・望月リサ

(by anan編集部)

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