意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「2020年の民主主義」です。

民主主義の危機が深まった2020年。国連の変革を求む。

society

2020年は民主主義が問われた一年でした。香港の民主主義は失われ、一国二制度は実質、消えてしまいました。ベラルーシでは独裁政権を倒そうとデモが続いていますし、タイでは’16年に即位した新国王がスキャンダルにまみれ、経済も悪化しており、若い世代を中心に憲法改正や王室改革を訴えて大規模なデモが始まりました。スーダンでは市民革命が成功し、新たな和平を生み出そうとしています。レバノンやパレスチナ、ヨルダンでも、強権的な政治に対して、市民の生活が立ちゆかなくなり、連日、反政府運動が行われています。これらは思想の運動ではなく、市民の「生きるための戦い」。やむにやまれぬ状況に追い込まれて声を上げています。新型コロナウイルスによって経済状況が悪化し、これらの動きは加速しました。この流れは、経済の仕組みが変わらない限りなくならないのだろうと思います。

つまり、民主主義と資本主義の相性が悪いということがわかってきたんですね。資本主義で国の覇権を広げていこうとすると、民主的な手続きを踏まない独裁政権のほうがスピーディに進める。そうして中国は、コロナからもいち早く立ち直り、経済政策も着実に実施していきました。世界のなかで中国の存在はより大きくなり、アメリカに伍する経済大国になりました。中国との関係が深い国や企業は安定するけれども、搾取される市民にとっては自由と尊厳が奪われるような状況が鮮明に。先日もブータン領内に集落を建設して、実質的な移民政策を始めようとし、インドとの緊張が高まってきています。ただ、そうした覇権の先に本当の豊かさがあるのでしょうか? 情報が公開される透明性のある政府と、市民が参加できる民主主義でないかぎりは、状況は改善されないでしょう。

国連が機能不全に陥っているのも問題です。太平洋戦争が終わってから75年。国連は戦勝国によって作られた組織ですから、日本もドイツも常任理事国ではありません。インドやアフリカ、中東のリーダーも世界の秩序決定に参加したいと思っています。多様化するいまの世界に応じた、新しい時代の秩序を作ってほしいなと思います。

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堀 潤 ジャーナリスト。元NHKアナウンサー。市民ニュースサイト「8bitNews」代表。「GARDEN」CEO。監督2作目となる映画『わたしは分断を許さない』が公開中。

※『anan』2020年12月30日‐2021年1月6日合併号より。写真・中島慶子 イラスト・五月女ケイ子 文・黒瀬朋子

(by anan編集部)

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