場の空気を回せる人は“いてくれると助かる人”に。
私がお目にかかって心を惹きつけられたのは、大竹しのぶさんと夏木マリさんです。お二人とも凛としていて芯がおありなのに、常にアップデートを続けているからか、時代と一緒にスイングしながら生きているような揺らぎがあり、そこはかとない色気が漂っているように感じます。またお会いし、核心に迫りたいと思わせる憧れの女性たちです。映画監督の河瀨直美さんは、静かで光の美しいリアルな映像を撮られるのに、お会いするとアン ミカ以上にチャキチャキで(笑)、めちゃくちゃ面白い方。打つといろいろな角度から響き、映画というものを世に出すことや後輩の育成など、幅広いお話にいつも魅了されます。会話をし終わった後に“面白かったな”という余韻が残る人は、素敵ですよね。
あと、場の空気を回すのが上手な方に出会うと、またご一緒したいと感じることが多いです。これは、人が好きで、相手に思いやりを持っている方じゃないとできないことですし、その場にいる一人一人に最低限の興味がないと難しい。そういう方は、バラエティ番組においても皆さんに愛されていらっしゃるように思います。たとえば、SHELLYさんや、ハライチの澤部(佑)さんは、自身のエピソードトークを交えながら話を膨らませたり、山里亮太さんは自分をそこまで出さずとも、時事ネタをうまく使い、場を軽快に回すので収録が明るいものに。回し方はそれぞれですが、皆さん安心感があります。テレビに限ったことではなく、リモートでの意見交換の場でも、回し役の存在は大切です。たとえば、上司の言葉で場が凍った時に不穏な空気を察して、的確なリアクションやツッコミを入れたり、違う話題を投げてみたりと、勇気を出して行動してくれる人がいると空気が丸く回ります。そうした引き出しをたくさん持っている人は魅力的ですし、今の時代に“いてくれると助かる人”ですよね。
アン ミカ モデル、タレント。明るいキャラクターが魅力で、さまざまな番組に引っ張りだこ。化粧品、洋服、ジュエリー等もプロデュースしている。『ポジティブ日めくりカレンダー 毎日アン ミカ』(講談社)など著作も多い。
※『anan』2021年4月21日号より。イラスト・岡崎マリー 取材、文・重信 綾
(by anan編集部)