きっかけは川島明? NMB48・渋谷凪咲、大喜利での活躍に「何が花咲くかわからない」

エンタメ
2022.11.25
柔らかなムードをまといながら、『IPPON女子グランプリ』をはじめとする数多くのバラエティ番組に出演するなど、持ち前の高いお笑いスキルを武器に名を轟かせているNMB48の渋谷凪咲さん。アイドル界とバラエティ界の両方で輝きを放つ彼女に、得意とする大喜利のことや、自身の現在地を分析していただきました。
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――最近は、バラエティ番組に引っ張りだこですね。

渋谷凪咲:すごくありがたいことやし、びっくりしています。でも、NMBの中で一番お笑いに触れている、お笑いが好きっていう自信は昔からすごくあったんですけど、自分がお笑いやバラエティに向いていると思ったことはなかったし、今もあまり思えないんですよね。

――すごく意外です。最初から“得意”だったのかと思いました。

渋谷:NMBって他のどのグループよりもバラエティに出て挑戦するチャンスがあって、そこがすごいところやと思っています。最初は自分がアイドルとして完ぺきだと思う人を見て、“こういうかわいいことを言わなきゃ”“ちゃんとしたコメントをしなきゃ”と思って必死にやっていたんですね。でも、私、めちゃくちゃアホなんですよ。NMBの冠番組のMCをしてくださっていたかまいたちさんとか芸人さんには、すぐに見破られるというか化けの皮を剥がされて(笑)、そういう部分を引き出していただいたんです。最初なんて、ツッコまれているのを自分がアホすぎて怒られてるんやと勘違いしていて、帰りの車で窓の外を見ながら泣いたりしてましたから。でも、周りの人から「面白いね」という声をいただくようになって、“あ、これ面白いんや”と気づいて。それから、飾らずに自分のありのままの姿をぶつけよう、芸人さんに身を委ねようと考え方が変わって、ちょっとずつバラエティ活動が広がっていった気がします。

――“面白いことを言おう”と思っているわけではないんですね。

渋谷:変に考えすぎると自分の良さが活きないなと思ったんです。それよりも自分らしい言葉や考え、視点を持つことを大切にしてきたのかなって。バラエティ番組では“若い子”という立ち位置で呼んでいただくことが多くて、それはすごくありがたいことなんですけど、“若くてかわいい”の代わりはいくらでもいるじゃないですか。そうではなく、“やっぱり、渋谷凪咲じゃないと”ってみなさんに思っていただけるような存在を確立できたらいいなと常に思いながら活動しています。

――自分の言葉や視点は、どのように培われていますか?

渋谷:子どもの頃からお笑いが好きで、いろいろな人のラジオをめっちゃ聴いていました。ラジオって言葉の宝庫やし、“最近こんなことがあって”というトークひとつ取っても、“こんなとこ見てはんねや”とか、いろんな視点があるんやと気づかされることが多いんです。勉強という感覚ではないんですけど、聴いているうちに自然と注目するポイントや言葉選びが身についているのかもしれません。

――ちなみにどんな方のラジオを聴いているんですか?

渋谷:お母さんがお笑い好きなんですけど、その影響で上沼恵美子さんのラジオはずっと聴いていて。あとは、ダイアンさんや小籔(千豊)さん、笑い飯さん。『兵動・小籔のおしゃべり一本勝負』のDVDとか、バナナマンさんとおぎやはぎさんとかをちっちゃい頃から見て育ちました。綾小路きみまろさんのライブCDも聴きます。

――東西、さまざまなお笑いを満遍なくですね。

渋谷:あと、これもお母さんの影響なんですけど、さだまさしさんとか昭和歌謡もすごく好きなんです。歌詞の中に深みのある素敵なワードがたくさんあるじゃないですか。中森明菜さんの「十戒」を聴いて、“「愚図」って言葉がめっちゃかっこいい!”と思ったりとか(笑)。テレビドラマでは『東京ラブストーリー』が好きだったり、そういうドラマティックな世界観が胸に響きます。

――そして、渋谷さんといえば大喜利力の高さが注目されています。

渋谷:きっかけは、麒麟の川島(明)さんが、「この子の大喜利が面白い」と言ってくださったことなんですけど、私はその時まで大喜利をしたつもりが一切なかったんです。昔からめっちゃアホだったので、世の中が知らないことであふれていたんですけど、それを検索したり人に聞いたりすることをせず、全部自分の中で解決していて。“これがこうなってこうなったからこうなったんかな”と、いろいろなことを結びつけて、答えを出して生きてきたんです。

――なるほど。

渋谷:そして、クイズ番組に出るようになり、当然ですけど絶対に答えを出さないといけないじゃないですか。わからないなりに自分で答えを導き出すんですけど、変な答えだけを出すのは絶対に違うと思って。“なんでこの答えにしたのか”と聞かれた時に変な空気にならないよう、ちゃんとした自分なりの理屈を用意したうえで解答していたら、それが大喜利だったみたいです。大喜利の答えも、ボケようとか突拍子もないことを言うというより、お題について真剣に考えて、“世の中がこうなった場合、こうしたほうがいいな”という感じで考えています。

――では、大喜利力が評価されている今の状況は想像していなかったのでしょうか。

渋谷:面白いとおっしゃってくださる方がいるというのは嬉しいですけど、ちょっと驚きました。本当に世の中、何が花咲くかわからないですね。私はアイドルとして飛び抜けて見た目がかわいいわけじゃないし、歌もダンスも自信がないから、自分の武器ってなんだろうってずっと探していたんです。そんな時にバラエティは唯一、評価していただけることがあったから頑張ろうと。バラエティを頑張っていたら面白いと見つけていただいて、続けていたら大喜利が面白いと言っていただいて。よく、“アイドルなのになんでそんなにお笑い頑張ってるの?”と言われるんですけど、呼んでいただくからには、どの分野に対しても実力以上というか想像以上の結果を出して番組の力になりたいし、“呼んでよかった”“また一緒にお仕事をしたいな”と思ってもらえるようになりたいんです。川島さんの顔に泥を塗りたくないという気持ちもありますしね。天井がないからこそ常に上を目指し続けられる世界は、すごく楽しいなって。

――大喜利にはさまざまなタイプのお題がありますが、得手不得手はありますか?

渋谷:写真で一言とかアフレコをするものがすごく苦手で…。私はふにゃふにゃした声で、しゃべり方もおっとりしているんですけど、お題になる写真って結構、男性やゴリラとかが多いので、自分の声を当てると聞いていてサムいというか、“違うねんな”ってなる。そこは今の課題でもあります(笑)。

―― 一本を取った時の気持ちはどのようなものでしょうか。

渋谷:この世界に入ってなかったら味わえないだろうなというような快感で…、痺れますね(笑)。答えを出してウケるまではずっと不安です。自分のことに必死で、周りの空気を見て答えを出すところまではいけていないので、そこも成長の余地ありだなと思います。

Entame

しぶや・なぎさ 1996年8月25日生まれ、大阪府出身。NMB48のメンバー。2012年に4期生としてNMB48へ加入。グループでの活動と並行して、『大阪ほんわかテレビ』(読売テレビ)、『よ~いドン!』(関西テレビ)、『イタズラジャーニー』(フジテレビ系)など、数々のバラエティ番組で活躍。YouTubeチャンネル「なぎちゃんネル」も好評。

ワンピース¥42,900(ラ・クチュール トーヨーキッチンスタイル TEL:03・5778・3720) イヤリング¥19,800(ete TEL:0120・10・6616) その他はスタイリスト私物

※『anan』2022年11月30日号より。写真・瀬津貴裕(biswa.) スタイリスト・柏木作夢 ヘア&メイク・川嵜 瞳 インタビュー、文・重信 綾

(by anan編集部)

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