ライブコンサートといった表舞台を支える、“照明”のお仕事をご紹介! プロフェッショナルたちに密着しました。

アーティストを照らし、ライブ空間を華やかに彩る。

Job

ライブ中に、ステージや会場全体を彩りながら、次々と変わる色とりどりのコンサート照明は、アーティストのパフォーマンスを際立たせ、観客の心を揺さぶり、ライブを盛り上げてくれる。

「その照明による演出を、プランニングするのが照明デザイナーの仕事です」(「東京舞台照明」ライティング事業部 クルーヘッド<照明デザイナー>南 俊樹さん)

南さんは、アイドルグループをはじめ、有名アーティストのコンサート照明を多数手がけてきた。

「毎回、担当する公演が決まると、まずはチームを編成し、会場全体の照明の設営プランを決めます。しかし、公演日ギリギリまでセットリストが決まらないこともあり、本番までめちゃくちゃタイト。だいたい準備に取りかかれるのは本番の1週間~10日前くらいだったりします」(南さん)

南さんが考えた設営プランを引き継ぎ、会場の配線などを担当しているのが、後輩の横山さんだ。

「安全性を考慮しながら、どこにどの照明機材を設置し、どう配線を組むか、図面に落とし込みます。また、機材の搬入・搬出もすべて自分たちで行います」(「東京舞台照明」ライティング事業部 クルーヘッド<ピンチーフ>横山智美さん)

もう一つ照明デザイナーの大事な役割が、曲ごとに具体的な照明の構成を組み立てること。

「『ここは派手にして』など、演出家などからヒアリングした内容を元に、プログラミングします。曲の中にも起承転結がありますが、一つのライブにも起承転結があるので、意識するのは全体の流れ。演出家と何度も調整や変更のやり取りをして、完成するのが機材設営日の前日になることも。リハーサルでも修正や調整を繰り返し、本番に臨みます」(南さん) 

また、横山さんは、人を追って照らす“ピンスポット”を操るチームのチーフも担当している。

「ピンスポットは実は人力で操作しているので、使用する台数分のスタッフに指示を出しています。『次、30番を右から2人目に当てて!』とか、本場中はずっと指示出しでしゃべりっぱなしですね。毎回ドタバタですが、チームの息がぴったり合った瞬間が楽しい! 苦労した分、達成感も大きいので、やりがいを感じます」(横山さん)

「僕もライブが好きで、舞台照明に心動かされてこの仕事を目指したので、毎回人の記憶に残るものを作りたいと思っています。だから実際にお客さんやスタッフからの評価が高いと素直にうれしい。それが励みになり、もっと良いものをという意欲が湧き、やりたいことを次々と実現できていることに喜びを感じます」(南さん)

照明デザインは専用マシンでプログラミングする。

Job

演出家などと打ち合わせを重ねて膨らませた照明のイメージを、「照明卓」と呼ばれるマシンを用いて、プログラミングしていく。「イントロ、Aメロ、サビなどシーンごとに、配色や光の向き、明度、発光させるタイミングなどを細かく作り込みます。本番中は、プログラミングしたものをシーンごとに再生することで照明が切り替わります。以前、1回の公演で再生ボタンを何回押したか数えたら、なんと1700回以上でした(笑)」(南さん)

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ステージセットの図面を3D化し、そこに照明機材の情報を加えてから、具体的なプログラミングをする。

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最初から最後まで繋げてプログラミングすることもできるが、リハーサルを経て、本番直前に修正が必要になった場合、シーンごと細かく分けて打ち込んでおいた方が変更しやすいという利点が。

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再生ボタンを押す回数が多くなるが、完成度は高まる。

最新技術を駆使し、シミュレーションを重ね新しい表現を模索。

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ステージ全体をデザインするアイドルグループと、メンバーにフォーカスするバンドの公演では、照明デザインは異なる。また照明デザイナーは、これまでの経験で培った技術や発想から、最新の照明器具を開発したり、新たな表現方法を生み出している。「昨年、無観客ライブを経験したことで、肉眼とテレビやスマホなどの画面越しで見るのでは、照明の印象がガラッと変わることにあらためて気づき、照明の見せ方のバリエーションが増えました」(南さん)

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上のイラストのような演出も3D上のセット中央にLEDビジョンを設置し、そこに絵を出しながらプログラミングする。LEDビジョンの映像と照明を共鳴させることで、より臨場感のあるバンドの世界観を演出できる。

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最新設備を整えた、自社スタジオセット。

アーティストを追う、ピンスポットは人力で操作する!

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ピンスポットライトは、手動で向きを変えたり色を変えるので本番中も一切気を抜けない。「ドームクラスだとこれを30台持ち込み、30人がピンを一斉に操作します。野外フェスなど、アーティストがステージを下りて観客の近くでパフォーマンスする時にもピンスポットは欠かせません。地方公演では初めてのスタッフとチームを組むことも。誰でも間違えないように、アイドルグループだとメンバー名ではなく、位置で指示を出すことが多いですね」(横山さん)

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会場中を走り回るアーティストを追いかけ、照らし続けるピンスポット。

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電源を供給するためのケーブル。長さ10mと20mのものがあり、ドームクラスになるとこれを何本も繋げて使用する。

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ケーブルと照明本体を繋ぐ「直Box」と呼ばれる配電器、分配器など。1回のライブに搬入する機材は、屋外フェスで11tトラック2台分、ドームクラスだと4台分に!

南 俊樹さん 「東京舞台照明」ライティング事業部 クルーヘッド(照明デザイナー)。高校時代に観た劇団四季『マンマ・ミーア!』で舞台の美しさに感銘を受け、専門学校で照明を学ぶ。入社11年目。

横山智美さん 「東京舞台照明」ライティング事業部 クルーヘッド(ピンチーフ)。中学生の時に行った浜田省吾さんのライブ照明に刺激を受け、専門学校の照明コースに進学。入社8年目。

東京舞台照明 音楽コンサートをはじめ、演劇、舞踊などの照明を手がける。「日本照明家協会賞」を受賞したことがある照明デザイナーをはじめ、100人を超えるプロフェッショナルが所属。

※『anan』2021年8月11日‐18日合併号より。写真・中島慶子 イラスト・green K 取材、文・鈴木恵美

(by anan編集部)

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