荒牧慶彦さんが、彼と一緒ならばとユニットのオファーを快諾したのが水江建太さん。舞台での共演以来、強固な信頼関係を築いてきたふたりの“つながり”に迫ります。
荒牧慶彦:初めましてはたしか…MANKAI STAGE『A3!』の取材の場だったよね。
水江建太:はい。そのときにお互いにゲームとか趣味とかに共通点が多くて、その話題で盛り上がったんです。
荒牧:お互いに組のリーダーという役柄だったのもあって、稽古場で結構話すことが多くてね。
水江:そのときからまっきーさんはあたたかい印象でした。
荒牧:建太とはなんか初対面のときからフィーリングが合うなっていうのはあったな。他にも仲のいい後輩はいるけれど、舞台での居方だったり、本番での人の目を惹きつける魅力だったりが群を抜いていたのもあって、すごく気になる存在だったし。
水江:そんな…まっきーさんこそですよ。お会いする前から出演舞台を観て、すごい方だと思ってましたが、一緒に舞台に立たせていただいて、実力の差を思い知らされて、あらためて尊敬の気持ちが強まりました。
荒牧:ふふ(笑)。ありがとう。建太との距離が縮まったのは、たしか『A3!』の春組単独公演かな。あのとき僕がアドリブを入れたいからって、建太を付き合わせて…。
水江:そうです。毎日違うことをやってましたよね。結構トリッキーなことも(笑)。そのとき、なぜそういうことをしようかと思ったかも話してくださって、勉強になりました。まっきーさんが声をかけてくれて、サシ飲みにも行きましたし。
荒牧:そうそう。今は難しくなっちゃったけど、もともと共演者とかスタッフさんとかと飲みに行くのが好きで…。あのとき建太とサシで話してみたいなって思ったんだよね。なんか建太が考えていることとかをもっと知りたいなぁって。
水江:まっきーさんの人柄もあって、誘われたとき、緊張することもなく単純にすごく嬉しかったです。本当に尊敬している先輩なんで、いろいろ話を聞いてみたかったですし。
荒牧:そこで建太の仕事に対する思いとか、舞台に対する思いとか、将来的にやりたいことの話とか、いろいろ聞いて。僕自身も、いま思ってることとか、後輩を育てたいと考えていて、それが建太に当てはまるんだよ、みたいな話もして。
水江:僕も、そのときに悩んでたことを相談させてもらったり。
荒牧:アーティストデビューの話をいただいたときに、生意気ながら建太とならって指名させてもらったのも、そこでやりたいこととか、進みたい方向を聞いていたからなんだよね。建太を次世代の2.5次元のトップに君臨する人だと思ってるから。
水江:いやいやいやいやいや…。
荒牧:(笑)。ここを足がかりに羽ばたいてくれればいいなと思うし。
水江:でも、めちゃめちゃありがたかったです。僕の名前を挙げてくれたことが何より光栄でしたし。
荒牧:建太のためだけじゃなく、僕自身も建太を利用させてもらうというか…そういう思惑もあったから。
水江:せっかく一緒にやらせていただくわけだから、僕もその掛け算の一部になりたいです。ふたりでさらに高いところに行けたらって。
荒牧:今、業界の新陳代謝をすごく考えていて、若い世代がもっと人気を取って、それがいいサイクルになって、2.5次元舞台の世界がもっともっと盛り上がっていったらいいなと思っているんだよね。
水江:自分のことだけでなく、業界を盛り上げることまで考えているって視野が広くないと考えられないことですから、マジですごいです。
荒牧:もちろん僕も俳優を始めた頃は、自分が一番になるにはとか、自分がいかに売れるかとかばっかり考えてたよ。でも少しずつ世間に認知してもらえるようになって、この先、何をやるべきかって考えたとき、いま自分が立っている場所を耕して、世界を広げていくことが必要だなって。そこには後輩の育成というのもあって、そのことが後々の自分のためにもなるはずだし、ファンのためにもなることだとも思ったし。
水江:僕はまだ自分のことでいっぱいいっぱいなのに…。
荒牧:建太の年齢ではそれが当たり前で、まだそれでいいんだって。
水江:いつか同じ目線で話ができるようになれるまで突っ走っていこうと思います!
1月6日よりスタートするドラマ『たびくらげ探偵日記』に、捜し物専門の探偵コンビでW主演するふたり。まっきーとけんた名義で、その主題歌「Nothing but…」も担当している。
荒牧:ドラマの撮影が、思っていた以上にスムーズだったよね。建太はもともと器用だし、演技に関しても監督の意向を聞いてすぐに軌道修正できるし、助かった部分も多い。
水江:僕は逆にまっきーさんがすごいなって思ってましたよ。映像って、舞台とは見せ方が全然違うのに、そこをサラッとやれちゃうし。しかも撮影現場って結構ストレスが溜まりやすいんですけど、この作品では全然そんなことがなかったんです。それは多分、まっきーさんのおかげなんですよね。待ち時間とかに、いろんな話をしてくださったんで。
荒牧:僕が小ボケを挟むと、すぐ建太が笑ってくれるからで…。
水江:田舎での撮影中、すごい数のトンボが飛んでるのを見て、「トンボの赤ちゃんって知ってる?」ってキレッキレのドヤ顔で聞いてきて。「知らないです」って返したら、「アメンボだよ」って嘘を堂々と(笑)。
荒牧:そうそう(笑)。変な動物クイズばっかしてたよね。屋根がないのにフラミンゴが動物園から逃げないの、なんでか知ってる? とか。理由は25m以上助走しないと飛べないからなんだけど、それを話したら建太が大爆笑して…。
水江:それは超面白かったです!
荒牧:建太って自分からすごく話してくるタイプではないけれど、すごく冷静に周りを見ているし、やることはしっかりやる。仕事人タイプだなって思うんだよね。周りには、何考えているか謎って思われているタイプだと思う。まあ多分、何も考えていないんでしょうけど。
水江:うんうん…うん? …まあ、その通り…かな(笑)。
荒牧:でもそんな建太に向かって、建太にしか聞こえないくらいのトーンで小ボケをかますと、ふっと笑ってくれるんで、僕は満足でした。
水江:素敵な現場でした。僕が演じる滝本謙太とまっきーさんが演じる坂牧洋平も先輩と後輩の関係は、僕らと重なる部分も多いですよね。ただ、普段のまっきーさんより坂牧はちょっとクールシフトですが。
荒牧:そうだね。何気ない物語だけど、ちょっとした伏線が後半の展開の助走になっていたり、脚本自体が面白いし…何よりエモい!
水江:僕も最初に読んだときに面白くて引き込まれました。
荒牧:1話完結なんだけど、物語の軸がしっかりしてるから。
水江:坂牧と滝本の関係がドラマの中でどんどん深掘りされていくので、そこも楽しんでもらえたら。
荒牧:撮影での思い出で印象深いのは…建太がもんじゃ焼きを作るのが下手くそだった、ってことかな。
水江:あれは具材が悪いんです!
荒牧:地方ロケのときに、ふたりでもんじゃ焼き屋に行ったんだけど…。
水江:僕は作ったことがなかったんで、最初の一個はまっきーさんがお手本で作ってくださったんですよね。食べ終わって、じゃあ僕がってなったときに注文したのが、激辛もんじゃだったんですけど、具材にすごい立派なソーセージが入ってて、それにすごい手こずって…。あれはソーセージのせいです!
荒牧:まあそうだね。初めて作ったにしては及第点以上だったよ。
水江:(笑)。「Nothing but…」は…ぜひ歌って踊ってほしい!
荒牧:一回聴いたら口ずさんじゃうような楽曲だよね。振り付けもキャッチー。あと、レコーディングは別々にやったんだけど、思っていた以上に僕らの声の相性が良くて驚いた。
水江:僕も同じ感想を持ちました!
荒牧:目標は日本武道館!(笑) ユニットを組むにあたって、レコード会社のプロデューサーさんから「武道館に連れていく」と力強く言われましたんで、その言葉に甘えて言ってみてます!
ドラマ『たびくらげ探偵日記』は1月6日(木)24:59~TBS系でスタート。「探し屋たびくらげ」という捜し物専門の探偵を営む坂牧洋平(荒牧)は、バックパッカーの滝本謙太(水江)と意気投合し、共に仕事をするようになるが…。まっきーとけんたが歌う主題歌「Nothing but...」は1月26日リリース。
あらまき・よしひこ(1枚目写真・左) 1990年2月5日生まれ、東京都出身。舞台『刀剣乱舞』山姥切国広役など、2.5次元舞台を中心に幅広く出演し、高い人気を誇る。近作に主演ドラマ『あいつが上手で下手が僕で』。出演映画『映画演劇 サクセス荘』公開中。
ニット¥59,400(シンヤコヅカ/エムエイティティ info@the-matt.com) パンツ¥33,000(クルニ/シアン PR) ブレスレット¥35,200 リング¥11,000(共にトゥエンティー エイティー/HEMT PR) シューズはスタイリスト私物
みずえ・けんた(1枚目写真・右) 1995年11月2日生まれ、東京都出身。MANKAI STAGE『A3!』摂津万里役で注目され、出演映画『MANKAI MOVIE「A3!」』公開中。6月に主演ミュージカル『CROSS ROAD~悪魔のヴァイオリニスト パガニーニ~』が控える。コート¥49,500 シャツ¥27,500(共にシャリーフ/シアン PR TEL:03・6662・5525) シューズ¥22,000(スペース クラフト/HEMT PR TEL:03・6721・0882) パンツはスタイリスト私物
※『anan』2022年1月12日号より。写真・小笠原真紀 スタイリスト・鹿野巧真 ヘア&メイク・Aki 取材、文・望月リサ 撮影協力・AWABEES
(by anan編集部)