天才監督が、ギリシャの英雄譚を新解釈
クリストファー・ノーランが、古代ギリシャの吟遊詩人ホメロスによる英雄譚『オデュッセイア』を壮大なスケールで映像化よ。
トロイの木馬で有名なトロイア戦争に出陣したイタケの王オデュッセウスが放浪を経て、妻子の元に帰還するまでの物語だよね?
彼の出征から20年、妻ペネロペは夫の言葉に従い、国を守るために再婚相手を選ばざるをえない状況にあるの。王子テレマコスは事態を打開すべく、父の消息を求めてスパルタ王の元へ向かうわけ。母子の苦悩と並行して、オデュッセウスの20年にわたる旅路が明かされていく。
最初の10年はトロイア侵入を海岸で待ち続け、その後の10年は神の怒りを買って、各地を放浪。オデュッセウス、気が長すぎる。
悠久の時を超えてきた物語ですもの。ド派手なアクションで圧倒するだけじゃなくて、詩情が漂うあたりがさすが「詩篇」って感じ?
冒険譚の側面もあるよ。一つ目の巨人や男を豚に変える魔女なんかが登場して、ファンタジー調だし。
それらを鮮やかに融合してるあたりが、さすが天才。なにより、この豪華キャストがノーラン監督作ならでは。野心家の求婚者アンティノオス役のロバート・パティンソンは、狡猾さを鮮やかに表現してる。ミア・ゴスの侍女役もハマってる。ノーラン作品に出られるなんて大出世で、ファンとしては感涙だよ。
私はオデュッセウスやペネロペの人格を新解釈したノーランの感性に恐れ入ったよ。トロイの木馬を発案した英雄が、実はPTSDに苦しんでいる感じ。王妃は夫を待ちながらも静かに怒っている。わかるよ、その気持ちって言いたくなる。
そして、神話を通して戦いの空しさを描き出す。今、この時代に作られる意味が、胸に響くよ。
『オデュッセイア』
監督・脚本/クリストファー・ノーラン 出演/マット・デイモン、トム・ホランド、アン・ハサウェイ、ロバート・パティンソンほか 9月11日より全国公開。
お杉とB子
娘の顔を映さない。『ワンオペレーション』(9月18日公開)の、育児や仕事に追いつめられた母親の精神状態の表現が斬新!(お杉)
『オデュッセイア』でも好演のジョン・レグイザモが出演する『私たちは、ちょうどいい。』(9月11日公開)も観て!(B子)